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髙橋大輔さんが現役復帰を表明! 囲み会見を全文リポート【前編】

 2010年のバンクーバー冬季オリンピック男子フィギュアスケートで銅メダルを獲得し、’14年にプロスケーターに転向した髙橋大輔さんが、現役選手に復帰することを電撃発表しました。

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 新たな挑戦を決意し、7月1日に緊急会見を行った髙橋さん。質疑応答の一部始終を、前・後編に分けてリポートします。

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── 今回の決断に至った経緯と、いつ頃から考えていたのか教えてください。

髙橋「まずは、お忙しい中お集りくださり、ありがとうございます。僕が現役に戻りたいなと最終的に決断したのは、昨年の全日本選手権の後です。現役をもう一度やってみたいと思い、事務所に相談しました。現役を引退してから4年間、僕としてもN.Y.に行ったり、テレビの仕事をさせていただいたり、いろんな仕事をしていく中でたくさんの方にお会いして、第一線で活躍していたり、自分のやるべきことを全力でやっている方々の姿を見ながら、自分の中で、“これが本当に自分のやりたいことなのかな”という気持ちが徐々にふくれていきました。また、それぞれの選手が、それぞれの目標を持って全日本選手権に向かってる……全日本選手権で結果を残すために、自分自身を追い込んでやっていく姿に感動したということもあります。(僕は)世界を目指して、世界で戦うためにやっていたんですけれど、そういう戦い方もありなんじゃないかなと。それまでは“勝てないんだったらやるべきじゃない”というふうに僕自身は思っていたのですが、そういった、“それぞれの思いの中で戦う”というのもいいんじゃないかなと思いました。あとは、(現役時代最後に)世界選手権にけがで出場することができず、スッキリとした気持ちで次に向かえていなかったのかなということも、この4年間過ごしていく中で出てきた部分です。自分自身が次に進むために、もう一度“現役”というカタチで、自分の中で納得してから、次に行かなきゃいけないんじゃないかなというところも、決断に至った理由です。
自分自身でもうまくまとめられないぐらい、決断に至るまでの気持ちは複雑なので、全てがちゃんと伝わるかというと難しいかなと思うんですけれども……すみません、うまくまとまらなくて(苦笑)。これからスケートをやっていく上で、たぶんあと何十年も滑り続けることはなかなか難しいと思うので、いいパフォーマンスができてあと5~6年かなって思った時に、自分自身のスケートをもう一度取り戻して、アイスショーなどでファンの皆さんに失礼のないスケートをしていくためには、現役にもう一度復帰するぐらいの…復帰して体を作り上げるぐらいでないと、そういったスケートは今後できないんじゃないかなと。そういう気持ちも、現役復帰の決断に至った理由の一つです」

── すんなり決断できましたか? それとも、葛藤や、不安な思いがありましたか?

髙橋「(現役復帰を)決めてからは、本当に現役に戻ることだけを考えて過ごしていました。不安な気持ちというのはどこまでいってもついてくるとは思いますので、そういったところでは、自分の中ではスッキリした日々を過ごすことができたかなと思っています。そんな中で(平昌冬季)オリンピックや世界選手権も間近で見させていただき、素晴らしい選手の姿を見て本当に刺激になりました。テクニック的な部分でも、今は“4回転時代”ということで、“こういったことを取り入れてみよう”だとか、“こういうことをやってみよう”と、毎日練習を見ていてすごく勉強になりました。(今年)3月まではほとんど滑る時間もなく過ごしていましたが、徐々にスタートしていき、今は充実した日々を過ごしています」

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── 髙橋さん自身に刺激を与えてくれた選手を具体的に教えてください。

髙橋「具体的にですか?(笑)。でも、そうですね…みんなですかね。今回、復帰するにあたって、今の自分は世界で戦えるレベルに戻すことすらも困難だろうというところは、自分自身でも日々感じながら過ごしていました。練習をスタートした時は本当になかなかうまくいかないというか、体がいうことを聞かず、“やっていけるんだろうか…”と思うことはあったんですけれど、徐々に体が仕上がってくると、“もう少しこういうことができる”、“ああいうこともできるんじゃないかな”って気持ちには変わってきて。やはり、ジャンプという部分が僕自身としては戦う上で一番必要にはなってくると思うので、そういうところでは…ネイサン・チェン選手のジャンプを研究しています(笑)」

── 現役時代はけがもあったり、リハビリ生活があったり、苦しい思いをしてきたと思います。そんなつらい経験を踏まえて、現役に復帰したいという“覚悟”みたいなものがあるのでしょうか?

髙橋「一番は、やはり自分にはフィギュアスケートというものが軸にないとダメだな、と。今後、人生を歩んでいく上で、フィギュアスケートというしっかりしたものを一個持っていなければ、自分らしく過ごせないなと思いました。“自分のスケートを取り戻す”という部分で、そういった気持ちに突き動かされたんだと思います。少し上から目線のようにはなってしまうかもしれませんが、今までは“期待に応えたい”とか、そういう中でも戦っていましたが、今回の現役復帰は、“誰かのため”ではなく、“自分だけのため”に……本当にわがままですけど、やっていきたいなと思っています」

── 男子フィギュアは“4回転時代”ですが、そんな中でルール改正がありました。このタイミングで…というのは、髙橋さんは考えていましたか?

髙橋「いや、たまたまタイミングが一緒になったっていうだけで(笑)。(新たなルールでは)ジャンプが7本……実際、楽になるのか難しくなるのか…楽なことはないと思うんですけど、今までやってきた経験とは全く違うことなので、そういった意味でも、フレッシュな気持ちで挑めるいいタイミングだったのかなと思います」

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── 今回復帰をするにあたって、同世代の選手や仲間、恩師には、相談や報告はされましたか?

髙橋「そうですね。報告はギリギリに…まぁ、(浅田)真央だったりノブ(織田信成)だったり、そこらへんのみんなには、ギリギリですけど報告して。コーチの方には、現役に戻りたいなという気持ちになった時に…年末ですかね。一緒に食事する機会があったので、そこで『実は、現役をやりたいと思うんだよね』って伝えると、すごく賛成してくれました。相談というよりは報告なんですけどね。“やりたいな”と思った時に自分はそこしか見えてなかったので、誰かに相談することはなかったかな」

── どういうふうに戦っていきたいか、髙橋さんの中に“ビジョン”のようなものはありますか?

髙橋「ビジョン…そうですね……戦える位置に(自分が)行けるかどうかは、今の段階では分からない状態なので、もちろん結果を残したい気持ちはあります。そのためには、まずは全日本選手権を目指して、近畿ブロック、西日本選手権を頑張って通過して、全日本で……表彰台はなかなか今の段階では難しいと思ってるんですけど(苦笑)、やっていくうちに、もしかしたら見えてくるかもしれません。その先にもし新しい何かがあれば、そこをまた目標にするかもしれませんし、しないかもしれませんし…それは全日本選手権が終わった後に、ゆっくり考えたいなと思います。まずは全日本選手権に向けて、たったあと6カ月間しかないので、その6カ月間でこの4年間のブランクをどれだけ縮められるか…。4年間のブランクは相当のものだと思うので、6カ月の間でやれることを精いっぱいやっていきたいなと思っています」

── 最終的には、どんなスケーターになりたいですか?

髙橋「最終的には……どうですかね……。30歳も超えて、フィギュアスケート界では30といったらなかなか成長というのは難しい年齢ですけれど、30歳でもこれだけ成長できるんだよ!という姿を、12月(の全日本選手権)が終わった時に見せられるようなスケーターにはなっていたいかなって思います」

── 国際大会への出場は考えていますか?

髙橋「自分の頭の中に、国際大会という考えはありません。いろいろな状況だったり、これからやっていくうちに自分自身の中で変化がもしかしたらあるかもしれないですけれど、世界というより日本の中で、自分自身どこまで成長できるのかという戦いになってくるんじゃないかと考えています」

── ジャンプはどのレベルまで考えていますか?

髙橋「4回転は…2本ぐらいは(笑)。2種類ぐらいは跳べるようにしておかないと、とは考えていますが(苦笑)、ジャンプも練習しているうちに、いいんじゃないかな?ってほどには戻ってきたので、もしかしたらイケるんじゃないかな?って可能性は少しは見えてきました。あんまり急にやりすぎても体に支障が出てきますので、ゆっくり、焦らずやっていきたいなと思うんですけど、感触としてはいいです。なので、2種類2本ぐらいは入れていけるぐらいになりたいなと…だいぶ希望ですけど」

── 先ほど、「一つのシーズンが終わった時に、やりきったと思えなかった」とおっしゃっていましたが、この4年間その思いを持ち続けていたのですか?

髙橋「(引退してから)4年間ありましたけれど、それこそ前半の2年は現役なんていう言葉は全く頭に浮かんでこなかったですし、実際にその4年間、やりきれていないなっていう思いの中でずっと過ごしていたかというとそうではないです。ただ、昨年1年間で特にそういう思い、“やりきれてなかったのかな”っていう思いに気付き始めた部分はあったかな、と」

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── 平昌冬季オリンピックでの後輩たちの活躍をどういう気持ちで見ていましたか? また、ご自身の中で何か大きな影響を与えた部分はありますか?

髙橋「平昌冬季オリンピックは、ただただ応援する気持ちで見ていたんですけれど、自分が現役に戻っても、彼らとは一緒に戦えないだろうなと思っていました。彼らは別次元のところにいるので、そこは切り離して、全く別の気持ちでいました。ただ、思いっきり(演技を)やった後に、悔しがったり、喜んだり、そういう姿ってやっぱりいいなと感じて。それを自分ももう一度味わいたいなって刺激にはなったし、どうせやるなら、自分自身もこういう喜びの中で終われたらいいなって、映像として浮かびやすくはなりました」

── 4回転を2種類というお話がありましたが、そのレベルまでになると“世界を見たい”という気持ちになってくるんじゃないかなと思います。この先は“今の時点では”考えられないというだけでしょうか?

髙橋「今の時点では全く考えられないかな。その前に、出られるのか?というところもありますし。でも、もしチャンスがあるなら…もしですよ? もしも、国際大会に出られることになったら、自分がそこに出るべきなのかどうかも考えつつ…。これから世界で、後輩スケーターたちが活躍していかなければいけないと思いますし、そういったところで、邪魔してはいけない……という気持ちもあります。(国際大会に出られるという)そういった結果に、もしなった時はいろんな人と話し合いながら、決めていきたいなと思います」

── 平昌冬季オリンピックで日本人選手が活躍しましたが、彼らが出した結果は、きっかけの一つにはなりましたか?

髙橋「難しいなぁ…きっかけというか、刺激にはなったと思います。その“結果”には、本当に一国民として、素直に喜んでいました。“同じ現役選手になる”というふうに見ていた感は全くないです。そこは切り離して見ていました」

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── 現役引退の時は膝の痛みなどもあり、満身創痍の状態だったと思います。先ほど「ジャンプも跳べるようになってきた」というお話もありましたが、自分の体と向き合って、今はどのレベルだと思いますか?

髙橋「手術の影響というのは、少なからず、今でも全くないわけでもなく、そういったケアをしつつ、なので。一度けがをすると、そういったケアっていうのは一生ついてくるというか。(練習を)やりすぎたら痛みがありますし、そこは日々、調子を見つつにはなってくると思います。けがした部分がすごく良くなることはないですけど、それ以外の体の中で、現役時代から変化した部分もあります。(プロスケーター時代に)いろんなダンスをやらせていただいたりもしましたし。今までは筋トレはやらなかったんですけど、膝の補強というのかな? 筋肉を付けなければまだ(痛みが)出てくる部分がありますので、最近は筋トレをメニューに入れ始めました。前の現役時代での体のつくり方とはまた違ったつくり方をして、今は現役に向かってやっています」

── 全日本選手権にも、平昌冬季オリンピックの金メダリスト(羽生結弦選手)、銀メダリスト(宇野昌磨選手)が出場すると思います。勝ちたいとか、そういう思いは?

髙橋「そりゃあ、勝てるもんなら勝ちたいという思いはあります(笑)。けれど、正直、素直な気持ち、勝てる気は一切していません。ただ、練習していく中で、もしかしたらその自信が付いてくるかもしれないので、その時は思いっきり食らいついていきたいなって思います。不安な気持ちはもちろんありますが、楽しみな気持ちしかないかな。若いチャレンジャーと違って、失くすものは何もないので。勝てなくて当たり前っていう。勝てないだろうという中でやっているので、勝てればラッキーかなと(笑)。あそこ(羽生選手と宇野選手)は別次元。誰が見ても“世界を引っ張っている”2人なので。まぁでも、一緒に戦える位置に行けるのかも分からないですけれど、全日本選手権の最終グループに入って、一緒に6分間公式練習をしたいなという気持ちはあります。まぁ、最終グループに入れるかどうかも分からないですけど(笑)」

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 一つ一つの質問に向き合い、真摯に答えてくれた髙橋さん。とても充実した表情と、終始絶やすことのなかった晴れやかな笑顔が印象的でした。
続けて行われた囲み取材の様子は、近日中に【後編】でリポートします!

撮影/TOMO


「KISS&CRY」とは?
「KISS&CRY」シリーズは、日本のフィギュアスケーターの皆さんをフィーチャーし、その「戦う」姿、「演じる」姿を合計50ページ超のグラビアでお届けしています。つま先から指先・その表情まで、彼らの魅力を存分に伝えます。また、関連番組TVオンエアスケジュールも掲載。テレビの前で、そして現地で応援するフィギュアスケートファン必携のビジュアルブックです。
Twitterアカウント:@TeamKISSandCry

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