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コラム

「アライブ」でがんのイメージが変わる? 腫瘍内科医が語るがん治療の今とは

アライブ

 現在、毎週木曜に放送中のドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」(フジテレビ系)。松下奈緒さん演じる腫瘍内科医・恩田心と、木村佳乃さん演じる有能な消化器外科医・梶山薫の2人の医師を中心に、がんと闘う医師と患者の姿を描くメディカル・ヒューマンドラマとなっています。今回は本作で医療監修を務める、がん研有明病院の小野麻紀子先生にインタビュー。社会におけるがん患者の実情や治療していく上で大切にしていることなどを伺いました。

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── まず、腫瘍内科が舞台のドラマであると聞いた時の感想を教えてください。

「うれしかったです。腫瘍内科は世間的にも、まだあまり知られていません。テレビという影響力の強い媒体で取り上げていただいたら、一般の方への知名度が上がるチャンスだなと思いました」

── 先生が腫瘍内科を志したきっかけは何だったんですか?

「研修医の時にいろいろな診療科を回って、圧倒的にがんの患者さんが多くて、この患者さんたちを救いたいと思ったのがきっかけです。今の日本の病院はどこでもそうだと思うのですが、がん患者の方がいらっしゃらない診療科は少ないです」

── 当時も腫瘍内科はあったんですか?

「ほとんどなかったです。私が研修医の時は、大学病院にもほぼ存在しなかったですね。腫瘍内科医になりたいと思ったら、がん治療を専門に扱う『がんセンター』に行くしかありませんでした。今はだんだんと増えていますが、ドラマにもあったように全国で約1300人しか腫瘍内科医がいないという現状もあります。今後もっと改善していくといいなと思います」

── がん=死というイメージを持っている方もいらっしゃるかと思います。

「どうしてもそういうイメージはあると思います。会社に理解してもらえるか不安で言い出せなかったり、両親に自分の病気のことを言えなかったりなどの悩みを持つ方もいます。しかし、実は知らないだけで皆さんの周りにも、がん経験者や、闘病していた方が多くいらっしゃると思います。がんというのは2人に1人がなるといわれる国民病なので、がんを患ったことを隠さずに対話できる社会になってほしいと思います。それによって、がんに対するイメージも変わることがあるかもしれません。がんになったからといって、明日死ぬわけではないんです。髪の毛の抜けない抗がん剤など、どんどん新しい薬ができてきて、すぐに亡くなることは少なくなっています。がんと診断されてからも、治療を続けながら普段と変わりなく生活できるようになってきています」

── 作中でも通院のみで治療をしている患者さんもいらっしゃいますよね。

「今は7割くらいの患者さんが、外来に通院して抗がん剤治療を受けています。フルタイムで働きながら治療を続けているという人も多いです。患者さんの希望を聞きながら、治療内容を相談し、選択できるようになってきています」

── ドラマを見た患者さんからの反応はありますか?

「違和感なく見ているようです。『私もあのドラマの世界の中にいるような感覚になる』という方もいて、かなり現実に近いものになっていると思います。中には『先生のことを思い浮かべながらドラマを見ていたら、エンドロールで先生の名前が出てきてびっくりしました!』と言ってくれた人もいました」

── 小野先生は心先生のイメージ通りということですね! 先生が治療していく上で一番大切にしていることは何ですか?

「患者さんが納得して治療を受けられるようにすることです。自分で選択し、納得して治療を受けた方が、患者さん本人が後悔しないことが多い気がします。もちろん、『こうした方がいいですよ』という医学的なアドバイスをしたり、いくつかの選択肢を提示したりします。その上で患者さん本人が納得して治療を選択できるようにすることを考えています」

── この作品に先生が携わる上で一番伝えたいことは何ですか?

「がんで苦しんでいる人は社会でも案外多いのに、それが浸透していないと思っています。最近では芸能人の方で打ち明ける方も多くなってきましたが、『苦しいけど、それを言わない』という日本人特有のメンタリティーが影響しているのかもしれませんが、隠すことが多いように思います。それが、ドラマで取り上げてもらうことによって、『実は私や家族もそうだった』という人が出てきて、『がんを患っている』ということを社会全体でオープンにできるようになればいいなと思います。いつ近くの人ががんになるか分からないですし、自分自身がなるかもしれません。がん患者さんが考えていることや抱えている不安、がん医療についてなどを、ドラマを通して共有することができればと思います」

── ありがとうございました!

 患者さんのことをとても考えられていることが伝わってきて、お話していると大きな安心感をあたえてくださる、心先生のイメージそのままの優しい先生でした! このドラマをきっかけに、がんに対しての認識が変わり、みんなで助け合える社会になっていくことを願います。


【プロフィール】 
小野麻紀子(おの まきこ) 
がん研有明病院総合腫瘍科・副医長。日本内科学会認定内科医、総合内科専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本乳癌学会乳腺専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医などの資格を持つ。

【番組情報】 

「アライブ がん専門医のカルテ」 
フジテレビ系 
木曜 午後10:00~10:54

フジテレビ担当 H・A





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