コラム

take191「ラ・ラ・ランド」

マジックアワーに彩られる天使の街で歌と踊りが炸裂!!

 来る3/4(日)には第90回アカデミー賞の授賞式が行われる。約1年前、作品賞は寸前で逃したものの、デイミアン・チャゼルの監督賞やエマ・ストーンの主演女優賞をはじめ、計6部門を制覇した「ラ・ラ・ランド」に世界中の目が集まったのが、つい昨日のようだ。発表された途端、忘れ去られてしまうのがオスカーの運命なのに、これは珍しい例ではないだろうか?

「ラ・ラ・ランド」が今なお鮮烈なのは、作品賞が間違えて読み上げられたからだけではもちろんない。現代のロサンゼルスのハイウェーや街角にカメラを持ち出し、若者たちがジャジーなメロディーに乗って歌い踊る極上のライブ感、グリフィス天文台のプラネタリウムや、閉鎖直前のケーブルカー、エンジェル・フライト等、L.A.居住者の目にも新鮮な名物スポット、そして、そんな風景が最も美しく輝く夕暮れ時、マジックアワーを狙って撮影された色彩センスと、魅力溢れる要素の数々を無視することは到底できない。

 また、ストーリーは平凡であってないようなものという論調も的外れだ。ストーン演じる女優の卵と、ライアン・ゴズリングふんする未来のジャズメンが、互いに夢を追う過程ですれ違っていくプロセスは、天使の街で出会い、過去何年にも渡って繰り返されてきたであろう、夢と現実の間で苦闘する恋人たちの思いを代弁するもの。その切実感を軽んじてはいけない。

 オンタイムの路上ミュージカルという新鮮なコンセプトに、趣味のいい音楽と映像が加わって、映画は日本でも空前のロングランヒット。オープニングナンバーの“アナザー・デイ・オブ・サン”も映画音楽として久々のヒットチャート1位をゲット。それはまさに映画がもたらした事件だった。(日本での興行収入:44億2千万円)

<映画うわさの真の相>
ジャズとミュージカル、2つの愛がオマージュに。監督チャゼルの熱い思い

 自身もジャズに造詣が深く、ミュージカル映画のマニアでもある監督のチャゼル。本編中には敬愛してやまないジャック・ドゥミ監督の代表作「シェルブールの雨傘」(64)や「ロシュフォールの恋人たち」(67)(共に音楽はジャズピアニストでもあるミシェル・ルグラン)へのオマージュが満載だ。それらと「ラ・ラ・ランド」を見比べてみるのも一興かと。

【映画情報】
ラ・ラ・ランド La La Land(16年米)

3/3(土)
WOWOWシネマ 午後8:00~午後10:15
 ロサンゼルスを舞台に、夢の実現を追い求める男女の出会いと恋の行方を描くミュージカル。主演女優賞などアカデミー6部門受賞。女優志望のミア(ストーン)は、カフェで働きながらオーディションを受ける日々を送っていた。ある日、彼女はバーから聞こえてくるピアノの音色に興味を持つ。弾いていたのは以前最悪の出会いをしたセブ(ゴズリング)で、彼は自分の店を持つ夢を持っていた。

監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング エマ・ストーン ジョン・レジェンド ソノヤ・ミズノ J・K・シモンズ キャリー・ヘルナンデス
Text=清藤秀人


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