コラム

駿河太郎主演「ドラマ×マンガ“戦争めし”」は「人間の成長ドラマ」

 NHK BSプレミアムでは8月11日に、現在、月刊のコミック誌「ヤングチャンピオン烈」に連載されているマンガ「戦争めし」の作者・魚乃目三太さんをモデルにした「ドラマ×マンガ“戦争めし”」を放送。同作は、マンガ作品がドラマの中に織り交ぜられながら進行していく新感覚オリジナルドラマです。

 主演の駿河太郎さんが演じるのは、食を通して戦争を伝える漫画を描く売れない漫画家・山田翔平。そんな翔平に対して厳しくも温かい態度で接する担当編集者・井澤奈緒を壇蜜さんが演じます。翔平のマンガは奈緒に認めてもらえるのでしょうか!? 今回、その駿河さんと壇蜜さんに撮影裏話やお互いの印象などをじっくりと伺いました。

──まずは撮影を終えての感想や見どころを教えてください。

駿河 「マンガと実写ドラマの融合感が斬新で、題材が戦争でも分かりやすく、見やすくなっていると思います。戦争の話を経験者から直接聞けるのは、今40歳なんですけど僕の年代が最後だと思っているので、この機会に主役をやらせてもらえて感謝しています」

壇蜜 「今回のドラマは漫画『戦争めし』ができるまでの『エピソード0(ゼロ)』のような存在だと思っています。ドラマを見終わった後に『漫画を読みたいな』と思い、繰り返し戦争のことを思う時間を過ごしていただけたら、大成功かな、と。ドラマから始まる、戦争に関することへの興味、戦争に関心を持つことの導入になったらいいですね。真っすぐで漫画に対してひたむきで、戦争を知ろうとすることに情熱的な主人公を時に厳しく時に優しく見守る役をできたことを光栄に思います」

──台本を読んでの感想と、お芝居をしてみてのお互いの印象を教えていただけますでしょうか。

壇蜜 「まずはラブシーンの有無を確認し、なくて安堵(あんど)しました(笑)。戦争を描写したドラマなので暗くなりすぎてもだめだし、明るくなりすぎても伝わらないので、戦争を経験してない人が伝えることは非常に難しい、責任重大だなと感じました。ただ私は漫画が好きなので、編集の仕事や漫画家さんがどうやって作品を作っているのかということに興味はあり、その興味から役に入っていけたらいいなと考えました。駿河さんの第一印象は『年齢不詳だな』と。とても若々しいけれど発言は大人だし、お子さんもいらっしゃるようですし、年上と知って驚きました。怒鳴ったり、相手に強く出るという演技が非常に苦手で、駿河さんには細かく演技指導をしていただきいつも感謝していました」

──具体的にはどんなふうに指導を?

駿河 「壇蜜さんはふわっとした雰囲気なので、怒るにしても彼女の中にあるものじゃないと出てこないし、ただ声を荒げるより急に表情が豹変(ひょうへん)してぐっと近づかれただけでドキッとしたりするので、そういうふうにした方がいいんじゃないかと、壇蜜さんや監督に提案させていただきました」

壇蜜 「自分がやりやすいように、という提案をしていただけることが多かったので非常に感謝しています」

駿河 「僕が台本を読んだ感想は、マンガと実写がどう交じり合うんだろうというのが一番初めに感じました。きっと誰も見たことのないようなドラマになるんだろうな、面白そうだなと。戦争を残していく、戦争のことを知る入口になる作品になればいいなと思いました。僕も壇蜜さんとのラブシーンを一応確認し、なくてちょっと残念だなと(笑)。でも情報量が多いですし、こんな面白い台本で主演をさせていただけることがありがたいです。壇蜜さんの印象は『思っていた通りの方だな』と。フワフワしているのと掘れば掘るほど変わっているな、と。それは本人も自覚しているので、ね!(壇蜜さんうなずく)。自覚していてこの状態なのでホッとしました」

──どんなところが変わっているのでしょうか。

駿河 「ヘビを飼っていたり、インコを飼っていたり…」

壇蜜 「脊椎動物をコンプリートしたくて」

駿河 「その言い方! 独特でしょ!?」

壇蜜 「撮影時にはインコを飼っていなくて、『鳥類が足りない!』と言っていたんですけど、今日お会いした時に『ついに鳥類そろえました!』て報告して」

駿河 「『おめでとう』としか言えないじゃないですか(笑)。お芝居に関しては、ディスカッションする時間が多くて。監督、プロデューサーを含めみんな、この作品をいいものにしたいという気持ちが強くて、その時間をちゃんととってくれたのがありがたかったです」

──このドラマを機に、原作に興味を持たれる方もいらっしゃるかもしれないですね。

駿河 「それはありがたいですね。魚乃目さんとは撮影時にお会いしたんですけど、年が近くて戦争に対して感じていることが似ていました。学べることが非常に多く、食は時代に関係なく人を幸せな気持ちにさせてきたんだ、ということを優しく描いている漫画です」

壇蜜 「漫画にはつらい描写があるけれど、必ず救いが入っています。例えば記憶をなくしても料理を作り続けることで生きていく希望が湧くというような。救いの部分をしっかり色濃く描いてくださっているのでまた読みたい!という気持ちになります」

──駿河さんは漫画家の役として、実際に描き方を習ったのですか?

駿河 「僕は本当に絵が下手です。初めての本読みの時に『手元が映ったり、絵を描くシーンは僕に描かせないでください』と言いました(笑)。だから書くシーンは、Bluetoothで先生が別室で書いていて僕はそれをなぞるだけでした。こんなぜいたくなことないですよね!」

壇蜜 「二人羽織みたいな」

駿河 「ほんとそんな感じ! 協力的でありがたかったです」

壇蜜 「駿河さんの絵の腕前を見たかったんですけど、つゆぞ見れぬ…」

──劇中の中で印象的だった「母の愛」ですが、母から感じた愛情についてや、「お袋の味」があれば教えていただけますか。

壇蜜 「うちは共働きだったんですけど、中学から高校まで母は毎日お弁当を作ってくれていて、お弁当が母との交流になっていました。お弁当の中身で『今日は忙しいんだな』とか母のコンディションの確認もできたので、母に代わって何かしたいと思うようになり料理への興味も湧きました。特に母が作る薄い卵のオムライス弁当が好きで、卵の焼き加減で母の調子を見ていました(笑)」

駿河 「僕はベタですけどから揚げが大好きで、もちろん母のから揚げは好きですけど、高校で友達のお弁当にから揚げが入っているともらって食べ比べをしていました(笑)。家庭によって味が違うので気に入ったのがあったら、その子がから揚げを持ってきた時に必ずもらっていました(笑)。母から感じた愛情というのは、昔からいい意味で放っておいてくれること。つい手を貸したくなるけれど、あえていい距離感で接してくれていたのがある意味愛情だと思うので、それがありがたかったです」

──視聴者がタイトルやテーマから連想するイメージを「それだけではない」とお二人の言葉でアピールしていただけたらと。

壇蜜 「作品に出てくる料理が急に食べたくなります。戦時中で物がない時代でつらい描写があり、もし自分が…と思うとしんどいシーンがたくさんありますが、大変な時代を経て今、豊かな環境になったのだといとうことをかみ締められます。忘れかけていた豊かさや、振り返れば恵まれていたのだな、と気付かされる作品になっています。あと、料理に再現しやすいものが多いので当時の食べ物にも興味をもってもらえたら、悲しい気持ちやつらい気持ちを乗り越えられたのかなと思います。ちなみに私はすいとんを再現しました」

──いかがでしたか?

壇蜜 「これは、かむ回数を増やして食欲を満たす工夫がされているんだ。こうやっておなかを膨らませていたんだ、とかみ締めました」

駿河 「僕はタイトル、テーマは“戦争とご飯”だけれど『翔平の成長ドラマ』と捉えています。仕事で悩んでいた時に切り開けたのが、戦争とご飯を題材にした漫画というのが翔平で、そのきっかけは周りの人に恵まれていろいろ与えられたものではあるけれど、翔平がひたむきに取り組んだ結果、成長していくというふうに考えているので、戦争ドラマではなく人間の成長ドラマと映ったらうれしいです」

──今後も何作も語り継がれるような駿河さんの代表作のようになるといいですね。

駿河 「戦争が題材ですし、この時期に放送する風物詩になればいいなと思います。そうなるのが理想です。魚乃目さんも漫画を描くにあたり、本当にたくさん取材していてその熱もすごく感じたし、残していかないといけないという使命も感じていらっしゃるようです。僕が感じていたことを魚乃目さんとお会いして話して答え合わせをし、僕が主演して作品として残っていくのは意味があるな、と感じました」

 この作品は、ドラマの中で戦時中のエピソードを紹介する場面は原作をそのまま映像にして音声化しています。また、ドラマを制作するにあたり、あらためて戦争経験者へ取材をし、新たな漫画を書き下ろしてもらった部分もあるとのこと。「漫画と実写の融合」「食と戦争がテーマ」という、今までにない企画がドラマにどのような効果を与えているのか、放送がとても楽しみです。

NHK担当 Y・T

【番組情報】
「ドラマ×マンガ“戦争めし”」 
8月11日 
NHK BSプレミアム 
午後10:30~11:30
 
キーワード

関連記事
PAGE TOP