放送局から直送便・ドラマ版

コラム

「いだてん」ハリマヤ製作所店主・黒坂辛作を演じる三宅弘城。役との共通点とは?

 田畑政治(阿部サダヲ)が来日したIOC会長・ラトゥールを“お・も・て・な・し”して、東京の街を案内したおかげで、かたくなだったラトゥールの気持ちが変化した9月8日放送(第34回)の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。人力車で巡っていたラトゥールが「オナカスイタ、オナカスイタ」と言った後に、日の丸弁当を食べている姿にほっこりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。日本では田畑たちが東京オリンピック招致に躍起になっていますが、9月15日放送(第35回)ではベルリンオリンピックが開催されます。そこでは、ハリマヤの“金栗足袋”を履いた選手の活躍があるんです! 金栗四三(中村勘九郎)のムチャなリクエストに文句を言いながらも足袋の改良を重ねた黒坂辛作。彼を演じる三宅弘城さんを直撃しました!

──三宅さんは金栗四三のことはご存じでしたか?

「中学生の時にサッカーをしていたんですけど、そのシューズの広告で『カナグリ ノバ』というのを見たことがあって、シューズのラインも面白いなと、記憶に残っていて覚えていました。その後、宮藤(官九郎)さんと一緒の楽屋だった時に、『いだてん』の制作発表があって、皆川(猿時)くんが『よろしくお願いします。出してください』と楽屋に言いにきたんです(笑)。その時に金栗四三の話だと聞いて、『それってカナグリ ノバ?』と言ったら、『そう、それ』という話をしました。でもそれが元々、ハリマヤさんが作っていた足袋だったというのは全然知りませんでした」

──皆川さんが宮藤さんに「いだてん」への出演を懇願していたとのことですが、三宅さんはどうだったんですか?

「僕もずっと言っていましたよ。『体、鍛えておきますんでね』と。ほかにも、勝地(涼)くんと舞台をやっている時に勝地くんに『三宅さんは出ないの?』って宮藤さんに聞いてもらったり、『オリンピックの話で三宅さんが出ないのはおかしいでしょ?』って言ってもらったりしていました(笑)」

──そうすると、「ハリマヤ」の主人・黒坂辛作を演じることになってびっくりされたのでは?

「そうですね。撮影前には、以前ハリマヤさんがあった場所にあるお弁当屋さんにごあいさつに行きました。そしたら室外機の裏に碑がうめこまれていたので、ちょっとせつない気持ちになりましたね」

──三宅さんの辛作に対するイメージを教えてください。

「典型的な下町の職人だと思います。優しいんだけど照れ屋が邪魔して乱暴な口の利き方になったり、短気でせっかちなところもあって。でも自分の仕事にはプライドを持っている職人なのでかっこいいと思います」

──ご自身との共通点はありますか?

「多感な時期に葛飾区の方に住んでいて、比較的“べらんめえ調”のおじさんたちがいる中で過ごしたので、すごく共感できる部分はあります。また、役者として、できないとなるべく言いたくないというのがあるんです。監督や演出家の注文には極力応えたいと思うし、無理な注文もどうしたらできるかを考えてお芝居をつくりたいと思うんです。そういう意味でいえば、役者としても職人でありたいという気持ちがあるから、辛作さんと共通点はあるのかもしれません」

──今回の「いだてん」で無理な注文はありましたか?

「突然撮影に入っていろんなシーンを撮らなきゃいけなかったので。しゃべりの速さや動きを合わせたりするなど、結構特殊な撮影だったんですけど、そういう時にMっ気が出てくるのか、きついとやりがいあるみたいな感じになっていました。大変だったけど、楽しかったです」

──「ハリマヤ」の撮影現場はどんな雰囲気でしょうか?

「『ハリマヤ』はみんなが集まってくるような公民館みたいな、憩いの場になっています(笑)」

──辛作は四三のどんなところに魅力を感じていたと思いますか?

「金栗さんは人間的な魅力がすごくあるので、初めて金栗さんが店に来た時に動物的な勘で、『この人は悪くない』『助けてあげたい』と思ったんじゃないでしょうか。その後、一緒にマラソン足袋を開発していきますが、金栗さんのひたむきな姿と人間性にほれたんじゃないでしょうか」

──辛作は文句を言いながらも、四三とマラソン足袋を二人三脚で作っていきますが、どんな思いで作っていたと思いますか?

「探り探りだったとは思うんです。辛作さんは金栗さんによって、伝統を守りつつ新しいことをやってみようと目覚めたところもあると思います。やりがいもあっただろうし、職人魂にさらに火が付いたところがあると思います」

──9月15日放送の冒頭で、年を重ねた辛作が「ハリマヤ」にいるシーンがありますが、その時はどんな気持ちでしたか?

「これは僕の気持ちですが、『辛作さん、長生きしていろんなことを見ていて感慨深いだろうな』と思いました。回り回って歴史の証人みたいになっているので。『ハリマヤ』は、基本は変わらないですけど、ずっと足袋しかなかったのに、裏にゴムがついている足袋がディスプレーされるなど、店の様相が変わって、時間が経っているのを肌で感じます」

──一方、金栗の弟子である小松勝(仲野太賀)も「ハリマヤ」に居候することになりますが、小松の印象は?

「金栗さんが連れてきたから間違いはないと思うんですけど、『金栗さんとは違うタイプのおかしなのが来たぞ』と。そして彼を見ているうちに、助けてあげたいという気持ちになったんだと思います」

──さらに、辛作の作った足袋が世界に羽ばたくシーンもあります。そのシーンについてはどう思われましたか?

「台本にもありますけど、日本人だろうが朝鮮人だろうがドイツ人だろうがアメリカ人だろうが、みんな一生懸命やっていて、しかも自分の作った足袋を履いてくれているという喜びはひとしおだったと思います。自分の足袋を履いてくれた選手が誰であろうが応援するし、勝ったらうれしいっていう気持ちが出ているんじゃないでしょうか」

──それでは、一番好きなシーンはどこでしょう?

「『シューズじゃねえ足袋だ!』という辛作さんの気持ちが出ているところです。あれから改良してシューズに近づいていくわけですけど、辛作さん的にもターニングポイントだったんじゃないですかね。それと、第18回(5月12放送)で金栗さんが日光東京間駅伝で20時間連続で走った時に自分の作った足袋が最後までもったシーンは、新しいハリマヤさんの足袋ができた瞬間だと思うので感動しました」

──オリンピックに出場する選手が頑張っている姿を見てどんなふうに思われましたか?

「単純に感動していました。脚本も映像も泣けてくるんですよね。しかも自分の作った足袋を履いてくれたというので辛作さんとしては、一緒に走っている気持ちになるんじゃないでしょうか。みんなで『頑張れ、頑張れ』ってラジオの前で選手を応援する時は、太賀くんは声をからしていましたし、本当に一丸となって応援してみんなで感動していました」

──また、「いだてん」の中で接点はないかもしれませんが、田畑を演じる阿部さんを映像でご覧になってどんな印象を受けましたか?

「『この子こんなにすごかったっけ?』って感心しました(笑)。ぴったりでしたね。グループ魂のMCだと口が『いだてん』になったりするので、ああいう要素はもしかしたらあるのかもしれないです。宮藤さんも阿部くんのことをよく分かっているから、書きやすいというのもあるだろうし、宮藤さんが書いた脚本をマーちゃん(田畑政治)がさらに超えてくるというバトルになっているんじゃないですかね」

──三宅さんが感じる宮藤さんの脚本の面白さとは?

「面白いし、毎回泣けるってすごいなと。スタッフやキャストのおかげでもあるんですけど、台本を読んでいても毎回グッとくるし、今回は特に宮藤さんの心の熱い部分が出ているような気がして。言葉に力があるというか、強いです。宮藤さんご自身も役者をされることもあって、体に入ってきやすい言葉遣いで、気持ちでしゃべれるせりふなんです。気持ちが見えるというか、気持ちで書いているせりふというか。すごく熱い本だと思います」

──ありがとうございました!

 

 9月15日の放送では、ベルリンオリンピックが開催されますが、それは政権を握るナチスが総力を挙げて運営する大規模な大会で、田畑はその光景に圧倒され、当惑します。また、マラソンでは四三と同じ“金栗足袋”を履くランナーが出場。果たして辛作の“金栗足袋”は、ベルリンでどのような功績を残すのでしょうか。これまでの辛作と四三の“足袋シューズ”の試行錯誤を思い出しながらご覧ください。


【番組情報】 

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」 
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BS4K 日曜 午前9:00~9:45ほか
NHK BSプレミアム 日曜 午後6:00~6:45

NHK担当 K・H





 
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