コラム

take202「忍びの国」

合戦場面を彩る忍術の数々が脱力感を生む異色戦国映画!?

「のぼうの城」や「村上海賊の娘」などで知られる、脚本家で小説家の和田竜による歴史小説を、大野智主演で映画化。戦国時代、天下統一に向け諸国を次々と攻め落としていた織田信長をもってすら、唯一陥落できなかった伊賀の国で展開する、織田軍VS忍者たちの攻防がコミカルに描かれる。その独特の脱力感が本作の肝でもある。

 圧倒的な軍勢を誇る織田軍に対し、兵力では到底太刀打ちできない忍者たちが繰り出す武器と忍術の数々は、例えば次の通り。先端に鉤(かぎ)が付いた“鉤縄”で物を引っ掛け、引き寄せる。“吹き矢”を使って音もなく敵に一撃を与える。空を飛ぶ“手裏剣”、鋭利な道具“苦無(くない)”での一刺しは言うに及ばず。圧巻は、土の中に隠れて敵を待ち伏せ、不意打ちを食らわせる“土遁(どとん)の術”、竹筒を口にくわえ堀や池の中に隠れて反撃の機会をうかがう“水遁(すいとん)の術”、そして何より、忍者の知恵を巡らせて敵を欺く“陰謀の術”etc。

 戦国映画の売りである合戦シーンを、「忍術博物館」的な楽しさで描くのは、江戸の侍が現代にワープして来てプリン作りに精を出す「ちょんまげぷりん」(10)や、高い年貢に苦しむ庶民が藩に金を貸し付けて利息を巻き上げる「殿、利息でござる!」(16)の中村義洋監督。変わり種時代劇コメディーの達人がその流れで繰り出した最新作、それが「忍びの国」なのだ。

 そんな映画の世界観を象徴するのが、死を間近に感じながらも、柔和かつ冷めた言動を崩さない主人公、無門役の大野。気の強い嫁、お国(石原さとみ)には頭が上がらないが、ここ一番で類いまれな忍者力を発揮する無門。大野のアイドルとしてのパブリックイメージをまんま踏襲したような役作りは、画期的と言ってもいいほどだ。(興行収入:25億1千万円)

<映画 うわさの真の相>
猫背も矯正せず、無門を演じた大野智。その自然体ぶり

 本文でも記したように、主演の大野は本当に自然体で撮影に臨んだという。いわく、「もともと忍者の姿勢や基礎的な素養が僕にはなくて。例えば、侍だったら背筋を伸ばして腰を入れてというのがあるけど、中村監督からは特に何も言われなかったので、元々の猫背のまま演じました。無門でいる時と普段が切り替わる瞬間がなかったんですよね」

【映画情報】
忍びの国 (17年映画「忍びの国」製作委員会)

5/19(土)
WOWOWシネマ 午後8:00~午後10:15
天下統一を目指す織田家の大軍に、伊賀の忍者たちが秘術・奇策で立ち向かう。“天正伊賀の乱”を描いた和田竜の小説を映画化。戦国時代。織田信長の軍勢は伊勢を掌握し、隣国・伊賀を狙っていた。が、伊賀の国には人でなしの忍者衆が住んでいた。中でも無門(大野)は一番のすご腕だが、普段は妻の尻に敷かれていた。そんな中、平兵衛が織田軍に寝返り、伊賀へと侵入する手引きをする。

監督:中村義洋
出演:大野智 石原さとみ 伊勢谷友介 鈴木亮平 知念侑李 立川談春 國村隼 マキタスポーツ 平祐奈 満島真之介 でんでん きたろう
Text=清藤秀人


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