放送局から直送便・ドラマ版

コラム

佐藤隆太×把瑠都で描くLGBT漫画の傑作「弟の夫」。連ドラ初出演の把瑠都に“うますぎる”ダメ出しも

 突然、見知らぬ外国人男性が「あなたの弟の夫です」と家を訪ねてきたら、どんなことを思いますか? 「弟と目の前にいる男性はゲイで同性婚をした。頭で理解はできる、でも…」と、分からないことが多すぎてモヤっとした気持ちになるのではないでしょうか? そんなLGBTに対する“受け手側”の戸惑いや気付きを家族の物語として描く「プレミアムドラマ 弟の夫」が、3月4日からNHK BSプレミアムで始まります。今回、主人公・折口弥一を演じる佐藤隆太さんと、弥一の亡くなった弟の同性婚の相手、マイク・フラナガンを演じる把瑠都さんを取材。撮影中のエピソードや役の魅力、家族のあり方などについて伺いました。

──今回、把瑠都さんは連続ドラマ初出演ということですが、出演にあたっての思いをお聞かせください。また、佐藤さんは相手役が把瑠都さんと聞いていかがでしたか?

把瑠都 「舞台出演直後にドラマの話をいただいた時は、ゲイ役と聞いて私には無理だろうと思いすごく迷いました。ですが、漫画を読ませていただくと外見が私そっくりで(笑)、私以外にいないんじゃないかと思いました。(最終的な出演の決め手は)LGBTという難しいテーマではありますが、台本を読んだ後、家族に会いたくなるような温かい気持ちになり、そんなドラマにチャレンジしたいという気持ちの方が強くなり出演を決めました」

佐藤 「びっくりしました。まず“把瑠都さんってお芝居されてるんですか!?”と。でも、いざ撮影に入ってみるとそんなことはもうすっかり忘れていました。とても人間力のある方で、タイトなスケジュールが続いてみんなが疲れてくると、ユーモアを言って和ませてくれました。お芝居も、内面から出てくるものを一瞬にして伝えられる力を持っていらっしゃって、やっていてすごく楽しかったです。今度は長い連続ドラマでご一緒できたらと思っています」

──把瑠都さんは今後、お芝居の道へ進まれるのでしょうか?

把瑠都 「うーん、どうなんですかね? 昨年舞台を経験して、今年は連続ドラマに出演して…私、元お相撲さんですよ! でも、演じることは楽しいのでチャンスがあればね。私に合う役がありますかね?(笑)」

──撮影中の印象的な出来事はありますか?

佐藤 「温泉で泊まりの撮影の時に、把瑠都さんが先に終わって。僕が後から宿泊先に戻ると把瑠都さんがロビーで飲んでいたんです。(飲んでる相手が)見たことのない人だなと思ったら、お風呂で意気投合した初めて会った人だと(笑)。僕も参加させてもらいましたが、僕が帰った後も飲んでいましたね。気さくな方なんです、本当に」

把瑠都 「そういうことよくやるんですよ」

佐藤 「飾らないところがすごく好きです。もう一つ、参拝するシーンで、監督がもう1回と言ったことがあって。“把瑠都さんが(参拝の仕方が)うまい”という理由で(笑)。(把瑠都さんは)“マイクは知らないはずだから、見よう見まねでやっている”ように演技していたんですが、それにしても“うますぎる”と、ダメ出しされていたのは面白かったですね」

──では、全3話を通して印象的なシーンはありますか?

把瑠都 「第1話の“ウイスキーにしませんか”というシーンが好きです。あの一言で弥一さんとの距離が一気に縮まりました。やっぱり飲みニケーションですね!」

佐藤 「僕もあのシーンは大好きです。マイクと弥一にまだ距離がある中、(お酒のシーンで)2人の距離がグッと縮まったかなと思います。また、マイクが自分が酔いたいから(ということにして)“ウイスキーにしませんか”と言って弥一に付き合ってくれるのが、マイクの優しさを感じて好きですね」

──ご自身の役の魅力や共感する部分はありますか?

佐藤 「(弥一は)無意識の中で拒絶したり差別したりしているところがあって、僕自身も原作で弥一の姿を通して考えさせられたり、ドキッとさせられたりする点がいろいろとありました。視聴者の方にも弥一を通して感じてもらえたらと思いますし、そういう存在になっていればいいなと思います。(弥一は)頭でいろいろなことを考えてしまうキャラクターなので、そんな彼の姿を通して、さまざまな価値観の人たちとの向き合い方のようなものを、堅苦しくなく考えられる時間になったらいいなと思います」

把瑠都 「マイクはとても優しい、人の気持ちが分かる人間です。家族に溶け込もうと一生懸命な人。私もエストニアから日本に来て、マイクのように自ら日本の文化を取り入れようと努力するところがとても共感できました」

──今回の役を演じて、家族のあり方について何か思うところはありましたか?

把瑠都 「友人も含めてファミリーのことを考えました。会えないことを理由に行動に移していなかっただけだと気付かされました。(今回のテーマに沿って言うなら)どんなことでも家族なんだからカミングアウトして、何でも話せる環境作りが大切なんだなと気付かされました」

佐藤 「例えば劇中にあるテーマのように、自分の子どもが同性のことを好きになった時にカミングアウトするのは勇気がいると思いますが、相談できる環境でありたいと思います。それはカミングアウトすることだけではなく、親と離れた場所で起こった出来事を、子どもが話せる、あるいは相談できる家族でもあると思います。独りで抱えてほしくないなと。そういう話しやすい家族を作っていけたらと思います」

 取材は終始和やかな雰囲気で行われ、把瑠都さん演じるマイクのひげに話が及ぶと、把瑠都さんは「今朝そったんです」とさらっと答え、記者たちは「え? 付けひげですよね??」と混乱状態に。するとすかさず佐藤さんが「うそつけー(笑)」と突っ込み、ちゃめっけたっぷりに話す把瑠都さんと、突っ込む佐藤さんが兄弟のようで息ピッタリでした。

 そんな息ピッタリの2人ですが、ドラマでは距離がある状態から始まります。カナダから突然訪ねてきた弟の同性婚の“夫”マイクに、離婚後、男手一つで娘・夏菜(根本真陽)を育てる弥一は戸惑い、いら立ちます。ゲイやカミングアウトといった繊細な題材を押しつけがましくなく、ゆったりと日常の時間に溶け込ませ、母がいない寂しさを抱える娘や、離婚した弥一の元妻・平田夏樹(中村ゆり)の娘への後ろめたさなど、「ある家族の話」として描いているところに新しさを感じます。LGBTに限らず、日常に潜む差別の存在や自分とは違うものに対する扱いなど、無意識につくっている自分の「常識」を改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。

NHK担当 N・S

【番組情報】

「プレミアムドラマ 弟の夫」 
NHK BSプレミアム 
日曜 午後10:00~10:50

 
キーワード

関連記事

TVガイド最新号

TVガイド
2019年8月23日号
発売日:2019年8月16日(金)
※地域により発売日が異なります
特別定価:400円
表紙:相葉雅紀

新着連載

PAGE TOP