闘う男の素顔にトライ!

連載

「闘う男の素顔にトライ!」#6~野口竜司(東海大学)~
ジャパンラグビートップリーグで活躍する選手にクローズアップ!

 日本開催のラグビーワールドカップ(RWC)2019まで、およそ1年半。ジャパンラグビートップリーグは、日本代表を目指す選手たちがしのぎを削る、文字通りRWCへの扉を開ける鍵となってくる。

 でも、どんな選手がいるのか? 果たしてラグビーの魅力はどこなのか? イマイチよく分からない。そんな人も多いだろう。

 そこでインターネットTVガイドでは、日本代表選手や代表入りを目指す選手にインタビュー。より身近にラグビーを知ってもらおうと、選手の人生に影響を与えた<ヒト><モノ><コト>にクローズアップすることで、選手の素顔やアスリートならではの心情に迫るインタビューを連載中。

 第6回となる今回は、東海大学ラグビー部主将で、大学生として唯一15人制日本代表に選ばれた野口竜司選手。この春、“野武士軍団”パナソニック ワイルドナイツに入団が決定し、先ごろサンウルブズ(日本代表とは別に、ラグビーの国際大会「スーパーラグビー」に参加している日本チーム)入りも果たした期待のフルバック(最後尾に位置し、バックスを統率する、バックス最後の要のポジション)に、ラグビーに目覚めたきっかけやラグビーにハマった理由、気になるプライベートを聞いてみよう。

──まずはパナソニック入団決定、おめでとうございます。

「ありがとうございます!」

──パナソニックの練習場は、群馬県太田市。環境には慣れましたでしょうか?

「まだホテル暮らしのため落ち着かない部分はありますが、練習場もクラブハウスも充実していますし、ラグビーに集中できる素晴らしい環境だと思います。周りに何もないと言えばその通りなんですけど(笑)、大学の練習場も(神奈川県平塚市)似たような環境でしたし、パナソニックに入団を決めた理由の一つに、こうした設備や環境の充実があったので、問題は全然。余計なものは遮断して、2019(のRWC)に向けて練習に打ち込もうと思います」

──1995年生まれ、大阪府東大阪市出身の22歳。東海大仰星高校時代には高校日本代表に選ばれ、2016年4月に行われたアジアラグビーチャンピオンシップ第1戦韓国戦で日本代表初キャップを獲得と輝かしいキャリアですが、ラグビーを始めたのは意外と遅かったようですね?

「中学1年生の頃、部活動で始めました。2歳年上の兄の所属するクラブチームで幼稚園からサッカーをやっていたんですけど、中学にサッカー部がなくて」

──お兄さんは、近鉄ライナーズの野口大輔選手。ちなみに中学にサッカー部がないのは、“東大阪あるある”だそうで。

「大阪はラグビーが盛んなので、サッカー部のない学校が多いんです。それで、兄はラグビー部に入り、自分はこのままクラブチームでサッカーを続けようかなと思っていたら…僕の家は“自分のことは自分でできるようになってほしい”という、両親の教育方針があって。兄は練習で汚れたソックスやスパイクを、ちゃんと自分で洗っていたんですけど、僕は面倒で怠けていたんですね(笑)。そうしたら、『そんな子をクラブチームに行かせることはできひん。高いお金は払われへんから部活動に入りなさい』と言われ。それでバスケットボール部もいいかな…と」

──(笑)。ラグビーの、最初の印象は?

「兄の練習を見に行ったら、コンタクトスポーツですし、痛そうやし、怖いなと(笑)。でも、兄のボールに触れたり、試合を見に行くうちに自分もやってみたいなあと思うようになってきて。それが小学校6年生の終わり頃でした。“たられば”ですけど、ここで兄が違うスポーツを選んでいたら…。もっと言えば、親がサッカーを続けさせていたら…。そう思うと家族には感謝しなきゃいけないですね。サッカーでは、日本代表はおろかプロ選手にさえなれていなかったと思うので」

──それにしても、枚岡中学校、東海大仰星高、東海大と、各カテゴリーで早くからレギュラーの座をつかむなど、類まれなる才能を発揮。ご両親も何かスポーツをやられていたんですか?

「父はサッカー経験者で、母は陸上部で足が速かったそうですが、僕は遅いので何とも言えないです(笑)。足も速くない、とりたてて体も大きくないという部分を乗り越えようと自主練をしたり。そういう積み重ねなのかなあ、というくらいです。また中学の時に運よく選抜チームに入れてたことで、“もっと上のレベルでやってみたい”と、強く思えたこともあるかもしれません」

──聞けば、大の負けず嫌いだそうですね。

「そうです(笑)、ほんまに小さい頃から…例えば、兄との口ゲンカであっても負けたくないくらい、負けず嫌いな性格も成長につながったと思います。右足でしかキックできなかったのですが、先生に『なんや? 左で蹴られへんのか』と言われて必死に練習したり。今思えば、そういう僕の性格を知っての発言やったと思うのですが」

──お兄さんとは、中、高、大学で一緒にプレーして。大輔選手いわく、「性格は反対で、弟がクール、僕は明るい(笑)」とか。

「僕自身は人見知りであったり社交的でない部分があって。兄はコミュニケーション能力が高いタイプ。ちまたでは“営業スマイル”と呼ばれてますけど(笑)。僕は逆に、高校、大学時代も後輩から話しかけてもらえなくて。後で聞けば、“話しかけるなオーラ”が出ていたと。自分では、そんなつもりはないんですが…。でも、ことラグビーにおいては、バックスを統率するというポジション柄もあって、自分は何がやりたい、こういう選択肢があるんじゃないかと、どんどんしゃべれるんですね。なので、これからは社会人として普段の会話も率先してやっていきたいですし、チームには海外の選手も多いので英語の勉強も頑張りたいと思います」

──ここまで順風満帆に見える野口選手。これまでのターニングポイントは?

「えっと…二つあって。両方とも悔しい経験ですね。一つは、高校1年の時のある試合で、自分の判断が全部、逆になったんです。その時に土井(崇司前監督)先生から『お前、フルバックやめろ』と言われたことで、自分が変われた。考えてプレーするようになりました。今までは何となくできていた…と言いますか。つまりは、よく理解せずにやっていたんですね。今でも判断の早さ、スキルは克服するべき課題ですが、その時に“考える”ことを意識してやるようになった。この経験が今に生きていると思います」

──もう一つは?

「大学に上がる時にU20の代表に選んでいただいたんですけど、試合に出れなくて。中学2年生でレギュラーになり、そこから高校の終わりまで試合に出れなかった経験がなかったのでショックでしたし、自分には何が足りないのか見えました。監督は(現在サントリーサンゴリアスを指揮する)沢木敬介さんやったんですけど、めちゃくちゃ怒られて。自分でも何をしたらええんかな、みたいになって(笑)。だけど、そこで学んだこと、見えたことを大学に持ち帰って、生かすことができました。2015年のU20では、レベル、スキルが高い海外選手と対戦して、自分もそうなるためにもっとトレーニングしていかないといけないとも思いました」

──ここでちょっと、ゆるめの話を。東海大ラグビー部のプロフィールを拝見すると、趣味は「映画鑑賞」とありますが…。

「すみません! “趣味欄”で一番見るヤツですよね(笑)。本当に趣味らしい趣味がなくて、困った挙句、アンケートに書いて。その時、どこかの配信サイトでたまたま映画か海外ドラマを見ていたから書いたんだと思うんですけど…最近は、お風呂。リラックスしたい時は銭湯に行くようになって。近くの銭湯や、たまにスーパー銭湯も行きますね。(1人でしゃべらなくてもいいから?)いいえ、大学のチームメートとか友達と一緒に行って、アホな話ばかりしてます(笑)。たまに車で温泉とか、遠出もします」

──座右の銘は「満足と妥協は進化を止める」。

「これは中学の引退時に先生からいただいた言葉です。3年生はラグビーボールをいただけて。そこに“体は熱く心は冷静に”と、僕への言葉を書いてくださって。もう一つ、チームとしていただいた言葉が“満足と妥協は進化を止める”でした。この時は何にも気にしていなかったんですけど、高校1年の夏に、Aチーム、Bチーム…とあるうちのAからBに落ちて。ふとボールを見て、ようやく意味が分かりました。それまで何となくできていたプレーでも、もっと練習して、さらに進化させなきゃいけないなと反省しましたね」

──で、将来の夢が…ラグビーには全く関係のない「幸せな家庭を築く」と。

「恥ずかしいです(笑)。最初はラグビー系のことを書いたんですけど、『これ、全然おもんないぞ』ってみんなに言われて。ちょっと笑いをとりにいこうと思い書いたんですけど…結果、よりおもんないという最悪の事態に。でも、ラグビー以外では、そういう夢も確かにありますし。こうしてパナソニックに入団して家庭を持たれている先輩方を見ると、素直にいいなあと思うので(練習後のクラブハウスには、選手の子どもたちであふれている)、今はその答えでよかったかなと思っています」

──2018年度は、野口選手をはじめ、U20日本代表の経歴を持つ中央大学の笠原開盛選手、同じく中大の床田裕亮選手、流通経済大の主将を務めた大西樹選手、東福岡高校の福井翔大選手がパナソニックに加入。皆さんとの関係はいかがですか?

「笠原開盛とはU20でも一緒でしたし、高校生の福井以外は大学のリーグ戦で何度か対戦しているので人見知りの自分でも平気です(笑)。福井は、かわいいですね。すごく真面目なので、これから僕らがイジってキャラが変わっていくんだろうなとは思いつつ(笑)、一度みんなでご飯に行ったので、これから。先ほども言いましたが…特に福井には怖がられていそうなので、(“話しかけるなオーラ”を感じさせないように)僕の方から積極的に話しかけていきたいと思います」

──最後に、初心者の読者向けにラグビーの魅力、ご自身のプレーの見どころをお願いします。

「ラグビーはコンタクトスポーツでありながら、ただ体が大きくて強くても勝てないスポーツ。逆に、体が小さくてもスキルで上回れば大きい相手とも戦えるところが面白さだと思います。ですから、そのへんの駆け引きがポイント。僕の見どころは…昔はタックルと言っていたんですけど、こだわりたいと思っているのは的確なキックです。右利きですが一応、両足で蹴ることができますので、よろしければそこにも注目して見てください」

 今季のトップリーグを観戦すれば、来年、世界中のラグビーファンが注目する大舞台でプレーする日本代表選手がおのずと見えてくる。J SPORTSオンデマンドでは、ジャパンラグビー トップリーグ17/18シーズンの見逃し配信のほか、2月17日に開幕したスーパーラグビー2018も全試合配信。野口選手も招集されたサンウルブズの活躍はJ SPORTSで!

【闘う男のこだわり!】
「ルーティーンと呼ぶほどではないですけど、試合前に必ずやるのはスパイクを磨くこと。明日の試合をシミュレーショしたり、心を落ち着けるためにやっています。磨くのは試合前だけ…というのは、子どもの頃から変わりません(笑)」
【昨日の敵は今日の友!?…ラグビー選手交友録】
「同世代では、帝京大学の尾崎晟也に堀越康介(共にサントリーサンゴリアス入団)。晟也はU20の遠征で同部屋なこともありました。あとは高校の時の主将で、同志社大でも主将を務めた野中翔平。帰省した時も一緒に遊びました。怪しい関係と言われています(笑)」
【プロフィール】
野口竜司(のぐち りゅうじ)
1995年7月15日生まれ。大阪府出身。東海大学在学中。2018年度からパナソニック ワイルドナイツに所属。ポジションはフルバック。身長177cm、体重86kg。B型。ニックネームは「りゅうじ」。安定感あるフィールディングとアタックセンスに長けている。兄・大輔(近鉄)の影響でラグビーを始め、東海大仰星高校時代には1年生で花園に出場、3年時は優勝も経験している。そして高校日本代表、U20日本代表、ジュニア・ジャパンと着実に成長。東海大学に進学した後も、1年からFBのレギュラーとして活躍し、唯一の大学生選手として代表に選ばれた。代表キャップは12(2017年11月現在)。
【ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズ戦 放送予定】
2月24日(土)午後0:45~ ヒトコム サンウルブズ VS ブランビーズ
3月3日(土)午後0:45~ ヒトコム サンウルブズ VS レベルズ
3月10日(土)午後9:55~ シャークス VS ヒトコム サンウルブズ
3月17日(土)深夜0:05~ ライオンズ VS ヒトコム サンウルブズ
3月24日(土)午後0:45~ ヒトコム サンウルブズ VS チーフス

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局J SPORTSでは、スーパーラグビー2018 ヒトコム サンウルブズ戦 全試合放送&配信!

取材・文/橋本達典 
撮影/今村敏彦

キーワード
関連リンク

PAGE TOP