コラム

20年変わらぬスタイルで高視聴率を維持 「鶴瓶の家族に乾杯」“ぶっつけ本番”が多彩な家族の魅力を引き出す!

「インタビュアーとしてオンリーワン」プロデューサーが語る鶴瓶の“愛される”旅の流儀

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
今回は、「鶴瓶の家族に乾杯」のプロデューサーを直撃。番組が幅広い層から長年愛され続ける理由に迫りました!

 番組ホストの笑福亭鶴瓶とゲストが、ステキな家族を求めて日本中を巡って〝ぶっつけ本番旅〞を展開する「鶴瓶の家族に乾杯」(NHK総合)。現在のタイトルで放送を開始してから、今年で20周年を迎えた。長年幅広い年齢層から愛され、視聴率も好調な理由をひも解くべく、番組プロデューサーの杉山賢治氏を直撃。番組が愛される秘密に迫る。

<鶴瓶×ぶっつけ本番旅で常に新鮮な人気番組に>

 〝ぶっつけ本番旅〞のスタイルは変わらず、20年続く人気番組とあって、「鶴瓶さんが歩いているだけで『家族に乾杯』とわかっていただける」(杉山氏)と言うほど、世間に浸透しているこの番組。それでもマンネリ化することなく、毎回何が起こるかわからないワクワク感が生まれる理由は、どこにあるのだろうか?

 「やはり〝ぶっつけ本番旅〞というスタイルに起因していると思います。ロケでは旅のスタート地点だけ決まっていて、最初は鶴瓶さんとゲストの方で、途中でルートを分かれてからは、それぞれがロケ隊の先頭に立って旅していただいています。鶴瓶さんやゲストの方が興味を持った人・モノが第一。仮に誰もが興味を持つ名所などが別にあったとしても、そこに触れずに旅が終わっていい、という精神でやっています(笑)。よく、『仕込んでいるんじゃないの?』と聞かれますが、もちろん一切仕込んでいません。毎回、さまざまなことが起こりますが、それは我々の予想を超えるようなことばかりですからね」

 また、新鮮さが失われないのには、ゲストの存在も大きな役割を担う。

 「バラエティー番組によく出演される方よりも、初めてこういった番組に出演される方をゲストに迎えることが多い。それも、毎回新鮮に感じていただけている理由ではないでしょうか。ロケ地で大事にしているのは、ゲストの方が初めて行くところを選んでいただくことですね。ゲストが初めて行った町で見聞きしたことに対する反応が、初めてその町を知る視聴者の方にも共感しやすいのではないか、という思いがあるからです。ゲストの方には、『困ったことがあったら、町の方に聞いてください』とお願いしていて、思いっきり〝ぶっつけ本番旅〞を体感していただいています」

 また、番組を語る上で欠かせないのが、笑福亭鶴瓶の存在だ。

 「鶴瓶さんの笑顔は、お会いする人を安心させる何かがあるように思います。その上で、お話し好きの方、人見知りの方、それぞれとの距離の取り方がお上手だと感じますね。番組の趣旨〝ステキな家族を求めて〞ということをいつも実践してくださっているので、その人がどういう人生を歩んできたのかなど、色々な家族のあり方を引き出してくださる。インタビュアーとしてオンリーワンだと思います。ちなみに先日の放送では、鶴瓶さんが、『毎日が家族に乾杯』とおっしゃっていて(笑)。鶴瓶さんが普段から出会った人にお話を聞くのが好きな方で、番組用に無理をしているわけではないのも、長く続いている理由ではないでしょうか」

<日本のステキな家族が愛される番組に育てる>

 画面に映らないところにも人気の秘密が隠されている。ロケ中もロケ後も、ある思いを持ってスタッフは奔走している。

 「鶴瓶さんがお話を聞き、テレビカメラがお邪魔するという〝非日常〞の状況になることで、町の方々も普段は口に出さないことを話すいいタイミングになるようです。例えば、お母さんが息子さんのことをどう思っているのかとか、家族だけの日常ではなかなか話す機会がないですからね。番組はステキな家族を求めて旅をしているので、笑えるエピソードだけが大事ではなく、さまざまな形の家族の話をお聞きしたいと思っています。また、この番組の特徴として、旅を振り返るスタジオパートもあります。我々スタッフは、皆さんの日常にお邪魔しているという思いがあるので、ロケ後はディレクターがその町に3日間ほど残り、改めてご挨拶させていただいたり、ロケ中には聞けなかったことを伺っています」

 最後に、杉山氏が考える、「家族に乾杯」が長年愛される理由とは?

 「日本には、いい町がたくさんあって、その土地を愛して暮らしている方がいるからだと思います。例えば、漁師さんや職人さん、サラリーマンの方、それぞれにご家族の関係がありますし、北海道から沖縄まで、素敵な家族がいらっしゃいます。家族の関係が多彩にあるからこそ、番組が20年続いているんじゃないでしょうか。もうひとつは、鶴瓶さんが明るく楽しくロケをしてくださっていること。暑い日も寒い日も雨の日も、旅を楽しんでくださっています」

 番組が訪れていない町は、まだまだある。日本にステキな家族と笑福亭鶴瓶がいる限り、「鶴瓶の家族に乾杯」は愛され、続いていくのだろう。


番組情報
[鶴瓶の家族に乾杯 海外スペシャル
「 オーストラリア・メルボルン ゲスト・田中麗奈」]

8/7(月)
NHK総合 午後7:30~8:43

’07年以降、夏の恒例となっている“海外版ぶっつけ本番旅”。田中麗奈をゲストに迎えて、“世界一住みやすい街”と言われるオーストラリアのメルボルンへ。「鶴瓶さんも田中さんも、日本とはまた違ったいい出会いがありました。家族の素敵な関係は世界共通だと感じました」(杉山氏)

今回、取材したのは…

杉山賢治さん(NHK制作局 エンターテインメント番組部 チーフ・プロデューサー)
‘ 92年、NHK入局。多数の番組のディレクターを担当後、「NHKのど自慢」「NHK歌謡コンサート」などのプロデューサーに。’14年より「鶴瓶の家族に乾杯」のプロデューサーを担当。

Interview=山木敦

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