コラム

禁断のX JAPANの映画が日本でも公開中 「WE ARE X」に見る“音楽ドキュメンタリー映画”の可能性とは?

~YOSHIKI (X JAPAN)自ら日本語字幕を徹底監修!~

テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説する連載「TVガイド新書」。
今回は、絶賛公開中のX JAPANドキュメンタリー映画「WE ARE X」に着目! 規模が拡大する音楽ドキュメンタリー映画の可能性を探る。

<メンバーも映画の字幕監修や宣伝に積極的>

 日本が世界に誇るロックバンド、X JAPAN。先日もロックの聖地・英国ウェンブリー・アリーナで約1万人の観客を熱狂させたばかりだが、彼らの封印された歴史に迫る音楽ドキュメンタリー映画「WE ARE X」が、3月3日の日本公開以来話題を集めている。既に米国サンダンス映画祭で最優秀編集賞、サウスバイサウスウエスト映画祭でデザイン部門観客賞に輝くなど、海外でも高く評価されている本作。メンバー自身も撮影している認識がなかったという映像を含め、結成初期からの秘蔵映像と共に描かれる軌跡。あまりに壮絶な内容に、メンバーも衝撃を隠し切れなかったという。

 映画化したいと申し出たのは、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「シュガーマン 奇跡に愛された男」の製作陣。ローリング・ストーンズなどドキュメンタリー映画で多くの実績を持つスティーブン・キジャック監督は「YOSHIKIが経験してきた壮絶な物語は、僕自身がこれまで遭遇したどんなロックバンドとも違っていた。きっとこれまでになかったすごいものが作れるという確信がありました」と語った。

 国内配給を手掛ける東宝映像事業部の東幸司プロデューサーも本作に魅了された1人。映画の存在を知るや、1年以上前からアプローチを始めていたという。

 「東宝映像事業部では『Mr.Children/Split the Difference』(’10 年公開)以来、数々の音楽ドキュメンタリー映画を手掛けてきました。本作は、X JAPANの真実がここまでかと言うほど露呈されていて、誰もが引き込まれる内容なので、ぜひうちで配給したいとお話しました。洋画ですので他にも多くの配給会社さんが手を挙げていたようですが、最終的に実績を重ねて広く届けられるノウハウを持つ弊社を選んでいただけたのではないかと思っています」

 日本公開にあたって一番良い形で公開できるように、YOSHIKIは東宝側と何度もミーティングを重ねた。全編英語の本作に付けた日本語字幕は、YOSHIKI自身が1カ月以上かけて監修。誤解を与えかねないように慎重に表現したという。また、2月23日には東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズでジャパンプレミアを開催。会場には“紅”カーペットが敷かれ、多くの有名・著名人のゲストに続いて、最後にX JAPANのメンバーが全員登場。こうした場に5人が揃うことも奇跡的で、メンバーの本作に賭ける思いが伝わってくる。

 「あのジャパンプレミアもYOSHIKIさんに映画に対する絶対的な自信があるからこそできたイベントだと思います。私たちが話し合ってきた中で重要なテーマが2つあって、1つはX JAPANファンの期待を裏切らないこと。YOSHIKIさんも昨年のVISUAL JAPAN SUMMITなどで本作の話をされて、ファンの方はいつ公開するのか心待ちにされていたので。もう1つはファン以外の人にも届けたいということ。X JAPANの歴史を断片的にしか知らない人にもそのすごさを再認識できる映画なので、ジャパンプレミアは広い層に注目していただくことを目指しました」

<好況のODSにおいても常識を打ち破る存在>

 近年、映画館で音楽ドキュメンタリーやライブ、舞台などを上映するODS(Other Digital Stuff=非映画コンテンツ)が注目を集めている。

 「最近では、アーティストの中でも音楽ドキュメンタリー映画が1つの柱として定着してきた感覚があります。映画というとどうしても敷居が高いと思いがちですが、新しい選択として考えていただけるものになったと思います」

  今年1月に東宝が発表した平成29年の第3四半期決算でも、ODS事業収入は20億円を超え、前年同四半期比61.2%増を記録。ODSは熱狂的なファンを対象に館数を絞り、期間限定で公開することで集客力を高めることが多いが、本作は異例といえる全国89館公開。公開から3週連続で週変わりの入場者プレゼントも用意している。公開と同日に、日本公開版のエンドロールで流れている待望の新曲「La Venus」を収録したオリジナル・サウンドトラックも発売された。

 これまであらゆる常識を打ち破ってきたX JAPANだが、メンバーの映画への積極的な関与、盛大なプロモーションの実施などの点において、本作は音楽ドキュメンタリー映画の可能性を広げる予感に満ちた作品と言えよう。


全国公開中 [WE ARE X]
Toshlの洗脳、バンドの解散、HIDEとTAIJIの死、さらにリーダー・YOSHIKIの心の闇…。幾多の悲劇を乗り越えた再結成、そして’14年10月の米国マディソン・スクエア・ガーデン公演に至るまでの長い道のりを描く。※3/18(土)~第3弾の入場者プレゼントとして「WE ARE X」マスクを配布。
東宝が手掛けてきた音楽ドキュメンタリー映画
「Born in the EXILE ~三代目 J Soul Brothersの奇跡~」(’16年公開)
念願の単独ドームツアーの舞台裏をメインに、メンバー7人の苦悩や努力、プロフェッショナルな姿を捉えた感動の記録。
「RADWIMPSのHESONOO Documentary Film」(’16年公開)
デビュー10周年の節目に挑んだアジア・ヨーロッパツアー、対バンツアーを経て生まれ変わろうとする姿を描く。
「DOCUMENT OF KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”」(’16年公開)
’10年から6年に渡り氷室京介に密着。ライブ活動無期限休止の決断とこれまで語られてこなかった真実に迫る。
「存在する理由 DOCUMENTARY of AKB48」(’16年公開)
AKB48ドキュメンタリー第5弾。11年目を迎え、高橋みなみの卒業と横山由依新体制の裏で起きたドラマとは?
「MY FIRST STORY DOCUMENTARY FILM -全心-」(2/17公開)
MY FIRST STORY初の武道館公演や47都道府県全国ツアーのライブシーン、舞台裏の貴重映像、結成秘話と共に5年間の軌跡を追う。

今回、取材したのは…

東幸司さん(東宝株式会社 映像事業部 映像企画室 プロデューサー)
’82年生まれ。’05年、東宝株式会社に入社。音楽アーティスト映画では、「TOKYO FANTASY SEKAI NO OWARI」(’14年)、「RADWIMPSのHESONOO~」、「~KYOSUKE HIMURO “POSTSCRIPT”」などを手掛けた。

Interview=秦野邦彦

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