気まぐれドキュメンタリー散歩

コラム

山口放送制作の映画「ふたりの桃源郷」が2017アメリカ国際フィルム・ビデオ祭で金賞受賞!

 これまでにいく度か紹介してきた山口放送制作のドキュメンタリー映画「ふたりの桃源郷」が、「2017アメリカ国際フィルム・ビデオ祭」のエンターテインメント部門で「Gold Camera(金賞)」を受賞しました。このアメリカ国際フィルム・ビデオ祭(U.S. International Film and Video Festival)は、1968年に米国・シカゴで創設された世界最大級の映画祭と称されています。現在はロサンゼルスで開催され、「企業」「教育」「ドキュメンタリー」「エンターテインメント」および「学生」という5つカテゴリーのコンテンストで優れた映像作品、活動を讃えています。なお、今回が第50回の記念大会でもありました。

「ふたりの桃源郷」は、山口県岩国市の山奥を舞台に、戦後、自ら開拓した山間地で寄り添って暮らす老夫婦の姿を25年にわたって取り続けた作品です。観る人の立場やタイミングによって、さまざまな捉え方が出来たり、観た印象が変わったりすることもこの作品の魅力の1つです。昨年5月に劇場公開以降、すぐさま好評を博し、ロングラン上映されてきました。公開1周年には、地元山口県内や都内でアンコール上映。いまだ全国各地で地道な上映が続いています。特に、ドキュメンタリー映像祭やその類の特集上映では欠かせない、定番作品の1つです。自主上映も含めると観客動員数は既に6万人を超え、ドキュメンタリー映画としてはかなりの集客となっています。またその間、英語版の制作も進められ、世界の主要な映像祭に出品してきたそうです。その1つがこのアメリカ国際フィルム・ビデオ祭でした。そして今回、この作品がドキュメンタリー部門でなく、エンターテインメント部門でのエントリーだったことが戦略的にも功を奏したよう。同映像祭の公式サイトでは、―――「2人のテデン」(英語版タイトルは「An Eden for Two」)は第2次世界大戦後、電気、電話、配管などをせずに山の奥深くに住むことを選んだカップルをフィーチャーしている――― と紹介され、全編に流れる温もりのある夫婦のドラマが、オンラインで参加する世界中の審査員の心に高いエンターテインメント性を届けたのだと思います。

 この作品の監督を務めた山口放送の佐々木聰さんから今回の受賞に際し、月並みですがと前置きしながらも「より多くの人々に見てもらいたいという思いで制作した映画が、海外の人々にも感じてもらえたと受け止め、スタッフ一同喜んでいます。さらに多くの人々に見ていただくきっかけになるとうれしいです」と喜びのコメントを寄せていただきました。そして、佐々木さんが制作したドキュメタリー番組「奥底の悲しみ」(昨年1月放送)の海外版が、今年4月に行われた世界最大のテレビコンクールと称される2017ニューヨークフェスティバル(New York Festivals 2017 International Advertising Awards)でも、社会問題がテーマのHuman Concerns部門において銅メダルを受賞。エルビス・プレスリーのデビューの地である米国・ラスベガスのウエストゲートホテルで行われた授賞式で、佐々木さんは見事表彰を受けていました。つまり、佐々木さんの手がけた作品が、この2カ月あまりの間に世界のアワードを2つも獲得するという快挙を果たしたのです。ただし、今回のアメリカ国際フィルム・ビデオ祭は贈賞式がなく、トロフィーは後日送られてくるのだそうです。晴れ舞台がないのは少し残念な気もしますが、同局編成部によれば、今後も韓国の映画祭のコンペにエントリーしているなど、国際的に評価される機会はまだまだ続きそうな予感です。あらためて心よりお祝いを申し上げます。佐々木監督、おめでとうございます!!

映画「ふたりの桃源郷」
 ■山口放送 ナレーション/吉岡秀隆  監督/佐々木聰

*山で暮らす一組の夫婦と、2人を支える家族の姿を25年にわたり追い続けたテレビドキュメンタリーシリーズを映画化。第90回キネマ旬報ベスト・テン文化映画作品ほか数々の賞を受賞し、テレビ放送時からのファンも数多い。夫婦とは、家族とは、生きるとは、見る人それぞれの心に静かに染み入る、映画としての桃源郷的な作品。

現在、山口県内・萩ツインシネマで再上映しているほか、今後も広島、徳島、香川、北海道、埼玉などで上映を予定。自主上映にも対応あり。
*詳細スケジュールは下記よりご確認ください。
http://www.kry.co.jp/movie/tougenkyou/schedule.html http://kry.co.jp/movie/tougenkyou/guide.html
Y・I
株式会社東京ニュース通信社 コンテンツ事業局担当
1988年入社。30代から放送局担当記者に転身、後にTVガイド編集部。同副編集長、デジタルTVガイド編集長ほか番組表・解説記事製作の部門長、西日本メディアセンター編集部長などを歴任。全国各地で放送されている質の高いドキュメンタリー番組と、精魂こめて地道に番組作りに勤しむ制作者の姿に注目してきた。人生の糧となるドキュメンタリーの名作・力作の存在を、より多くの視聴者知らせるべく、日々ネタ探しの歩みを続ける。
PAGE TOP