Cheer up! アスリート2020

連載

第一線で活躍するロンドン五輪銀メダリスト・三宅諒選手

“好き”に実直に、境界線を突き破る

 フェンシングに魅せられ、好きな気持ちを武器に2012年ロンドン五輪で銀メダルを獲得した三宅諒。現役選手では日本で唯一のメダル保持者となった今、東京五輪での目標、さらにアスリートの枠を超えたある挑戦を明かす。

 ロンドン五輪のフェンシング男子フルーレ団体で、銀メダル獲得に貢献した三宅諒。「僕は運動神経が悪いんです」と断言する三宅とフェンシングの出合いは、その運動神経の悪さゆえだった。

「5歳で母にスイミングスクールに入れられたんですが、泳げないので辞めたくて仕方なくて(笑)。別のものを始めれば辞められると思って、見つけたのがフェンシングでした。スピードや力だけでなく、格闘技版チェスと言われるぐらいの駆け引きが魅力的で。身体能力に優れた相手にも工夫すれば勝てるというのが、子どもながらに面白くて打ち込んでいました。ロンドン五輪で銀メダルもとれたので、泳げなくて良かったです(笑)」

 フェンシングに魅せられたが、それでも競技で迷う時も。そんな時に、ある人の言葉が響いた。

「フェンシングをやってきて、つらかったことは基本ないですね。ただ、なんでフェンシングをやっているんだろうと考えることはありました。そんな時、卓球の(福原)愛ちゃんに『フェンシングを好きなら、もっと好きって言った方がいいよ』と言われたんです。それから、迷った時は『フェンシングが好き!』と言うようにして、自分の気持ちを再確認しています」

 好きなフェンシングを突き詰めた先の銀メダル獲得。その要因の一つであるチームワークを培った、意外な舞台裏とは?

「ロンドン五輪のチームは、役割分担や、年齢などいろんなものがうまくかみ合ったチームでしたね。太田(雄貴)先輩、千田(健太)さんが得点を重ねて地固めしてくれて、僕や淡路(卓)という若手が伸び伸びプレーできました。本当にチームワークが良かったです。例えば、当時の日本代表メンバーでドロケイをしたり(笑)。30歳近い先輩、20歳そこそこの僕が本気で遊んで。そうやってチームワークが培われていったのは間違いないです」

 現役生活を続ける中で、アスリートの枠を超え、YouTuberの活動にも挑んでいる。

「世の中でいろんなことが起こりますが、アスリートってそれについて発言することを求められていないんです。それではつまらないですし、アスリートの前に人なので、僕もいろいろ考えます。動画やコンテンツを作るのが好きなのもあって、発言の場になればとYouTubeで『とりあえずミーティング』というものを始めました。ここでは三宅諒として活動しています。“アスリートの三宅諒”ではなく、三宅諒として何かをやっている証が欲しいんです」

 そんな“三宅諒”の競技人生でも、東京五輪は大きな存在に。

「五輪を経験して、五輪は国を挙げてのお祭りだと感じました。それが日本で行われるのが、日本人として純粋にうれしいです。アスリートとしても、自国開催は大きいと思います。ロンドン五輪でも感じましたが、日本の人が応援してくれて僕らの力になりましたし、試合の流れが変わりました。それが東京五輪では、会場の多くを日本人が占めることになるはずなので、楽しみですね」

 どう観戦するか分からない人には、ポイントをこう伝授する。

「まずは試合を3回見てください。マスクをかぶっているから、どの選手だか分からないとよく言われるのですが、3回くらい見るとプレースタイルの違いで分かるようになってきます。それから、ランプが点いた方の選手がポイント獲得で、一番盛り上がる場面だというのが分かっていれば大丈夫です。ちなみに僕のスタイルは、攻撃型じゃなくてカウンター型なので、ヒーローになれないフェンシングですね(笑)。華やかさはないけど、技術的なことをやっています」

 東京五輪出場に向け、現在は出場権争いの真っ最中にいる。

「太田先輩や千田さんは辞めてしまっているので、僕が日本で唯一、現役でメダルを取っている選手なんです。五輪の経験、メダルの取り方を知っている身として、後輩たちに生き字引として活用してもらうためにも、しっかりとした実力を結果で証明して、チームに必要とされる選手になりたいと思います。今のフルーレは、予選を通るのも一苦労というくらい、実力が拮抗していて選手層が厚いんです。その中でどう勝つのかは、経験がモノを言うと思いますね」

 東京五輪では、ベテランとしての活躍が期待される。

「メディアは、年齢的に東京五輪を僕の集大成にしようとしますけど、決めつけないでほしいです(笑)。ʼ24年のパリ五輪も待っているし、なんならʼ28年のロサンゼルス五輪も。とにかく、自分らしく競技人生をおくりたいと思っています」

【TVガイドからQuestion】

Q1 印象に残っているスポーツ名場面を教えて!

昔の野球中継で、審判に抗議するために監督がすっ飛んでくるシーンが人間臭くて好きです(笑)。フェンシングでもちょっとした抗議で流れが一気に変わったりするんですよ。監督が出るか出ないかは重要だと思います。

Q2 好きなTV番組/音楽を教えて!

「チコちゃんに叱られる!」(NHK総合)は、番組の構造が完成されていて好きですね。好きな音楽は竹原ピストルさんですが、競技前はヒゲダンスのテーマ曲を聴いています。みんながアップしているのを見ながら聴くと、面白くてリラックスできます(笑)。

Q3 “2020”にちなんで、“20”年後の自分に聞きたいことは?

実は、夢がすてきなおじいちゃんになること(笑)。20年でどれだけの経験をし、影響力を持てているかを聞きたいです。YouTubeのチャンネル登録数が100万人を超えていてほしい…なんだか、僕のYouTubeの宣伝になってますね(笑)。


フェンシング競技概要
2人の選手が剣で互いの有効面を攻撃し合い、勝敗を決する競技。使用する剣の形状、得点となる有効面、優先権の有無などの違いで、フルーレ、エペ、サーブルの3種目に分かれる。五輪では各種目で、個人戦と団体戦が実施される。日本は有効面が胴体のみのフルーレが主流。北京五輪の男子個人で太田雄貴が、ロンドン五輪の男子団体で太田や三宅諒らを擁した日本が銀メダルを獲得している。東京五輪では、フルーレを中心に日本勢の活躍が期待される。
【プロフィール】
三宅諒(みやけ りょう)
1990年12月24日千葉県生まれ。山羊座。

▶︎5歳でフェンシングを開始。「母からは『棒切れで遊ぶのが好きな子どもだった』と言われています」というように、自らの適正に合った競技に出合う。当初はフルーレとエペの二刀流だった。
▶︎中学2年時にはジュニアの大会で2種目を制して2冠。快挙を成し遂げる。しかし、「エペでは世界で勝てるビジョンが湧かなかった」と、フルーレに専念する。
▶︎高校2年時には、世界ジュニア・カデ選手権(U−17)で日本人初の世界選手権制覇。
▶︎ロンドン五輪前年には、「大学日本一にならないと、五輪を目指せない」という決意通り大学日本一を勝ち取り、本気で五輪を狙うきっかけに。
▶︎12年ロンドン五輪では、団体で銀メダルを獲得。今年6月に開催された19年アジア大会の団体優勝など、第一線で活躍する。
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(応募締切:2019年7月17日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」7/19号(P114)をご覧ください。
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取材・文/山木敦 撮影/峰フミコ





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