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「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」宮藤官九郎、目標は「1年間怒られずにやること(笑)」

 1月6日からNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」が始まりましたね! “日本で初めてオリンピックに参加した男”金栗四三(中村勘九郎)と“日本にオリンピックを呼んだ男”田畑政治(阿部サダヲ)という2人を主人公に、知られざるオリンピックの歴史をひもといていく物語ですが、皆さんいかがだったでしょうか。物語のラスト、四三の赤い帽子が雨に濡れたことにより、まるで頭から赤い血を流しながら走っているように見えたシーンが印象的でしたよね。その脚本を書かれたのが宮藤官九郎さん。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」をはじめとするさまざまな脚本もさることながら、俳優やミュージシャンなどの顔を持つマルチクリエーターです。そんな宮藤さんのオリジナル作品ですから、どんな物語が始まるのだろうとかなり皆さん気になっていらっしゃることと思います。そこで、これからどんな大河ドラマになるのか、宮藤さんからお話を伺いました!

──まずは、大河ドラマを描くと決まった時の感想をお願いします。

「1年間どうやって怒られずにやっていこうかっていうのが一番の課題ですね(笑)。だいたい大河ドラマって怒られるじゃないですか。史実と違うとかこんなことはなかったとか、この時代にこれはないとか、それをいかに言われずに1年やり過ごそうかなって思いました(笑)。今のところ大丈夫だと思うんですけど、この先何か言われるようなことがあったら嫌だなと思っています」

──確かに、大河ドラマといえば史実チェックが定番ですね(笑)。さて、今回はこれまでの歴史ものとは異なり、近現代史でオリンピックがテーマです。日本で初めてオリンピックに参加した男・金栗四三と日本にオリンピックを呼んだ男・田畑政治という正直、世の中にあまり認知されていない2人が主役になったいきさつを教えてください。

「オリンピックに関するドラマを作りましょうってなった時に、金栗さんに一番感情移入したので。本番に弱いところがいいなと思って。目指していたのにできなかった人の方に親近感がわくというか。みんなの期待を背負ってストックホルムに行って走ったけど大惨敗しちゃったとか、そういうところにすごく人間味を感じました。ただ、やっぱり1964年のオリンピックに到達しなきゃいけないだろうとなったんですけど、64年のオリンピックに金栗さんは特に関係してないんですよね。その後、調べていくうちに田畑さんがいいんじゃないかっていう話になりました。田畑さんはオリンピックを東京に呼んできた人なのに何をやったのか全く残ってないっていう…。いろんなことをしゃべっていたっていうことだけは残っているんですけど。よくよく調べたら口が災いして、最終的にオリンピックの前に大事なポストから降ろされたらしいんですよ(笑)。これは面白いなと思ったのでバトンを渡すような形で後半は田畑さんを主人公にしようと思いました」

──記者は金栗さんと田畑さんを全く存じ上げなかったのですが、宮藤さんから2人のエピソードを聞いただけで、「そんな面白い人が日本にいたんだ!」と俄然興味が湧いてきました。そんな魅力あふれる四三と田畑を演じるのは、中村勘三郎さんと阿部サダヲさんです。

「勘九郎くんはダイナミックな芝居をする人だなって思っていたんでそこは期待していたんです。まだシーンの断片しか見ていないんですけど、かわいいですよね。金栗さんってかわいい人だと思うんですよ。かわいげが大事だなと思っていて。人からお金を出してもらったり、思いつきでいろんなことをやったり、走ってばっかりで、あんまり働いてないとか、かわいくなかったら許せない(笑)。かわいげがないと、この主人公を好きになれないかなと思っていた時に、勘九郎くんの芝居と熊本弁を見て『あー、いいなぁ』って思いました。田畑さんに関しては、阿部くんに何の説明もなくぶつけてみてどうやるかを見たいなと。どういう田畑になるか楽しみですね。これまたかわいくないと許されない人なんですよね。やっぱりいろんな人からお金を借りたりして(笑)。だけど、この人に言われたらお金貸したくなっちゃうなと。資料には上司にもかわいがられたって書いてあったので、かわいくないといけないよなと思って。違う種類だけれども同じようにみんなから好かれた人だと思ってます」

──かわいい愛されキャラの男性を勘九郎さんと阿部さんがどのように演じるのかに注目ですね。また、2人の物語を進めていくストーリーテラーとして、落語家・古今亭志ん生(ビートたけし)が登場し、物語に彩りを添えます。

「もともと志ん生さんのエピソードがすごく好きで。東京では好きな落語ができないからと勝手に満州に行って、死んだことにされたとか。『志ん生の語りで、オリンピックを描けないですかね?』っていう話をしていたら、金栗さんと志ん生さんがほぼ同じ年だったんです。志ん生さんがオリンピックに関わっていたという史実は全くないので、そこは創作になるんですけど、オリンピックをちょっと斜に見ているストーリーテラーが1年間オリンピックの噺(はなし)をするっていうのがいいかなと思って、志ん生の高座を入れたらどうですか?って提案しました」

 オリンピックと落語がどのように絡んでストーリーが展開していくのかも見逃せません。最後に宮藤さんに「いだてん」をどのように見てほしいのかを伺いました。

「このドラマが終わると本当にオリンピックが来ます。それなのに誰も浮かれてない。まあ、別に良いんですけど。世の中がオリンピックに対して良いイメージを抱いてない。あんまりいいニュースも聞かない。でも、初めて日本人がオリンピックに参加した100年前や、オリンピックを東京に招致した50年前は、日本人は純粋に憧れやピュアな気持ちでやっていたんだということが伝わるといいな、と。今回の物語は金栗さんと田畑さんの話なんですけど、そこには最初に日本人でIOCの委員になった嘉納治五郎先生がいて、やっぱりお金を借りてる(笑)。でも要るお金なんだこれはと言って、お金を借りることがあんまり悪いと思ってない。あのピュアさがいいなと思うんですよね。自腹でオリンピックに行けって言ったり、結構めちゃくちゃなんですけど、最初はそうだったんだということを知ってもらえることによって、2020年のオリンピックが違うように感じられるといいなあと思っています」

 視聴者の皆さんが1年間見終えた時、果たしてどんな気持ちになっているのでしょう。さて、2話目となる1月13日は、四三の熊本での少年時代をひもといていきます。学校まで往復12㎞を走る「いだてん通学」で虚弱体質を克服した四三は、軍人に憧れ海軍兵学校を受けるも不合格になってしまいます。体を鍛えても無駄だと落ち込む四三ですが、幼なじみのスヤ(綾瀬はるか)に励まされ、嘉納治五郎が校長を務める東京高等師範学校への進学を決意するのです。

 いよいよ、四三の人生が動き始めます。これから彼がどんな人生を経て、どうやって日本で初めてのオリンピック選手になっていくのか。彼の成長も楽しみながらご覧ください。

NHK担当 K・H

【番組情報】 

大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」 
NHK総合 日曜 午後8:00~8:45
NHK BS4K 日曜 午前9:00~9:45
NHK BSプレミアム 日曜 午後6:00~6:45

 
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