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連載

世界卓球2019日本代表・加藤美優選手

下剋上のヒロインへ

東京五輪の卓球日本代表の座をかけた戦いは既に始まっている。そのヤマ場である世界卓球で上位進出を果たし、下克上を狙うのが加藤美優。感情を表に出さない彼女の密かな闘志に迫る。

 卓球の国際大会で日本勢が活躍している。東京五輪でのメダル獲得が期待されるが、その前に日本代表争いが激化。シングルスの2枠には、ʼ20年1月発表の世界ランク上位2名が決まる。世界ランク20位の加藤美優は、代表を狙える位置につけている。

「五輪のチャンスがあるならつかみたいですし、頑張りたいと思いますけど、東京開催だからというのはあまり考えていないです(笑)。感情の起伏があまりないので、勝ったり、大事なポイントを取ったりしても、周りの人には『あっさりしているね』と言われます」

 3月に行われた世界卓球の日本代表選考会では、準決勝の最終第7ゲームで相手に5点差をつけられ、マッチポイントを握られたところから大逆転。決勝も制し、日本代表の座を勝ち取った時には、加藤が涙するほど、大きな意味を持つ勝利だった。

「マッチポイントを取られた時は、それまであまりいいプレーができていなくて、今年はダメかもって思いました(笑)。でも、それで吹っ切れて、急にいつも通りのプレーができるようになったんです。準決勝を勝ったことで、決勝はちょっと気持ちに余裕ができていたので、今思えばあそこが代表入りの決め手になった場面だと思います。競争は激しかったですが、代表になれて良かった。世界卓球で結果を出せば、世界ランクのポイントが他の大会よりも多く取れるので、代表入りは大きいです」

 現在、世界ランク10位以内に石川佳純、伊藤美誠、平野美宇と日本人選手が3人ランクイン。東京五輪出場に向けて、少なくとも3人のうち、2人抜く必要があり、そのためにも世界卓球が重要に。

「特にこの人というのはないですけど、日本代表選手はみんな世界ランクで競っているので、まず(世界卓球の成績で)上に行かないといけないという気持ちはあります。前回(ʼ17年)はベスト16なので、それより下げることは絶対にしちゃいけないし、組み合わせによりますけど、ベスト8には入っておきたいです」

 いよいよ大一番の世界卓球に臨むが、好成績を残すためにポイントとなるのは何なのか?

「体力面とメンタル面ですね。世界卓球に出場する選手はみんな技術は高いので、特に気持ちが重要になると思います。代表選考会の時も、途中まで全然ダメだったのが、吹っ切れて自分のプレーができていますから」

 加藤の卓球で大きな武器となるのが、自身の名がついた“ミユータ”。強烈な横回転をかけ、相手のミスを誘う魔球を駆使し、通好みの卓球を繰り広げる。

「注目されるのは、ガンガン攻めるタイプだと思いますけど、自分はそういうタイプではないです。パワーがある選手にパワーで勝負しないで、相手のミスを誘うように自分の戦術にはめていく感じですね。一見すると強く打っていませんが、回転を変えたり高さを変えたりいろいろやっているんです。相手がミスしたらなんでかなって考えてみてください。例えば、小さい頃に思いついて使っている“ミユータ”は、上手く使えば相手のミスを誘うことができます」

 加藤には、プレー以外にもゆずれないこだわりがある。

「見るからにボロボロの状態で試合に出るのは嫌です。髪を染め直して、ネイルもちゃんと奇麗にしていきます。卓球は、ネイルをしていてもプレーできるのがいいです(笑)。だんだんオシャレのこだわりが強くなっていて、将来的にはウエアのデザインもやってみたいですね」

 ʼ18年10月には世界のトップ選手が参戦する卓球リーグ、Tリーグが開幕した。競技面だけでなく、魅せる面でも日本の卓球は著しく進化している。

「メディアの注目度が違いますし、お客さんもたくさん来てくれるのでうれしいです。演出もエンターテインメント色が強く、勝負ではあるんですけど、お客さんも選手も楽しむって感じです。外国人選手とか、いろんなタイプの選手がいたり、ゲストの方がイベントをやっていたりするので、もっと席が埋まってほしいです。アイドルのグッズみたいに、選手の名前入りタオルがあるんですけど、私のタオルを持っている人がいると、良かったってなります(笑)」

 人気実力ともに卓球界の未来を担う1人である加藤にとって、卓球はどんな存在なのか?

「良くも悪くも道づれかな。辞めたいと思うことはたくさんあったんですけど、練習をいっぱいしてきて、その分の成績も出て、今辞めるのはもったいないし、そんな勇気もないです(笑)。まずは世界卓球で、自分の実力を全部出し切りたいですね」

【TVガイドからQuestion】

Q1 印象に残っているスポーツ名場面を教えて!

中学生の時に、(’13年に)フランスで行われた世界卓球が、演出もすごくて印象的です。私はいつ世界卓球の舞台に立てるんだろうと思って見ていました。初出場は’17年だったので、ちょっと時間がかかったなという感じでしたね。

Q2 好きなTV番組/音楽(応援歌)を教えて!

「ガムシャラ!」(テレビ朝日)だけは毎週見ていましたね。音楽は、Kis-My-Ft2さんやA.B.C-Zさんを聴きます。特にキスマイさんの「感じるままに輝いて」は前向きで、自分に重なるなと思って好きです。あと、TOKYO MXに最近、大好きなアイドルやタレントさんが出ているのでよく見ています。

Q3 “2020”にちなんで、“20”歳になってしたいことを教えて!

20歳になるにあたって、どんな人からも応援してもらえるような女性になりたいと思っています。奇麗な言葉遣いをするなど、毎日できることから心がけていきたいです!

卓球競技概要
幅152.5cm、長さ274cmの台上、ボールをラケットで打ち合い得点を競う。トップ選手の球速は時速100kmを超えるスピードで、さまざまな回転をかける駆け引きなど、ラリーの応酬が魅力。日本は’12年ロンドン五輪で女子団体銀メダル、’16年リオ五輪で男子団体銀メダルを獲得するなど、強豪国の一つ。東京五輪では初の金メダルを狙う。また、’18年には日本で世界トップレベルの卓球リーグ“Tリーグ”が開幕。世界の卓球界をリードする存在になりつつある。
【プロフィール】
加藤美優(かとう みゆ)
1999年4月14日東京生まれ。牡羊座。A型。

▶︎「家族旅行の時にやった温泉卓球が楽しかったから」と、6歳で本格的に卓球を始める。’12年には小学生ながら全日本の一般シングルスでベスト32に入るなど、早くから注目される。
▶︎’16年の世界ジュニアでは、団体優勝、ダブルス準優勝に輝く。また、同年の日本代表選考会で優勝し、’17年の世界卓球に初出場。「ジュニアだけでなく、全選手の代表で出ているので緊張した」と語るが、シングルスでベスト16の好成績を挙げる。「自分だけすぐ負けたらどうしようって考えていたから、うれしかった」と、印象に残る大会に。
▶︎’19年3月、「自分もレベルが上がったけど、周りも上がっているので厳しかった」と語る日本代表選考会で優勝し、2度目の世界卓球出場を決めた。
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(応募締切:2019年4月24日午前11:59)

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取材・文/山木敦 撮影/中西祐介

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