コラム

take210「フューリー」
本物の戦車を投入して描く、WWⅡの地獄の戦闘場面

 ブラッド・ピットが主演と製作総指揮を兼任する戦争アクション。第2次世界大戦下、たった1台の戦車に同乗し、300人のナチス・ドイツ兵と渡り合った連合軍兵士たちの恐怖と結束を、リアルな戦闘シーンと本物の戦車を投入して果敢に描き切っている。

 1945年4月、ドイツへ侵攻する連合軍兵士のウォーダディー(ピット)は、自ら”フューリー”と命名した戦車に乗り、過酷な戦いを続けていた。やがて、彼が率いるクルーに新兵のノーマン(ローガン・ラーマン)も加わり、彼らは絆を深めていくが、進軍中にドイツ軍の激しい攻撃を受け、他部隊はほぼ全滅。からくも生き残ったウォーダディーたちには、さらにつらいミッションが下される。

 戦闘で死亡した副操縦士に代わって配属されてきたノーマンの戦闘意欲が乏しいと見るや、捕虜のドイツ兵を射殺するよう命じるウォーダディーの、上官としての冷徹な判断。そんなひ弱なノーマンが、何の罪もない市民をドイツ兵が射殺し、町に火を放つ場面を目の当たりにした時、突如、敵兵目がけて銃を乱射する瞬間の戦慄。戦争が人間にもたらす変化の恐ろしさを的確に描く本作だが、最大の見せ場は戦車と戦闘シーンだ。

 劇中に”フューリー”として登場するのは、大戦中に改良を重ねて5万台以上生産され、その機能性の高さからアメリカ産業の奇跡と賞賛されたシャーマン戦車の中の1台。また、ナチス・ドイツ軍が高性能を誇った本物のティーガー戦車も撮影に投入され、両軍が相まみえる怒濤の戦闘シーンに圧倒的なリアリズムを与えている。そんなガジェットファン垂涎の本作だが、一方で、今は俳優稼業から距離を置くマッチョなブラピを堪能できるスター映画でもある。 (日本での興行収入:10億円)

<映画 うわさの真の相>
監督が俳優たちに命じた、森の中のキャンプ生活と陸軍での鬼の特訓

監督のデビッド・エアーは俳優たちに前もってキャンプ生活を命じ、互いに結束を高めることを促した。監督の指示に従い、ブラッド・ピットらは携帯電話なしでキャンプ生活を体験。その後、カリフォルニア州フォート・アーウィンにあるアメリカ陸軍訓練所で2日間みっちり特訓を積んで撮影に臨んだとか。その成果は、映画を見れば明らかだ。

【映画情報】
フューリー Fury(14年米)

7/16(月)
NHK BSプレミアム 午後9:00~午後11:20
第2次大戦末期のヨーロッパ戦線で、ドイツの大軍に戦いを挑んだシャーマン戦車に乗る連合軍兵士5人の苦闘を描いた戦争ドラマ。1945年4月。ヨーロッパ戦線では、苦境に立つドイツ軍が最後の抵抗を続けていた。そんな中、3人の部下と共にシャーマン戦車“フューリー号”でドイツ軍と戦っていた歴戦の兵士ウォーダディー(ピット)のもとに、戦闘経験のない新兵ノーマンが配属されてくる。

監督:デビッド・エアー
出演:ブラッド・ピット シャイア・ラブーフ ローガン・ラーマン マイケル・ペーニャ ジョン・バーンサル ジェーソン・アイザックス
Text=清藤秀人


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