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コラム

「なつぞら」でなつの夫役を演じる中川大志「“この人と結婚してよかったね”って思ってもらえるようにならないと」

 ヒロイン・なつ(広瀬すず)が北海道で育んだ開拓精神と想像力を生かし、当時「漫画映画」と称された草創期の日本アニメの世界でアニメーターを目指す姿を描く「なつぞら」(NHK総合ほか)。8月26日からの放送では、坂場一久(中川大志)の「マコプロダクション」への再就職が決まり、娘・優を下山茜(渡辺麻友)に預けていよいよ2人の共働き生活がスタートしました。優をずっと茜に預けてきた不安を抱えながらも、新しい家族との絆を実感したなつ。今回はそんななつとともに、新たな家族を築き上げていく坂場を演じる、中川大志さんにお話を伺うことができました! 不器用ながらも一生懸命家事をこなす姿に、“いいなぁ”と思ってしまった人も少なくないのではないでしょうか?

 2011年に放送された連続テレビ小説「おひさま」以来の朝ドラ出演となった中川さん。今作出演にあたりオーディションを受けたそうで、「合格してから、半年くらいどんな役を演じることになるか分かりませんでした。作品が北海道でクランクインした後に役が出来上がったそうで、そのタイミングで知りました。今まで演じたことがない“東大卒”というキャラクターで、台本を読んで“こいつめんどくさいな”というのが第一印象でしたね(笑)」と正直な感想を告白。そして、どんなに制作スケジュールが切羽詰まっていても、納得するまで絶対に手を抜かないのが坂場らしさですが、「役者として同じものづくりをしている立場なので、坂場のセリフからたくさん刺激を受けました。『お客さんの力をなめちゃいけない。子どもはどこまでだって見ているよ』という言葉は、作品を作って届ける側の人間として響きました。それくらい真剣勝負で受け取ってくださる方に向き合っていかなければならないと思います。予算と期日を守っていかないといけない中で、その熱量だけは失ってはいけないなと改めて考えさせられました」と役から受けた影響について教えてくれました。

 また、「初めはなつや、周りの人からの印象も悪く、作品の中でも異物感があった坂場ですが、そこからどうやったら坂場の良さを伝えていけるだろうと迷って、探って、時間が掛かりました。でも、なつや周りの人たちと接することで成長し、見えなかった一面を知ってもらえるということができたと思います。朝ドラは期間が長いので、そのスパンを使って人物の印象を変えていけるというのはすごくやりがいがあるなと思いました」と役作りの難しさと、朝ドラならではのやりがいを打ち明けてくれました。

 そして、坂場と言えばやっぱり“不器用”の3文字が浮かぶ方も多いはず。カチンコを上手に扱えないシーンや、カレーパンの中身を本の上にこぼしてしまうシーンなど。結婚報告で十勝を訪れた時には、牛のふんにつまずいて転ぶ場面もありましたね(笑)。中川さんは坂場の不器用な一面について、「見る人が笑ってくれる人間でありたいと思って演じていました。坂場の真っすぐさと、周りからどう見られているかの自覚のなさが滑稽に見えたらいいなと。職場の一面とまた違う人間味のある部分を出せたらと思って演じていました」とコメント。しかし、ちょっとやりすぎてしまった時もあったそうで、「楽しくなっちゃって、やりすぎちゃったシーンもありました(笑)」と楽しそうに撮影を振り返ってくれました。中川さん自身は不器用かどうかも気になるところですが、「あそこまで不器用ではないです(笑)」とほほ笑みながらコメント。「坂場の不器用さは、撮影の上では相当計算されたものなので、自分が本当に不器用だったらできていないと思います(笑)。カレーパンで本を汚してしまうシーンでも、中身のカレーの緩さだったり、かじる場所だったりを細かく計算しているんです。何回もできないシーンで僕次第なところが多かったので、緊張もしました」と不器用の裏に隠された緻密な計算について明かしてくれました。カレーの緩さまで考えられて作っていたとは、驚きです…!

 そして、娘・優も産まれ、なつと共に新しい家族を築き上げている坂場。ヒロインの夫役を演じる上でのプレッシャーなどを伺うと、「旦那さんになるということは聞いていたのですが、2人がどんな夫婦になるのか想像がつきませんでした。ヒロインを通して作品を見てくださっている視聴者の方々に、『この人と結婚してよかったね』って思ってもらえるようにならないと、というプレッシャーはありましたね」と夫という役どころの難しさと責任を吐露していました。

 なつとの恋愛模様は最近の朝ドラの中でもちょっと珍しい関係ですよね。坂場はなつの才能を愛しているのか、それとも人として愛しているのかちょっと分かりにくくて、モヤモヤしていた方もいるのではないでしょうか? 果たして2人が恋に落ちた瞬間はいつだったのか。そんな率直な疑問をぶつけてみると、「喫茶店のシーンで『君の才能を誰よりも生かせる演出家になりたかった』となつに伝えるんですが、やっぱり最初はそこだと思います。入り口は、同じアニメーションを作る人として、『東洋動画』の新しい世代として、自分と同じ熱量を持っていて、でも自分にないものを持ってる。作品を作っていく過程の中で、いろいろなことに気づかせてくれたのもなつで、同じ方向を見て、隣に並び続けてた人なのかなと思っています。一緒に居たいという気持ちを、仕事から切り離して考えられないキャラクターなので、なかなか気づけなかったんだと思います。アニメーションを一緒に作ることが全てだったけれど、それを失ってでもこの人と一緒に居たいということにようやく気づいた後は、頭じゃなくて心で話しているシーンにしないと、と思いました。くっつきそうでくっつかない関係が何週にもわたっていたので、広瀬さんとも、このタイミングではどんな感じというのを一回一回相談していました」と、なつと坂場、2人の絆ついて力強く語ってくれました。

 また、「台本を読んでいくうちに、お互いにないものを持っていて、2人で一緒になったからこそ生まれるものがあるんだと気づきました。特に、『アニメーションにしかできない表現は何か?』というなつへの質問が2人の関係の中で大事だったと思います。坂場は、なつがこの質問への答えを出す前に『あり得ないことも、本当のように描くことです』って自分で答えを出してしまうんです。最初は、なんで言っちゃうのかなって思っていたのですが、なつは馬の前足を4本描くことで既に答えを出していたんですよね。それを最終的に坂場が言葉にしたという形でした。坂場にできない発想がなつにはできて、なつには説明できないことを坂場はできる。2人だから、1人では行けないところに行けるという存在になっていくのが見えたので、そこが2人の関係性の中心だと思って演じています」と坂場らしく、2人の関係性を話してくれました。本格的に共働き生活となった坂場家。この2人なら、きっと“傑作”と言える素晴らしい家庭を築き上げてくれるに違いありません。気づけば最終話まで残り1カ月…。娘・優の成長とともに坂場家を見守っていきましょう!

 さて、9月2日からの第23週で、なつは坂場から「大草原の小さな家」という本を手渡され、これを原作に一緒にテレビ漫画を作ろうと持ち掛けられます。仲努(井浦新)に恩義を感じるなつは、「東洋動画」を辞めるべきか思い悩みます。その頃、十勝では山田天陽(吉沢亮)が体調を崩し、入院していました。ある時、病院を抜け出してきた天陽は、徹夜で一枚の絵を描き上げ、心配する靖枝(大原櫻子)に畑を見てくると言い残してアトリエを出ていきます。そして、夏が過ぎた頃、優を連れてなつは久しぶりに十勝に帰省することに。雪月に立ち寄ったなつは、小畑雪之助(安田顕)から天陽が新しくデザインした店の包装紙を見せてもらい──。


【番組情報】 

連続テレビ小説「なつぞら」
NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15ほか
NHK BSプレミアム 月~土曜 午前7:30~7:45ほか

NHK担当 A・M





 
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