私の愛した007

連載

小学生の頃から大興奮! 竹中直人がボンドガールの太ももに挟まれる夢を見た!?


「ボンドガール」に詳しい小学生でしたね


 僕はリアルタイムで「007」シリーズの全作を見ているんです。小学1年生の時、両親に連れて行ってもらって初めて見たのが第1作目の「007/ドクター・ノオ」(1962)。当時は「007は殺しの番号」というタイトルでした。それ以来、全作品を映画館で見ています。ショーン・コネリーに一目ぼれしました。スクリーンに映るあの“顔”に釘づけとなりました。あのくちびる、あのまゆ毛、頬に刻まれたシワ…。本当にカッコよかった。僕にとってのジェームズ・ボンドは間違いなくショーン・コネリーですね。ただ、ダニエル・クレイグも好きです。これまでのボンドとは全く違う。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドというキャラクターを食ってしまった、彼の個性が前面に出ているところがいいですね。

 初めて車に興味を持ったのも「007」シリーズがきっかけです。ワルサーPPKという拳銃も「007」で初めて知った。小学生の頃ボンドカーのアストンマーティンのプラモデルが欲しくて欲しくて。父親にねだって買ってもらったんですが、生まれて初めて作ったプラモデルがアストンマーティンだったんです。小学生の僕にとってジェームズ・ボンドは最高のヒーローでした。

 でも、なんといってもボンドガールです! クラスの友達が怪獣映画に夢中になっているのに、僕だけがボンドガールに詳しかった。一番好きだったのは「007/サンダーボール作戦」(65)のクロディーヌ・オージェです。ショーン・コネリーとの水中キスシーンがとてもロマンチックで、彼女の着ている水着のデザインにもかなり興奮しました。あの映画のタイトルシークエンス、水中を泳ぐ女性たちのシルエットにも圧倒されましたね。トム・ジョーンズの歌にも子どもながらにシビれまくりました。おかげで、クロディーヌ・オージェの太ももに挟まれる夢まで見ました(笑)。「007/ロシアより愛をこめて」(63)のダニエラ・ビアンキも、太ももがエッチで感動したなあ。「007/ゴールドフィンガー」(64)のボンドガールのオナー・ブラックマンがボンドを投げ飛ばしたにもかかわらず、結局2人がキスしちゃうというシーンも好きでしたね。最近では「007/カジノ・ロワイヤル」(2006)に出演したエヴァ・グリーンが、従来のボンドガールとは違うインテリな雰囲気ですてきだった。それからボンドガールではありませんが、第1作「007/ドクター・ノオ」から第14作の「007/美しき獲物たち」(85)で、ボンドの上司Mの秘書、ミス・マネーペニー役を長年演じたロイス・マクスウェルも、とても上品で奇麗でしたね。

 悪役では「007/ロシアより愛をこめて」のロバート・ショウとロッテ・レーニャ、「007/カジノ・ロワイヤル」のマッツ・ミケルセンが圧倒的でしたね。ロバート・ショウは何を考えているのか分からない不気味な殺し屋を演じて、まるで「ブレードランナー」(82)のルトガー・ハウアー演じるレプリカント(人造人間)みたいだった。彼がボンドと列車の中で格闘するシーンは、「007」シリーズの中でも屈指の名場面ですよね。ロッテ・レーニャの演技は女性ながら本当に怖くてね。マッツ・ミケルセンもたまらなく魅力的だった。血の涙を流す男が似合う俳優は彼以外いませんね。

 10月の放送でおススメしたいのは、1本目が「007/サンダーボール作戦」。あの時代にあれだけの水中シーンを撮ることができたというのは本当に驚きです。海の中でのアクションシーンはたまらないです。あの見事な撮影技術は今見ても全く古びていない。それとバハマ諸島のロケーションも素晴らしかったですね。加山雄三さんの映画の次に、海の素晴らしさを教えてくれた映画ですね。もちろん、バハマの海で夏の日差しを浴びるクロディーヌ・オージェも必見です!

 しかし、一番のおススメは「女王陛下の007」(69)です。ほかの「007」にはない哀しみがあって、見終わった後にとても切ない気持ちになります。サッチモ(ルイ・アームストロング)の歌うテーマ曲もたまらない。僕は恋愛映画が結構好きなんですが、この作品ではボンドが心から愛した女性、テレサと結婚するんです。2人でスキーをするシーンがあるのですが、テレサがスキーをしながらボンドの方を振り返る幸せそうな表情がたまならい。このテレサ役を演じているダイアナ・リグという女優さんは、それまでのボンドガールとは全く違うタイプで、セクシーというよりもかわいいんです。暖炉の前でのラブシーンもロマンチックだった。

 それから、この映画でボンド役をショーン・コネリーからバトンタッチしたジョージ・レーゼンビー。僕はコネリーが大好きだったので、ボンド役が替わってしまうのがとてもショックで悲しかった。ものすごく心配しながら映画館へ見に行ったのですが、ところがどっこい新たなジェームズ・ボンド像が出来上がっていた。この1本だけで降板してしまったのがもったいないくらい良かった。この作品は「007」の中では世間的な評価が低いようですが、とても丁寧に作られている素晴らしい作品だと思います。ぜひ多くの人に見てほしいですね。

【プロフィール】 
竹中直人(たけなか なおと)
1956年3月20生まれ。神奈川県出身。魚座。A型。NHK大河ドラマ「秀吉」「軍師官兵衛」、ドラマ「のだめカンタービレ」(フジテレビ系)、「トットちゃん!」(テレビ朝日系)、映画「GONIN」(95)、「レオン」(18)など出演作多数。また、「無能の人」(91)をはじめ映画監督としても活躍中。
【番組情報】
私の愛した007 シリーズ完全放送
スターチャンネル
9月29日(土)~ 毎週土曜&日曜 午後9:00/1作品ずつ連日放送(STAR2 字幕)
10月7日(日)~ 毎週日曜 午後0:00頃~/2作品ずつ一挙放送(STAR3 吹替)

https://www.star-ch.jp/007/

撮影/蓮尾美智子 取材・文/なかざわひでゆき

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