コラム

今年で原作生誕70周年!
「サザエさん」が日本人に愛され続ける理由とは?

サザエ役を長年務めるあの声優が思いを語る!

 テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
 今週は国民的アニメ「サザエさん」(フジテレビ系)の原作が70周年を迎えることから、愛され続ける理由を声優へのインタビューを元に検証した。

家族は、毎日同じように見えて実は日々違っている

 フジテレビ系列で放送されている国民的人気アニメ「サザエさん」の、故・長谷川町子氏による原作4コマ漫画が今年、連載開始から70周年の節目を迎える。それを記念して、3月27日に1時間拡大の「原作生誕70周年スペシャル」が放送されることが決定した。

 原作が産声を上げたのは、今から70年前の’46 年4月22日。福岡県の地方紙である「夕刊フクニチ」にて掲載が始まり、朝日新聞などへと移行しながら、’74 年2月21日まで連載。ごく一般的な家庭で起こるような楽しいエピソードが好評を博し、全6477話が発表された。アニメがスタートしたのは、アポロ11号が月面着陸に成功した’69 年。’79 年9月16日には最高視聴率39・4%を記録した。これはアニメの歴代視聴率3位となる(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)。’13 年には「最も長く放送されているTVアニメ」としてギネス世界記録に認定。今も日曜6時台の顔として放送中だ。かようなまでに愛され続ける理由について、アニメのスタート時からサザエさんの声を演じ続けている加藤みどり氏に話をうかがった。

「町子先生の力であることは確実なのですが、強いて言えば、家族の話だからではないでしょうか。家族というものは、毎日同じことをやっているようで、その言動は実は日々違っている。だから話題が尽きませんし、サザエさんが失敗をしても、大きなもめ事へと発展せず、明るく処理されていく温かさも感じます。何でもないことに面白みを見せてくれる、磯野家のあり方が魅力的なのでしょう。本作はまた、私にとって運命的な存在とも言えます。アニメが始まって47年になりますが、そんなに長くつながっていられることは、普通は考えられませんから」

野放図なまでの明るさが演じる上で大切だった

 47年間の苦楽についても聞いてみた。

「最初のころは、毎年春と冬にプロデューサーから呼ばれ、お説教をされていました。主にサザエさんのキャラクターについてなのですが、例えばサザエさんは明るいけれどもバカではないということです。私は当時、演出家に『何をやってもいい』と言われ、やりたい放題で(笑)。近石(真介氏。’78 年まで夫・マスオの声を担当)さんからは『お前は気楽でいいな』とうらやましがらていました。ですが、後で聞いた話によれば、プロデューサーが『(加藤の)あの明るさと、野放図さが、サザエさんのキャラとして欲しいから、抑圧してはいけない』と演出家に言っていたらしく。温かなスタッフに支えられてここまで来られたように思います」

 47年の間には何度かのキャストの変更があった。最近では、父・波平の声を演じていた永井一郎氏が’14 年に死去。現在は二代目として茶風林氏が声をあてている。また、母・フネの声は’15 年に麻生美代子氏からへ寺内よりえ氏へ。カツオの友人・中島役の白川澄子氏も同年亡くなり、落合るみ氏が抜てきされたニュースも記憶に新しい。当初からのキャストが加藤と息子・タラオ役の貴家堂子氏だけになった今、何か感じるだろうか?

「演じていて違いは感じます。ですが、その違和感も制作スタッフに相談すれば、私がどうすればいいのか導いてもらえるんです。私は甘やかされていますね(笑)」

「サザエさん」からは未来を感じるんです

 永井氏の思い出も語ってくれた。

「永井ちゃんは生前、『この番組は平和(の象徴)であることを前提に私はやっている』とおっしゃっていました。確かにこの47年間、地震や台風などもありましたが、つらいことがあると、逆に『サザエさん』という存在はさらに強く感じられる気がするんです。不思議な感覚でした」

 ’05 年に大和総研が「サザエさん」の視聴率が上がると株価が下がり、逆だと上がるとされるレポートを発表した。これは景気が良い時は日曜夕方に外出する機会が増えるからとする説があり、加藤氏の言葉を間接的に裏付けている(通称「サザエさん効果」)。ほかにも、夫が妻の実家で生活する夫婦のあり方を「マスオさん状態」と呼んだり、日曜夕方に一週間の始まりの月曜を憂う「サザエさん症候群」などの言葉もよく耳にする。「サザエさん」を鉱脈にさまざまな流行語が生まれ、それが日常的にテレビなどから耳にできることからも、この作品がかくも深く日本に浸透していることが読み取れる。

「私は『サザエさん』には“未来”があるように思うんです。あの家族から感じられる未来は明るいんですよ。昨日の失敗は、それを理解できたら先へ進もうと、見てくださる皆さんにも未来があるんだよと。そんな未来へ向かう番組として、今後も続けていけたらと思います」


記念番組を放送!
「原作生誕70周年記念 サザエさん 春の浅草観光 &湯水家でお手伝いSP」
3月27日(日)放送
フジテレビ系 午後6:00~7:00
 磯野家が、東京スカイツリーがそびえる浅草周辺を観光する話など、原作から厳選したエピソードをおくる拡大版。サザエが大金持ちの湯水家でお手伝いに出向く話も放送。これはかつて原作漫画でも描かれた人気エピソードだ。

今回、取材したのは…

加藤みどりさん(サザエ役の声優)
 ’39年東京生まれ。「サザエさん」ではサザエの声を長年演じているほか、「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系)のナレーションも担当している。

Interview=衣輪晋一

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