菅田将暉の「トイレの便座くらい開けさせてよ」

タレント連載

#04 「バリでの思い出」

「海月姫」(12月公開)の現場で照明さんがしてくれた話が面白くて。ハイヒールの起源の話なんですけど、17世紀のフランスで生まれた、と。当時はもちろん水洗便所なんてないですから、夜中に出た排泄物を窓から投げ捨てていたそうなんですね。なので、パリの石畳の道はいたるところにウ●チが転がっていた。それがスカートに付かないように歩くために開発されたのが、ハイヒールだったらしいんです。今では女性の脚を細く長く見せるためのファッションとしての側面ばかりがフィーチャーされていますけど、ルーツはもっと切実な事情だったという(笑)。そういう起源をたどるのって、結構面白いですよね。デニムも元は炭鉱で働く人たちの作業着でしたし、ハットも農作業をする時の日よけから発展したという説もありますし、香水も、お風呂に入ると病気になるという迷信があった中世のヨーロッパで、体臭消しとして広まっていったと言いますし…。そもそも当時、誰が「風呂に入ると病気になるぞ!」って言い出したのか、そっちが気になりますけどね。

 風呂といえば、2年ほど前に「春よ来い!人生応援テレビ 負けてたまるかッ!SP」(TBS系)という番組でインドネシアのバリ島に行った時のことを思い出します。デンパサール空港から車で5~6時間走った地に滞在したので、基本的に風呂もトイレもタイルでできている浴槽みたいなところにたまっている水を使って、体を洗ったり用を足したりするんですよ。1週間その環境だったんですけど、ふだん水回りが充実している日本でぬくぬくと生活している身には、やはり厳しかったです。でも、現地の方々にはこれが普通の生活で。家の中とは別に、しょっちゅう皆で川へ体を洗いに行く習慣があるんですけど、僕は断然そっちの方が好きでした。一見すると不衛生のように思いがちですけど、逆に免疫がついて強いのかな、と思ったりもして…。日本人はそういうところに敏感に反応してしまうから、弱いのかもしれません。

 あと驚いたのが、僕の世話をしてくれた方たちが突然椰子の木に登るんですよ。基本的に自給自足なので、畑で農作物も育てているんですけど、時折そうやって椰子の実を取って食べるんです。もっと驚いたのが、その皮を歯で剥いていったこと! どれだけ強じんなんだと(笑)。あたりにはマンゴーなどの果実もなっているんですけど、1番美味しかったのはカカオの実でしたね。割って開くと中に種がいっぱいあって、その種の周りについているゼリー状のものを舐めると、パインのような味がしてウマいんです。パインよりも酸味がなくて甘い味。あれはいくつでも食べられたなぁ。

 ちなみに、バリではターバンを頭に巻いていると、ヘルメットをしているのと同じ認識だそうです。なので、ターバン姿でバイクに乗っている人が多いという。あと、バリの言葉でイケメンは「ガンタン」と言います。あ、どうでもいいですね、そうですね…。

 僕が滞在したのが、ちょうど年に数回の満月の時で、バリでは宗教的に重要な時期だったんです。「こんな日に来られて、きみは運がいいよ」と言われて、おでこにお米を貼られたりして行事に参加したんですが、よくわからないうちに終わってしまったというのが正直な気持ちでした。ただ、それほどに信じられるものがあるのは、ある意味羨ましいなと思いましたね。それからバリの文化として好きだったのが、どこの家にも大きなお墓があることです。先祖代々を祀る塔がいくつかあるんですけど、その隣に”自分の兄弟=ブラザー”のお墓があるって、向こうの人は言うんですね。「あ、ご兄弟が亡くなられたのか…」と解釈していたら、そうじゃなくて、お母さんから生まれてくる時に一緒に出てくる胎盤やヘソの緒などを”兄弟”として祭っているんですって。その考え方は僕たちにはないと思うんです。ヘソの緒を大事にとってはあるけど、いつも見ているかというとそうじゃない。兄弟か、なるほどな、いいなって僕は素直に思いました。なぜなら、自分が生まれるために力を貸してくれてありがとう、っていう感謝の気持ちが、そこにはあふれているからなんです。つまり、今回は何の話がしたかったかと言いますと…見方や考え方、とらえ方によって物事はいかようにも変わる、ということ…かな? 結果的には連想ゲームみたいになっちゃいましたけどね(笑)。

Masaki's shot
菅田将暉より愛を込めて。


構成/平田真人 撮影/田子芙蓉 ヘアメイク/SHUTARO(vitamins) スタイリング/伊藤省吾
衣装協力/エヌフォー(エヌフォー・サテライト・トウキョウ)、ヴィクティム(ホワイト ギャラリー)
イロコイ(イロコイ ヘッドショップ)
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