コラム
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2か月連続で新作アニメ公開! イマジネーションを刺激する⁉湯浅政明作品の魅力とは

永井豪も絶賛!“どんなジャンルでも作れる”鬼才

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
今回は、星野源の声優初主演作「夜は短し歩けよ乙女」でも話題、アニメーション監督の〝鬼才〞湯浅政明氏に注目。作品作りについて聞いた。

<“すこし・ふしぎ=SF”な世界が大好きなんです>

 “動く”歓びに満ちたアニメーションの数々──今、鬼才・湯浅政明監督の動向に注目が集まっている。森見登美彦原作の青春恋愛もの「夜は短し歩けよ乙女」の興奮さめやらぬ中、5月19日に監督・脚本・製作を務めた初の完全オリジナル劇場用新作「夜明け告げるルーのうた」が公開。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を筆頭に国内外の各賞を受賞した初監督作「マインド・ゲーム」(’04年)以来13年ぶりの劇場用作品とあって期待に胸を膨らませるファンも多いことだろう。「夜は短し歩けよ乙女」の主人公“先輩”役を演じた星野源も「イマジネーションの豊かさ、アニメーションの快感がある」と絶賛する湯浅監督に、作品にかける思いをうかがった。

 「『夜は短し歩けよ乙女』は森見登美彦さんの原作を、一部ミュージカル風にうまく描きつつ、原作ファンの方にも楽しんでもらえるものになったと思います。キャスティングの妙もあり、星野さんに随所で感情を込めて叫んでいただいたおかげで主人公の気持ちもより立体的になりました。『夜明け告げるルーのうた』は中学生の男の子と異生物の女の子が出会う話で、異生物は最初バンパイアの予定でしたが、もっと土着的でみんなが知っているキャラクターがいいんじゃないかということで人魚になりました。僕は『ドラえもん』や『オバケのQ太郎』で育った世代なので、藤子不二雄さんの“すこし・ふしぎ=SF”みたいなものが大好きなんです。日常の中にちょっと違う何かが存在しているんだけど、みんなそんなに気にしていない世界ですね」

 オリジナル脚本となる「夜明け告げるルーのうた」ではテーマにもこだわった。「“心から好きなものを口に出して『好き』と言えているか?”ということです。ここ最近、何となく正直にものが言いづらい世の中だなと感じていて。“言ってもどうせダメだろうな…”みたいな。そうじゃなく、もっと普通に言って、周りもそんなに目くじら立てず許せばいいのになと。最終的に脚本が完成するまで1年近くかかりましたが、保守的な町に住む主人公のカイくんがルーというストレートにものを言う人魚の女の子と出会ったことで心を開いて素直になるという物語になりました。毎回変わってるねと言われるので、今回はオーソドックスにどの世代の人が観ても面白いものになればいいなと思いながら作っていました」

 毎回ユニークな映像表現に定評のある湯浅監督。今作は漁港の町が舞台ということで、水の表現にも期待が高まる。

 「水を描くのは楽しいので好きです。想像以上にダイナミックなシーンで、面白い感じに仕上がったんじゃないかな?」

<2Dアニメがヒットする今はすごくいい時代>

 アニメーション制作の世界に入って今年でちょうど30年。’13年には自身が代表を務めるアニメスタジオ「サイエンスSARU」も設立した。

 「若い頃は結構極端な作品を作っていたんですが、今はどんなタイプのものでもできると思うんです。大人向け、子ども向け、怖いもの、笑えるもの。これからは1年とか1年半ごとに1本作っていくような体制になればなと思っています。作業効率を高めるため、フラッシュアニメで全編作りたいという考えは以前からあって、それで制作できたのが『夜明け告げるルーのうた』です」

 現在、来年初春にNetflixで全世界190カ国で配信されるオリジナルアニメ「DEVILMAN crybaby」を鋭意制作中。漫画家・永井豪の代表作にして漫画史に残る傑作「デビルマン」をラストまで描くという。

 「大好きな漫画でまさか自分がやることになるとは夢にも思ってなかったんですが、ラストまでしっかり描くつもりです。ぜひ楽しみにしていてください」

 昨年「君の名は。」「この世界の片隅に」といった話題作もあり、国内邦画興行収入上位10作品のうちアニメーションは7本。今や第4次アニメブームとまで言われているが、こうした現状についてはどのように思っているのだろう。

 「3Dアニメーション映画が出てきた頃、“2Dのアニメーションはオタクっぽいから観たくない”という声も少なくなかったんです。それで、僕としては“だったら2Dのアニメーションでやれることは何だろう?”ということを考えるようになりました。そしたら去年2Dの映画が突然ヒットしたので“あれ、そんなにみんな嫌いじゃなかったのかな?”って(笑)。なのでもしアニメーションならではの表現をみんなが求めているとすれば、すごくいい時代だなって思います」


必見! 公開中~公開予定の湯浅政明監督作
[夜は短し歩けよ乙女]
公開中 全国ロードショー

 森見登美彦原作の青春恋愛物語。冴えない大学生"先輩"(声:星野源)は、想いを寄せるクラブの後輩「黒髪の乙女」を振り向かせるため、ある作戦を実行する。
[夜明け告げるルーのうた]
5/19(金) 全国ロードショー

湯浅監督初の完全オリジナル劇場アニメ。さびれた漁港の町に住む中学生・カイはある日、人魚の少女・ルーに出会う。次第にルーに心を開いていくカイだが…。
[DEVILMAN crybaby]
‘18初春 Netflix全世界独占公開

 ’72年週刊少年マガジンで連載、同年テレビアニメ化された永井豪の不朽の名作を現代版にリメイク。今まで映像化されなかったラストシーンまでが描かれる。

今回、取材したのは…

湯浅政明さん(アニメーション監督)
「劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ」で第1作目から設定デザイン・原画などを担当。映画初監督作品「マインドゲーム」(’04)では数々の賞を総なめに。「ケモノヅメ」(’06)「四畳半神話体系」(’10)など数々のTVアニメを手掛け、その独自の世界観で人気を博している。サイエンスSARU代表取締役。

Interview=秦野邦彦

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