コラム

中村屋に長年密着している演出・松木創氏が語る、勘九郎&七之助の魅力

 11月9日の金曜プレミアムでは、「密着!中村屋ファミリー 勘九郎七之助に世界が喝采&7歳5歳涙の猛稽古SP」(フジテレビ系)を放送します。歌舞伎の名門・中村屋を四代にわたり追い続けている、フジテレビ独占取材のドキュメンタリーです。2018年12月で中村勘三郎さんが亡くなって6年。七回忌となる今年は、中村屋にとって“特別”続きの年となったようです。

 今回は、中村屋を14年間追い続け、番組の演出をご担当されている共同テレビ所属の松木創さんにインタビュー。中村屋の酸いも甘いも全てご存知であろう松木さんに、中村屋の魅力について語っていただきました。「歌舞伎は分からない・・・」という方でも、どこかで中村勘九郎さんや七之助さんはお見かけしたことがあるはず。お二人が持つスター性についても、松木さんに分析していただきました。

──まずは、今年の中村屋を振り返ってみて、どんな1年だったでしょうか。

「今年は、勘九郎さんがNHKで大河ドラマ(「いだてん~東京オリムピック噺~」)を撮影されていたので、基本的には七之助さんが大きな役を次々と演じられていました。七之助さん自体の評価がここ2、3年で大きく変わっていて、人気もうなぎのぼりになっていたのでちょうど良いタイミングだったのではと思っています。今までは勘九郎さんと七之助さんが両輪で、ということが多かったのですが、そういう意味では今年は特別な年だったと思います」

──18年は中村屋の歴史の中でも特にイレギュラーだったのですね。では、長年密着されていて、変わったことと変わらないことを教えてください。

「変わったことは、勘三郎さんが亡くなったことによって、勘九郎さんと七之助さんの役者としての迫力やたたずまいが大きくなったと感じます。いるだけで場内が沸く存在になりましたね。変わらないことは、チームワークでやっているので、もちろん勘三郎さん、勘九郎さん、七之助さんのような伝統のある家の役者さんが中心にはなるのですが、弟子もそれぞれ仲間としてやっていくという考え方はずっと変わっていないように思います」

──勘九郎さんと七之助さんが、勘三郎さんに似てきたと感じる点はありますか?

「似てますよね(笑)。勘九郎さんは、数年前から声が似ていたんです。最初は父親のまねをすることから始めるので勘九郎さんも声を似せていたのかもしれませんが…。七之助さんは、外見はそれほど似ていないと思います。どちらかというとお母さまに似ていて。ただ、最近舞台に登場されるとドキッとする瞬間があるんです。いでたちというか、雰囲気というか。2人とも、勘三郎さんがまとっていたような華が出てきたなと思います。勘三郎さんが亡くなる前に、病気で休演した際に勘九郎さんが代役で博多座の公演に出たんですが、お客さんが入らなかったんです。ですが、亡くなった後に同じような役をやった時には満員となって。やはりそれは本人の力なんですよね。勘三郎さんが亡くならない方がいいに決まってはいるんですが、ただ2人がお客さんも呼べるようになって芝居もとても魅力的になっている、というところは中村屋の希望なのかなと感じています」

──勘九郎さんと七之助さんの“アイドル性”はどのようなところだと思いますか?

「勘九郎さんは典型的なヒーローのような感じで。でも、勘三郎さんが勘九郎さんの踊りをかなり評価していて、ものすごく踊りが上手なんです。なので、男役としてスーパーヒーローを演じてほしいのと同時に、様々な舞踊も見たいですね。七之助さんはとにかく奇麗なので、その美しさへの女性ファンは本当に多いです。なので、七之助さんは坂東玉三郎さんのような圧倒的な人気女形になってほしいですね」

 勘九郎さんや七之助さんという人物を語るうえで、やはりお父さまの勘三郎さんの存在が欠かせないようですね。“演技や顔立ちよりもその人自身が持つ華が重要”という点で、歌舞伎はドラマや舞台と一線を画しているのかなと思います。

 さて、ここまで読んでいただいた方で、「歌舞伎を見に行きたいけれどなんだか敷居が高そう…」なんて思っている方も多いのではないでしょうか(かく言う私もその1人です!)。そこで、松木さんに、初心者でも安心な歌舞伎の楽しみ方を伺ってみました。

──松木さんは、取材をし始めた時は歌舞伎をあまりご存じなかったと伺いました。そこから約14年間取材をされてきて、歌舞伎の魅力はどのような点だと感じていますか?

「最初に見た歌舞伎は、全て現代語のコメディーでした。そういう芝居も結構あるので、見やすかったという点も入り口として良かったのかもしれません。歌舞伎で何が一番魅力かというと、全てにおいて一流の人たちがそろっていることだと思います。例えば、舞台には三味線を弾かれる方々がいつもいらっしゃるんです。つまり、オーケストラもいて役者もいて、値段が高いですが、それには理由があるんです。普通の芝居だとストーリーや演技を見るのが中心ですが、歌舞伎は三味線だけ聴いても満足できますし、衣装だけ観ても楽しめる、役者も何百年も磨かれてきた芝居や型を披露しています。音楽も楽しめて衣装も楽しめて芝居も楽しめて、と、エンターテインメントの全てが詰まっていると思いますね。敷居が高いかと思われがちですが、私もいつもジーンズとかですし(笑)、内容が分からなければイヤホンガイドもあるので初心者の方でも楽しめると思います」

「歌舞伎は奥が深いし言葉も難しい」と言われることも多々ありますが、実際に足を運んでみると自分なりの楽しみ方が見いだせるのではないでしょうか。この番組を見れば、勘九郎さんや七之助さんの素顔が分かります。まだまだやんちゃ盛りのなか、稽古に励む勘九郎さんのお子さんの勘太郎くん、長三郎くんへの密着映像は、まさしく笑いあり涙あり。歌舞伎好きでなくても楽しめる内容になっています。歌舞伎に詳しくない方がご覧になれば、新たな趣味の扉が開くかもしれません。

フジテレビ担当 A・M

【番組情報】
金曜プレミアム「密着!中村屋ファミリー 勘九郎七之助に世界が喝采&7歳5歳涙の猛稽古SP」
フジテレビ系 
11月9日 午後7:57~9:55
 
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