気まぐれドキュメンタリー散歩

コラム

「ヤクザと憲法」の圡方宏史監督ら気鋭の制作者が集い熱いトーク! 「地方の時代」映像祭2017シンポジウムを放送

 昨秋、大阪・関西大学で開催された「第37回『地方の時代』映像祭2017」。贈賞式に続いて行われた「『地方の時代』映像祭シンポジウム」の模様が、2月3日(土)に「TVシンポジウム」(NHK Eテレ)で放送されます。今回は「テレビは挑戦を続ける」と題し、ジャーナリストの吉岡忍氏(日本ペンクラブ会長)の司会で、パネリストに東海テレビの圡方宏史氏(1976年生まれ)、NHKエデュケーショナルの佐々木健一氏(1977年生まれ)、テレビ東京の高橋弘樹氏(1981年生まれ)、日本テレビの小田玲奈氏(1980年生まれ)を迎えました。例年、ドキュメンンタリーのベテラン制作者や各テーマの有識者などキャリアを積み上げた方々の意見を伺う雰囲気がありましたが、今回のパネリストはテレビの最前線で活躍中の4人のテレビマン。登壇の際には年齢も紹介して若さをアピール、未来志向を意識したというところでしょうか。

 初めに、それぞれのパネリストがどんな番組を作ってきたかをVTRで披露しながら自己紹介。先陣をきったのは、東海テレビの圡方氏。映画「ヤクザと憲法」(2016年)や「ホームレス理事長 ―退学球児再生計画―」(2014年)の監督を務め、取り上げるテーマにタブーを作らない東海テレビドキュメンタリーのシンボル的な作品を作り、注目を浴びました。情報番組やバラエティー番組を経験後、報道部に異動。県警担当記者の経験が「ヤクザと憲法」につながっています。

 NHKエディケーショナルの佐々木氏は、「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」(NHK BSプレミアム2013年4月放送)や「ブレイブ 勇敢なる者『えん罪弁護士』」(NHK総合 2016年11月放送)などジャンルや型にこだわらない番組を制作。美術や照明も考えるなどディレクターの枠を超えた番組作りへのこだわりが真骨頂。NHKのみならず民放でも実績があり、雑誌連載や著書も出すなど多才でマルチな活躍を続けています。

 テレビ東京の高橋氏は、「空から日本をみてみよう」「家、ついて行ってイイですか?」などのバラエティーからドキュメントバラエティーまで、幅広いジャンルで新境地を開拓。ユニークで話題性の高い番組が多いテレビ東京を、まさにけん引しています。著書もあるほか、放送文化基金の制作者フォーラムでも度々審査員を務めるなど、若くして早くも業界で一目置かれた存在です。

 日本テレビの小田氏は、今回唯一のドラマプロデューサーですが、2年前までは情報・バラエティー番組に携わっていました。ドラマ「家売るオンナ」「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」などをプロデュース。綿密な取材とこれまでのドラマにはない見せ方にトライするなど、斬新な手腕で一躍注目を浴びています。

 多士済々な4人に、前半は司会の吉岡氏が企画はどこで思いつくのか? 失敗はあるのか?などを問いかけ、後半はそれぞれが工夫をしていることをVTRで披露し解説。これまでのオーソドクッスとは違う手法に常にチャレンジしているさまが惜しみなく披露されました。「規制があるとか、越えるものがあった方が面白いものが作れる」(小田氏)、「売れる理屈を説明できない番組はいい番組にならない。テレビの受動視聴という利点を生かしていくべき」(高橋氏)、「多チャンネルと双方向でテレビはおもしろくなったのか疑問。偶然の出会いを演出する」(佐々木氏)、「好きで作ることがもっと問われている」(圡方氏)など、テレビの格言的な言葉が次々と飛び出してもいました、吉岡氏の親近感のある話の振り方もあって、互いの質問も活発に飛び交い、あっという間に2時間を超えたシンポジウム。放送時間の関係でそれらすべては収まりませんが、タイトルどおり「挑戦を続ける」テレビマンの熱を持った語りは、そのエッセンスを伝えるに十分なはずです。


「TVシンポジウム『“地方の時代”映像祭2017~地域だから見えるもの』」
NHK Eテレ
2月3日 土曜
午後2:00~3:00
*昨年11月に大阪・関西大学を会場に行われた「第37回『地方の時代』映像祭2017」をダイジェスト。グランプリほか入賞作品の紹介や日本ペンクラブ会長・吉岡忍氏による記念講演「表現の自由の今」ほか、「テレビは挑戦を続ける」と題したシンポジウムの模様をお届けする。
関連リンク
第37回「地方の時代」映像祭2017、11月11日から関西大学・千里山キャンパスで開催
https://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20171103_01.html
第37回「地方の時代」映像祭グランプリ受賞作「SBCスペシャル かあちゃんのごはん」の東京上映会を11月25日に開催!
https://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20171124_01.html
刺激満載! 若手制作者の登竜門。新たに開催された「愛知・岐阜・三重制作者フォーラムin なごや」をレポート
https://www.tvguide.or.jp/column/kimagure/20171201_01.html
キーワード
Y・I
株式会社東京ニュース通信社 コンテンツ事業局担当
1988年入社。30代から放送局担当記者に転身、後にTVガイド編集部。同副編集長、デジタルTVガイド編集長ほか番組表・解説記事製作の部門長、西日本メディアセンター編集部長などを歴任。全国各地で放送されている質の高いドキュメンタリー番組と、精魂こめて地道に番組作りに勤しむ制作者の姿に注目してきた。人生の糧となるドキュメンタリーの名作・力作の存在を、より多くの視聴者に知らせるべく、日々ネタ探しの歩みを続ける。
PAGE TOP