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髙橋大輔さん「スケーターたちが活躍できるような環境を作りたい」 
髙橋さん出演「TOLフォーラム2017」トークショー スペシャルリポート!

 女性オリンピアンたちが集い、スポーツ文化の向上のためにさまざまな活動を行っているトータル・オリンピック・レディス会(TOL)。そのTOL主催のトークイベント「TOLフォーラム2017」が10月14日に都内で開催され、バルセロナ・アトランタ・シドニー・アテネパラリンピックに車椅子バスケットボール日本代表として出場した神保康広さん、ロンドンオリンピック女子柔道銀メダリストの杉本美香さん、そしてトリノ・バンクーバー・ソチと3大会連続で冬季オリンピックに出場し、バンクーバーでは銅メダルに輝いたフィギュアスケート日本代表の髙橋大輔さんがパネリストとして登場しました。司会は、モントリオールオリンピック体操日本代表で、元フィギュアスケーターの佐野稔さんの奥さまでもある佐野智恵子さんです。

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佐野「みなさんが、それぞれの競技を選ばれた理由はなんでしょうか?」

神保「子どもの頃に事故を起こしまして(下半身麻痺になり)、落ち込んでいる時期に、『車いすでもスポーツができるよ』と知人に会場に連れて行ってもらったのが、きっかけです。もともと体を動かすことが好きだったので、その日から車椅子バスケットボールを始めました」

髙橋「僕がフィギュアスケートを始めたのは8歳。球技が苦手で、両親が何かスポーツをさせたいと思っていたところに、たまたま近くにできたスケート場に遊びに行ってハマってしまったんです。靴を履いて氷の上に乗った瞬間に『これがやりたい!』と思いました」

杉本「私は小学5年生まではテニスをしていたんです。2年間頑張ったんですけど“これじゃないな”と思って柔道を見学に行ったときに、人が人を投げていることに感動して始めました。『私も人を投げてみたい』って思ったんです(笑)」

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佐野「私の夫がフィギュアスケート関係者だったため、髙橋さんは小さい頃に我が家に泊まって練習したりしていたんです。そのころの大ちゃんは、どちらかというと消極的なイメージがありましたが、今はどうですか?」

髙橋「僕は基本的に受け身で過ごしてきたんです(笑)。振り返ると、すべて誰かに導いてもらって、ここまで来たなぁと。頑なに周りの意見を聞かずに、自分のやりたいことを突き進めてみたこともありましたが上手くいかなくて…。いろんな人の意見を聞いて、消化した方が正しい道に進めるように思います」

佐野「“髙橋大輔”というフィギュアスケーターのあふれる才能を見出した周りの人が環境を作り、大ちゃんはそれに素直に従ってここまでやってきた。スポーツ選手としては珍しいタイプだと思います」

髙橋「フィギュアスケートの“音楽を感じて表現する”というところが、性格的に向いていたんだと思います。柔道だったら絶対に向かないですよね?」

杉本「…無理ですね(会場爆笑)」

佐野「家にいるときはぽーっとした感じなのに、氷上では本当に生き生きとしていました。滑る、ジャンプ、スピンの3つの要素の中で好きなのはどれですか?」

髙橋「ジャンプは嫌いです(笑)。でも表現をする上では、ジャンプもひとつの表現方法なのかなと思います。僕は、そういった全体を含めてパフォーマンスをするということが好きなのかな」

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佐野「3人とも、手術をするような大きなけがを経験されていますね」

神保「僕は若いころにやんちゃしていまして、16歳の時にバイクでブロック塀に突っ込んで、下半身麻痺という障がいが残りました。ただ、車いす生活になったおかげでスポーツを頑張ってパラリンピックまで行けたということで、僕にとっては結果オーライかなと、今は思っています」

髙橋「僕は前十字靭帯断裂と半月板の損傷で、当時はメンタル的にも落ちていた時期だったので、けがした瞬間は『休める!』ってホッとしました。感覚を取り戻すまでに3年以上、いろいろと大変なこともありましたけれど、自分自身の体と向き合ったことで、長く27歳まで現役生活を続けられたのかなと思っています」

杉本「私はキャッチフレーズになるくらいけがが多い選手で、手術を5回しています。両膝の前十字靭帯も半月板も手術をして、いろんなところにボルトが入っています。ロンドンオリンピックの時も、実は前十字が切れたまま試合に出ていました(笑)。」

髙橋「すごい!」

杉本「(スケートでは)着地するときに靭帯が絶対必要ですが、柔道ではそんなに…(笑)。今はけがをして良かったなと思っていますね。けがをしたことによって周りの人の支えに気付くことが出来たりしました。いい経験をしたと思っています」

髙橋「(けがをした当時)“オリンピックに行かなければいけない”、“頑張ってやらなければいけない”とプレッシャーを感じていたときに、長光歌子コーチが『いいんだよ、辞めても』って言ってくれて。その一言ですごく気が楽になったのを覚えています」

杉本「私は2度目のけがくらいの時に両親から『丈夫な体に産んであげられなくてごめんね』と言われて『自分だけが苦しいわけじゃないんだ』と実感しました。周りの人を悲しませた分、もう1度頑張ろうと思いました」

神保「事故をしたときに人生のどん底を見たような気がしていて。精神的にきつい時も、あの時のしんどさと無力感みたいなものを考えれば、苦しい思いができていることですら楽しくなってくるというか。つらい思いとか痛い思いをしたことで、相手の苦しみも理解できるようになりました」

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佐野「みなさんのこれからの夢を教えてください」

神保「ビジネスや貢献活動などで、もっと世界へ出ていきたい。それがライフワークであり、夢ですね」

髙橋「引退して3年くらい、僕自身の夢というものを探しています。いろんなことに挑戦して、その中で自分自身がやっていきたいこととか、合っていることを見つけていきたいなと。才能があって、スケートが好きで、表現することが好きという現役を引退したスケーターが活躍する場は、海外にはあるんですけど、日本だとあまりない。そういうスケーターたちが活躍できるような環境を、作ることができればと思っています」

佐野「自分のアイスショーを作りたいと思いますか?」

髙橋「自分のショーというより、作品としてのショーを作り上げるカンパニーみたいなものができればなと。今年、歌舞伎の方とコラボレーションさせていただいていて、いろんな可能性があるんだなって気づかされました」

杉本「現役中に考えた夢が“日本一周柔道教室の旅”というもので、柔道を通じて子どもたちに体を動かす楽しさとかを知ってもらうために、全国の道場や小中学校を回っています。体を動かすとスッキリするし、ぐっすり眠れる。お腹もすくし、すごくいいんです。『体を動かすといい気持ちになるぞ』ってことを伝えていく活動を、今後も続けていきたいなと思います」

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 トークショーの最後は、来場者からの質問コーナー。うなずきながら質問を聞き、真摯な答えを返す3人のパネリストの姿が印象的でした。


── 今日、10月14日は髙橋大輔さんが引退発表された日です。みなさん、引退発表された時の自分に声をかけるとしら、何を言いますか?

髙橋「(引退した日だと)忘れていました! あの時の自分に今声をかけるとしたら…、『その眼鏡にヒゲはなかったなと思う』と(笑)。あと、その後の3年は結構辛いよ、厳しいよって言ってあげたいです」

杉本「急に練習やトレーニングを止めると節々が痛いよ、と伝えておきたかったですね(笑)。天気が悪かったりすると、足が痛くて。大変なんです」

── 理学療法士を目指しています。みなさんがけがをされた時に、トレーナーの方とどのような関わりがあったのか教えてください。

神保「ひどい時は起き上がれないくらい背中や腰が痛いときがあったんですが、近所の整骨院の先生が練習場や家にも来て、ケアをしてくれたことがありました。とても楽になったし、競技がまたできた。本当に感謝しています」

髙橋「理学療法士の先生が僕自身の感覚をとても大事にしてくださって、さらにこういうリハビリがいいんじゃないかと試行錯誤してくれました。それが良かったです。(ケガをした人に)寄り添って、一緒に会話をしながら、信頼関係を築いていくことが大切なのかなと思います」

杉本「ひとつはコミュニケーションかなと思います。患部も痛いですけど、それ以上に気持ちにけがをしているので。同じ目標に向かって、ピッチを早めてくれたり、逆にセーブをしてくれたり。そういうところにも関わってくれた人たちとは、今でも交流がありますね」

── みなさんのような素晴らしいアスリートをどんどん輩出するためには、何が必要だと思いますか?

神保「やはり海外でレベルの高い経験を積んでいくということが必要ですが、言葉や生活習慣の違い、経済的な問題もあります。国を上げて応援できる体制を作って、どんどん世界に出て行く選手が増えれば、自ずと実力は上がっていくと思っています」

髙橋「僕も海外に行くことはすごく大事だと思います。そういう意味では英会話かな。僕自身も伝えたいのに話せないから伝えられなくて、非常に困ったので。それからフィギュアスケートに関していうと、リンクが少なくて練習が出来ない。日本にはすごい才能を持っているコーチがたくさんいるので、それをもっとシェアできるような環境になれば、トップレベルのスケーターがもっともっと増えるんじゃないかなと思います」


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 イベントの最後は、来場者へのお楽しみ抽選会も行われ大盛り上がり。スタッフによる元気いっぱいな賞品紹介に合わせて、パネリストたちも大きな声でハキハキと当選者ナンバーをコール! 最後の最後まで、笑顔であふれた、さわやかなイベントになりました。


「KISS & CRY」とは?
「KISS & CRY」シリーズは、日本のフィギュアスケーターのみなさんをフィーチャーし、その「戦う」姿、「演じる」姿を合計50ページ超のグラビアでお届けしています。つま先から指先・その表情まで、彼らの魅力を存分に伝えます。また、関連番組TVオンエアスケジュールも掲載。TVの前で、そして現地で応援するフィギュアスケートファン必携のビジュアルブックです。
Twitterアカウント:@TeamKISSandCry

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