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丸山夏鈴 ロングインタビュー
「吉田豪 meets 丸山夏鈴」前編

 月刊TVガイド「B.L.T.」の人気連載・プロインタビューである吉田豪氏が、
毎月、気になるアイドルや女優にインタビューを敢行する連載「ぶらり豪」。

 2013年10月号、2015年3月号に登場したのは丸山夏鈴という、一人の少女である。現役の大学生アイドルだ。ライブハウスを中心に精力的に活動をしていた、一人のアイドルである。

 ここまで聞けば、何ら変わらない一人のアイドルである。ただ、彼女が他の人とは違うところがある。それは、悪性の脳腫瘍摘出手術を子供のころから7回受けている。そして、現在、一部が肺に転移し、癌の治療中でもあるのだ。

 最近では、2015年2月5日の「news every」(日本テレビ系)でも特集された。

 B.L.T.は、今でも前を向いて、そしてアイドル活動を続けている丸山夏鈴さんを応援したいと思っています。できることは、伝えること。伝わることによって、それぞれが何か感じてもらい、そして彼女のファンになってもらえたら嬉しいと思っています。

 今回、吉田豪さんのご好意もあり、登場してもらった2回のインタビュー全文特別版を前編・後編として公開します。

 読んでもらえれば分かりますが、決して重い内容ではなく笑いも出てしまうくらい前向きなインタビューです!

【2013年 10月号掲載 インタビュー全文】

――取材の関係で偶然、丸山さんのデビューライブを観たんですけど、とにかくMCで衝撃を受けたんですよ。大病を何度もしてきて入院中にアイドルに勇気づけられたから、自分もアイドルになろうと思ったっていうことですけど。

丸山 はい。その発言で場が重くなっちゃったんですけど、でもあのデビューライブで私を応援しようって思ってくださった方が多いと思うので、そこで言ってよかったなって。

――で、ライブ後にチラシを撒いてるとき「大病ってなんなんですか?」って直接聞いたら「脳腫瘍です」って返事が返ってきて、「えっ、そこまでだったんだ!」って。「もう元気になったんです」って言ってたけど、ブログとかも見るようになったら、何度かまた入院とかしてて。それで、「じゃあ、退院したら取材しましょう」みたいな口約束をして、今日に至ったという感じですね。

丸山 はい、ホントにうれしかったです。楽しみにしてました。

――実はミスiD2013にも応募していたのを後から知って。

丸山 そうなんです。ミスiDがきっかけでここにいます。高校のときに入院してて、それでオーディションのサイトを病院のベッドで見てたんですよ。オーディションのときはもう退院してるからと思って、病院から応募しました。

――その結果、「ウチの事務所に入らないか?」みたいな話が来て?

丸山 そういうことですね。セミファイナリストまででファイナリストには残らなかったんですけども、応援してくださるファンの方が初めてできたという実感があったので、そこで自信になりました。

――それまで自分に自信はあるタイプだったんですか?

丸山 生徒会長やってたんですけど、そのわりに自分に自信がなかったんですよ。「あれやって、これやって」って先生から言われたり、周りからのプレッシャーだったりを抱えてて、どんどん自分に自信がなくなっていって。で、高校卒業したときに自分を変えようと思ってこっちに出てきました。

――出身がまた、ほぼ被災地なんですよね。

丸山 そうですね。福島の郡山市で、津波とかはないんですけど、原発の被害で放射線量が高くて。津波の被害を受けて避難してきた人が郡山市の仮設住宅で暮らしてます。

――いちいち重いドラマを背負いすぎてますよね。

丸山 フフフフ。

――そのわりにご本人は比較的呑気な感じで。

丸山 そうなんです! 私、呑気なんですよ。なんとかなる、みたいな感じでやってます。立ち直るのが早いんですよ、私。

――さすがに手術前後とかはヘコむだろうけど、落ち着くとすぐにほのぼのモードになる感じで。

丸山 そうなんですよ。でも、手術するときってやっぱり落ち込む期間が長かったですね。

――当然です! あのレベルの手術だったら落ち込まないほうがおかしいし、あれでものほほんとしてたらボクが注意しますよ!

丸山 フフフフ。でも、やっぱり毎日泣いてました。

――何度目の手術なんでしたっけ?

丸山 今回で6回目です。今年の1月にお母さんから電話がかかってきて、「こっちに戻ってきて手術するよ」みたいな感じで言われて3月に手術に至ったんですけど、今回また電話で「こっちに戻ってきなさいよ」って言われて。お母さんも福島で離れて暮らしてて、やっぱりつらかったと思うんですね。どうやって伝えようかなって悩んだと思うんです。私、高校3年生の3月に手術したんですよ。卒業の時期で。やっぱりこんな大きな手術した娘を関東にやるっていうこと自体、ふつうのお母さんだったら反対すると思うんですね。

――ひとり暮らしも不安ですよね。

丸山 そうなんです。でも、「私はやりたいことがある」って言って出てきて。お母さんがそれを許してくれたから、許してくれたお母さんに感謝ですね。

――最初の手術はいつだったんですか?

丸山 最初は小学校2年生の冬で、次に中学校2年生の冬で、3回目は高校3年生の冬で、卒業式の答辞も読まなきゃいけない時期でちょっと切羽詰まってて。卒業式はちゃんと出させてもらったんですけど、次の日に入院で。そのときは腫瘍を取りきれなくて再手術をしたんですね。答辞は麻痺してて書けなかったんですよ。自覚症状っていうか、手が……。

――文字を書ける状態ではなかった。

丸山 そうなんです! 私、腫瘍をほったらかしにしてたんです。高校3年生の5月に検査したら腫瘍はなかったんです。でも、そこから1カ月ごとに検査すればいいんですけど、そのとき「半年に1回でいいよ」って先生が言ってたんでほっといたら、痙攣発作とか麻痺とか字が書けなくなっちゃって、検査したら大きい腫瘍とちっちゃい腫瘍が2個見つかって。

――マメに検査行かなきゃいけないんですね。

丸山 そうなんです、ウフフ。それから大学に入ってこういう活動を始めてからは月に1回検査してます。その後は今年の3月と今回ですね。

――入院しがちな人生を送ると、性格的に何か変化が出るものですか?

丸山 ものの考え方は、やっぱりふつうの人よりも穏やかだねって言われます。ただ、安易に「死ね」って言葉を使う人は許せないですし、あと自らの命を無駄にする人は許せないです。当たり前なんですけど。

――そこをよりちゃんと考えるようにはなりますよね。

丸山 そうなんですね。リアルに考えるようになりました。あと小学校2年生のとき、坊主にしたんですね。

――手術のために。

丸山 そうなんです。いまはこうやって髪も残してくれて手術もできるんですけど、当時は医学が進歩してなくて。

――ツルツルにしなきゃいけなかった。そうなるとカツラとかしてたわけですか?

丸山 いや、そのままでバンダナ巻いて生活してました。周りに白血病の子とか、小児科でお世話になってた子とかいたので仲間みたいな感じだったんですけど、だんだん年齢が上がっていくうちに気にするようになるじゃないですか。結構言われたりするんですよ。それでちょっと傷ついちゃったりするようになって、私は絶対こういうことを言わないようにしようと思いましたね。

――人を傷つけるようなことは言いたくない、と。

丸山 そうですね。悪口とかは絶対嫌いなんですよ。人の悪口を言うのも聞くのも嫌いだし。

――頭にくることはないですか?

丸山 もちろんあります(笑)。

――そういうときはどう処理するんですか?

丸山 スルーです。……あ、でも1回だけ男の子を泣かせた覚えがあります。

――何したんですか?

丸山 中学校のとき、イジメてくるから泣かせたんです。……あ、殴っちゃいました。

――へー! でも基本、感情的な揺れはそんなになさそうですね。

丸山 私自身、お母さんからも言われるんですけど、のんびりしてるねって。友達からも「おまえ、宇宙人かよ」って言われるんです。噛み合わないっていうか(笑)。

――そんな人が芸能活動を始めてみてどうですか?

丸山 楽しいのひと言で。私自身、ファンの人に応援されるっていうこと自体まったく初めての経験だったので、新しく知ってくださる人とかどんどん増えていくのがうれしくなりました。だから私、今回の休業のときにファンの方に伝えるのがちょっとつらかったんです。復帰したばっかりですし、これからもっと頑張ろうって思ってたのに。

――また休むのかって言われるかもしれない。

丸山 そうなんです。それでつらくて泣いてばっかりいたんですけど、思い切って伝えたら「待っててあげるよ」って言ってくれた方もいるので。

――そりゃあみんな待つし、「なんで勝手に入院してんだよ!」って怒る人はいないですよ!

丸山 でも私、ファンの人が離れるのがすごい怖くて。前にニュージーランドに留学しに行ったときに忘れられちゃったのがショックで、しばらくいないと忘れられちゃうのかなって思ったんですけど、会ってなくてもツイッターとかブログでちゃんと伝えられることがあるんだなって思うようになりました。入院してるあいだもコメントを寄せてくれる方とかいるじゃないですか。たくさんのコメントが書かれてたんでビックリしたんですよ。

――入院中のブログがマイペースすぎて驚きましたよ。ふつうにアイドルブログを継続してる感じで、ベッドとかでガンガン自撮りしてて。

丸山 入院ってやっぱり何もすることないんですよ。なので寝てるかポケモンやるか、あとは看護婦さんとお話するとかパソコンやってるかぐらいしかなくて。いま自分にできることといったら発信することだなと思ったので。やっぱりいましかないから、できる限りやっていこうって思いました。

――ニコ生とかもやれればやるぐらいの勢いでしたよね。

丸山 そうなんです。休業するって言ったとき、ツイキャスやろうかなって思ってたんですけど、入院したときに脳外科なので「アーーーウーーーー」とか聞こえてくるんですね。

――そこからのツイキャスはヘヴィすぎますよ!

丸山 とか、点滴のピロッピロッて音とかしてくるからやめようと思いました。命の現場なので、ちょっと自重しようかなって。ただ、やっぱり入院とか手術っていう単語は重く受け止められがちじゃないですか。なので、ちょっとでも軽くできないかなって。

――入院中も自撮りのクオリティが全然落ちてなかったのがすごかったですよ。

丸山 そうですか? でも入院中はノーメイクで暮らさなきゃいけないので、明るさを駆使して(笑)。そんなもんですよ。

――病気のこととか、あんまり重く受け取られるのは苦手ですか?

丸山 そうですね。私は過去6回手術してるので重く受け止められがちなんですけど、撮影会とか来た人でも「え、手術してるの?」とかビックリする方が多いんです。

――何も知らないで撮影会に来る人もいるんですね。撮影会のサイトで「いいな、この子」って行ってみたら「脳腫瘍!?」みたいな。

丸山 ウフフフ。そうなんです。

事務所社長 最初の頃は言ってなかったんで。

丸山 でも、やっぱりいまでも驚かれる方が多くて。私はふつうなんですよ! ふつうなんです! 私はかわいそうとか言われるのがちょっと嫌なんですよ。

――そういう目でしか見られないと面倒くさいですよね。

丸山 そういう面を見て応援してくれるのもありがたいんですけど、私はふつうに活動したいっていうか、ふつうに生活してますし、ふつうの人と同じっていうか。……でも、やっぱりふつうじゃないなって感じることもあって。疲れると発作が出たりするので。

――どういう発作なんですか?

丸山 強直間代発作っていう発作で、ちょっとこれは公開したくない発作なんですけど、てんかんなんですよ。全身のけいれんで、事故とか起こしたりってニュースがあるじゃないですか。なので私、免許も取れないんですよ。表舞台でそういう発作になると、みんなに見られちゃうのかなとか、そういう気持ちがあって自信なくなっちゃって。だから表に出ないほうがいいのかなと思っちゃったり、もう辞めようかなと思ったりしました。でも、そこで「辞めるなよ」って言ってくださったので。

――運転ならともかく、アイドル活動には問題ないですからね。

丸山 そうなんですけどね。やっぱり入院中とかは落ち込むというか、マイナスなこと考えちゃうので。

――それはしょうがないですよ。

丸山 そこはツイッターとかで。

――発散するしかないですよね。

丸山 そうですね。明るく楽しく生きたいですね。ファンの人に「丸山夏鈴じゃなきゃダメだ」って言われたんですね。それがすごいうれしくて。業界的にはかわいい子はいっぱいいるし、若い子もいっぱいいるし必要ないかもしれないけど、「丸山夏鈴じゃなきゃダメだ」って言ってくれるファンの方がいるから、ちゃんと復帰して「ありがとう」って言いたいですね。この活動も、ファンの方が好きでやってるようなものなんですよ。お金とか関係ないんです。

――ボクもお金を稼ぎたい人にアイドルは絶対勧めないですからね。

丸山 フフフフ。だから、なんで続けるのかっていうと、ファンの方が好きなことと、あと自分のことをもっと知ってもらって、故郷の福島の方々と、あと同じ病気とか入院してる方がいるので、そういう人にも元気を与えられたらなって思います。だから、いま準備中なんですけど。ちゃんとライブで頑張っていきたいです。

――実は今日は事務所から伝言があるんですよ。明日が誕生日ということで、
「誕生日プレゼントとして、現在丸山夏鈴さんのオリジナル曲を制作中」だそうです。

丸山 ……ん? ……えぇーーーーーっ! 知らなかった。

――愛乙女DOLLとかの曲を作ってるCHEEBOWさんが無償で楽曲提供するそうです。

丸山 そうなんですか……。知らなかったです。うれしいです、ホントに。いやぁ……ビックリしました。

――これから音楽活動を本格的にやっていきたいわけですよね。

丸山 そうですね。ただ、それにはやっぱり準備が必要で。さっきの発作っていうのはを薬飲んでれば大丈夫なんですけど、でも疲れたら発作って起きるんですよ。そこは注意して生活してて。

――ライブでそこまで疲れないように気をつけなきゃいけないわけですからね。

丸山 そうですね。でも、私はもう大丈夫です!

――走ったりしてるんですよね。

丸山 はい、毎日1時間ぐらい走って、1時間筋トレしてます。9月からジムにも行きます。体を鍛えなきゃいけないので。

――体重が落ちちゃったんですよね。

丸山 はい、自分でもビックリしました。いま43キロで。前は48キロあったんですよ。胸から落ちるんですよね。

――撮影会とかもやってる身としてはちょっと困りますよね。

丸山 そうなんです。だからホントに大問題なので、頑張って鍛えようかなって思います。ちゃんと準備を整えてから復帰ですね。負けたくないです。やっぱり周りの人から言われるんですよ、「病気だから」とか「無理なんじゃない?」とか。そういう人たちをガツンと見返してやりたいです。だから今回『B.L.T』に載って、「丸山夏鈴? ふーん」って思う人、たぶん知らない人ばっかりだと思うんですよ。なので、それが出た数ヵ月後とか、その先にもっと大きくなってやろうじゃないのって。見返してやろうかなって思います。

――そういう負けず嫌いな面もあるわけですね。

丸山 表には出さないだけで、お母さんとか周りの人によく「強がりだね」って言われるんです。でも、今回の入院で本当は弱虫なんだなって思いました。ワンワン泣くし(笑)。泣くといったら映画とかドラマとかアニメで感動したりしかなかったのに。やっぱりみんなどこかで強がってて、弱い心を持ってると思うんですよ。でも、立ち直るのが結構早いのでいまは前向きになりました。

――ドーンと落ちるのはどういうときなんですか?

丸山 この前、TIFがあったじゃないですか。あのとき、ツイッターのタイムラインがすごいTIFでいっぱいになったんです。それ見てていいなって思って。私もじつはTIFに行ってて、アイドルさんとか観て、早く復帰したいなって思ったんです。それで家に帰ってどよーんって気持ちになって。

――「なんで私はあそこに出てないのか。っていうか、そもそも復帰とかできるのか」みたいな感じで。

丸山 フフフ、そうなんです。それで、あぁ……みたいになったんですけど、いろいろ考えてひと周りして上向きになるんですね。

――「私もいつかTIFに出てやる!」みたいな。

丸山 そんな感じですね。

――もしTIFに出たら、本当に暑いので体調には気をつけてくださいね。

丸山 みんな「体調大丈夫?」って気を遣ってくれるんですけど、ふつうなんですよ。

――これが当たり前として生活してきた人にしてみれば。

丸山 はい。具合悪いとかそういうわけじゃなくて、ただ頭に悪いものがあるだけで全然ふつうなんですよね。だから自分は不思議な感じです。

――すごい大変な子なんじゃないかっていう目で見られてるけど、ただのアホの子として接してくださいっていうことですかね。

丸山 そうなんです、フフフ。私よりダンスができて歌ができる子はたくさんいると思うんですよ。もちろんパフォーマンスは大事だと思うんですけど、アイドルにとって一番伝えなきゃいけないのは気持ちだと思うんですね。やっぱりファンの人が何かを感じ取らなきゃファンの人は増えないし、応援しようと思ってくれないじゃないですか。だからちゃんと自分の気持ちをファンの人に伝えられるようにしないとなって思います。

撮影=稲垣純也

【丸山夏鈴】
‘93・8・2福島県出身。獅子座。A型。
’12年 ミスiD2013オーディションに参加。アイドルとしてデビュー。以後、手術などで休業を繰り返しながら活動。’15年2/5肺がんであることを「news every」にて公表。
1stシングル「Eternal Summer」が発売中。

オフィシャルブログ「かりんの夢への階段」http://ameblo.jp/pukarin-cho/

【吉田豪】
‘70年東京都出身。プロ書評家。プロインタビュアーなど、さまざまな肩書きを持つほか、タレント本コレクターという一面も。また、テレビやラジオなど、幅広く活躍中。「聞き出す力」発売中。

「豪さんのチャンネル」http://ch.nicovideo.jp/go-san

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