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「明日の君がもっと好き」脚本家・井沢満×三田佳子インタビュー! ベテラン脚本家と大女優、作品づくりに懸ける情熱と挑戦について聞きました!!

 独特のせりふと演出、複雑すぎる恋愛模様から目の離せないドラマ「明日の君がもっと好き」(テレビ朝日系)。回を重ねるたび、「この個性的で破天荒な物語を書かれたのは、一体どんな方なのだろう…」と気になっていましたが、そんな折、脚本家の井沢満さんと、井沢さんの“盟友”三田佳子さんにお話を伺う機会が! 病気で動けなくなった夫をかいがいしく介護する表向きの顔と、誰も見ていないところで夫への積年の恨みをぶつける恐ろしい顔を持つ里川静子役に、三田さんはどう挑んだか? また井沢さんがこれまで三田さんにしてきた“むちゃぶり”とは? 公私ともに仲良しだというお二人に、じっくり語っていただきました!

──お二人は「外科医 有森冴子」(日本テレビ系)以来“盟友”としてタッグを組まれていますね。今回のドラマが始まるにあたってどんなお話をされましたか。

三田 「60年ほど役者の仕事を続けていて、新しい役を頂くたび今も挑戦の連続なのですが、特に今回の静子という役はどう演じるべきか悩みました。病気で動けない夫の首を絞めたり、熱いお茶かけたり、すごいことになっちゃって…。役作りにあたって、井沢さんとは何度もメールのやりとりがありました」

井沢 「かなりエキセントリックな役なので演じてもらうのが気の毒な面もありつつ、役者として三田さんを信頼しているので、脚本家として甘えてしまうんですね。三田さんなら演じ切ってくださるだろうという確信がありました」

三田 「第6話と第7話に静子という人物を深く表現するシーンがあって、井沢さんからは事前に『書くよ! 覚悟してね!』という予告がありました。それが『もう、どうしよう!』と困ってしまうような描写なのですが(笑)、脚本家が過酷なシーンを書くということは役者への愛の裏返しでもあるので、『やるしかない』と覚悟を決めて取り組みました。すごく疲れましたけど(笑)」

井沢 「多重人格者を描いた『私という他人』(TBS系・1974年放送)という作品で三田さんが主演を務められていたのですが、人格が変わる時の表情がものすごく印象的でした。それがまた見たい、三田佳子オンステージが見たいという一心で書きました」

三田 「これができなきゃ役者が廃るから、逃げちゃだめだなと思って本当に頑張りました…」

──井沢さんからの三田さんへの“むちゃぶり”は昔からですか?

三田 「そうなんです。有森冴子シリーズの時もビックリしたことがあって、台本にはたった1行。『網タイツで出る』とだけ書かれていて…」

井沢 「書いた書いた(笑)」

三田 「当時40代で、『もうどうしてくれるの…!』と思いつつ、一世一代の芝居だと思って頑張りました!(笑)」

井沢 「網タイツ姿が見たかったんです(笑)。他にも芸者さん姿が見たいなと思って、脚本に1行書いたらやってくれるんだから、もうこっちは楽(笑)」

三田 「演じてる方は楽じゃないですよ(笑)。常に戦いです! 井沢さんには常に立ち向かうつもり」

井沢 「なかなかここまで立ち向かってくださる方もいないので、書きがいがあります」

──お二人の強い信頼関係が、表現の幅を広げているのですね! 理想的な関係です。

井沢 「それにしても、普段の三田さんは明るい方で修羅のような面を感じることはないのですが、今回の役を見ると画面からはっきりと修羅が伝わってくるんです。一体どこから引っ張り出してくるんだろう、って不思議で」

三田 「いや、あるんですよ(笑)」

井沢 「初耳!(笑)」

三田 「役者っていうのは、ある種、常軌を逸する瞬間があるんですよね。役を自分に乗り移らせるような、イタコというか巫女(みこ)さんのようなところがあります。これはね、自分でも不思議!」

井沢 「今回のドラマの三田さんで特に印象的だったのは、日常的なシーンの中でふと鏡に映った三田さんにすっと修羅がよぎるところですね。それが本当に怖くて…」

三田 「台本に鏡を見るという指示はなかったのですが、どこかしら脚本家を驚かせたいし刺激したいといつも思ってるんです。やられてばっかりではなく、こちらからも仕掛けようと(笑)。そしたら井沢さんはしっかり気付いてくださいました」

井沢 「一流の役者さんは、必ず一カ所、どこかで脚本家を裏切る芝居をしてくれます。これは若い役者さんにも伝えたいことで、脚本家を裏切るような演技を一カ所潜ませてほしいですね」

三田 「最終回でももう一つ、井沢先生を驚かせるためにした芝居があります。それも台本にはない動きなのですが、そうとでもしないと落とし前がつかないし負ける、と思ったら自然と体がそう動きました」
(※注 ネタバレになるので三田さんの具体的な演技については伏せますが、かなりビックリしました…必ず見てほしいシーンです!)

井沢 「あれは本当にやられました。役者さんが台本を上回るのは、脚本家にとっての快感でもあります」

三田 「でも今回のドラマの俳優は、老いも若きも全員脚本に立ち向かっていましたね。皆さん自分の役について一生懸命悩んで、格闘して、乗り越えたってことがすごく分かりました。それにスタッフが全員大人で、脚本をしっかりと読み込める方々に支えられて成り立った作品だとも思います。撮影中に厳しい怒号が飛んだりもしましたが、スタッフ含め関わった100人近くが頑張り続けられたのは井沢さんの脚本の力です。いい役、いい脚本をくださってありがとうございました」

井沢 「いえいえ、こちらこそ演じ切ってくださってありがとうございました」

──では最後に、井沢さん。「明日の君がもっと好き」に込めた思いと、残り2話の見どころを教えていただけますか。

井沢 「今回は深夜枠なので、脚本のテンションをかなり上げました。枠組みを劇画っぽくして、そこに文芸のテイストをちらっと入れようかな、と。どこにツッコミが入るかはだいたい予想できましたが、たとえそれが的外れなものであったとしても、ツッコミというのはテレビのにぎわいなので、無視されるよりもよっぽどいいことで、Twitterでのあらゆる反響も楽しく拝見しています。全7話のドラマですが、6話の直前までラストが予想できない展開にしたので、最終回を書くのはかなり苦労しましたが(笑)、三田さんの素晴らしいシーンもありますので、ぜひご覧ください」

 ベテラン脚本家の井沢さんとベテラン女優の三田さん。その地位に甘んじず、今なお挑戦を続けるその姿勢に強く感銘を受けると同時に、お二人の強くしなやかな絆を感じて思わず胸が熱くなりました! 井沢さんも仰天の“三田佳子オンステージ”が仕掛けられた残り2話、楽しみすぎます!

【プロフィール】 
井沢満(いざわ まん) 
大分県出身。作家、脚本家。三田佳子主演の代表作「外科医 有森冴子」(日本テレビ系)や、LGBTを描いた「同窓会」(日本テレビ系)などその時代の社会問題を鋭く取り上げる作品を生み出し続けている。テレビのみならず、映画や舞台のシナリオ、小説・雑誌への執筆、作詞など 幅広い分野で才能を発揮し、第一線で活躍中。
三田佳子(みた よしこ) 
大阪府出身。女優。映画「殺れてたまるか」のヒロイン役でスクリーンデビュー。NHK大河ドラマ「いのち」や「外科医 有森冴子」(日本テレビ系)などテレビドラマで主演を務める他、映画や舞台、出版等多分野に活動の場を広げ、日本アカデミー賞最優秀主演女優賞・ブルーリボン賞・田中絹代賞・芸術祭賞等賞歴多数。
【番組紹介】
「明日の君がもっと好き」 
テレビ朝日系 
土曜 午後11:05~11:59 
(最終回・3月10日は午後11:20~深夜0:14)

テレビ朝日担当 碇雪恵

衣装協力=プレインピープル(03-6419-0978)、フォーエバーマーク(03-6261-5080)(三田)

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