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take162「スター・トレック イントゥ・ダークネス」

人類は少数派とどう向き合い理想の未来を開拓するのか

 60年代から00年代までTVシリーズが続映され、計10本の映画版が製作された「スター・トレック」シリーズ。09年に過去の全シリーズをリブートした天才、J・J・エイブラムスが再びメガホンを取った本作は、キャラクターや設定の基本的な説明に終始した感がある前作とは違い、より深いテーマにまで言及している。

 西暦2259年、ジェームズ・T・カーク率いる宇宙船USSエンタープライズは、未開の惑星を調査中に陥った予期せぬ危機から脱するために重大な規則違反を犯し、結果、カークは艦長職を解かれてしまう。そんな時、ロンドンでテロ事件が発生。真犯人として浮かび上がったのは、何と皮肉にもカーク等と同じ組織に属する艦隊士官、ジョン・ハリソンだった!?

 「イントゥ・ダークネス」のキーパーソンで映画のテーマにも直結するハリソンは、人間を圧倒する知性と身体能力を持った最強の敵であり、ときに人間の愛情すら己の目的のために利用してしまう邪悪な存在だ。しかし、彼にはそうならざるを得ない理由があった。そして、そんなハリソンと対を成す役柄が、カークの親友スポックだ。彼もまた、今は破壊されたバルカン人と地球人のハーフという特殊な生い立ちの持ち主である。果たして、人類は自らが作り出した彼ら、マイノリティーと、どう向き合うべきなのか? エイブラムスは劇中の随所に9・11同時多発テロを必然的に連想させる、崩壊する高層ビルのイメージを挿入することで、観客にこの重要なメッセージを伝えようとしているかのよう。

 ハリソン役のベネディクト・カンバーバッチとスポック役のザカリー・クイントが他の誰よりも魅力的な理由は、そこにあるのかもしれない。(日本での興行収入:10億8千万円)

<映画うわさの真の相>
オリジナルのスポック レナード・ニモイのこれが最後の出演作

 スポックを演じて世界中で人気を博したレナード・ニモイにとって、本作が最後のシリーズ出演作で、かつ遺作となった。2015年2月27日、ニモイ氏は慢性閉塞性肺疾患により83歳で他界。個性派俳優として活躍する傍ら、ミュージシャン、写真家、作家、詩人としても知られ、その死に際しオバマ元米大統領がツイッターに弔辞をツイートしたほど。

【映画情報】
スター・トレック イントゥ・ダークネス Star Trek Into Darkness(13年米)

7/17(月)
NHK BSプレミアム 午後9:00~午後11:15
 宇宙艦隊全滅を狙う謎のテロリストにカーク船長らエンタープライズ号の面々が立ち向かう。人気SFドラマの新シリーズ第2弾。ロンドンの宇宙艦隊基地が爆破され、犯人は隊員のハリソン(カンバーバッチ)と判明する。任務中の規則違反で船長を解任されていたカーク(パイン)を始めとする宇宙艦隊隊員たちがサンフランシスコに召集されるが、そこに現れたハリソンが奇襲攻撃を始める。

監督:J・J・エイブラムス
出演:クリス・パイン ベネディクト・カンバーバッチ ザカリー・クイント ゾーイ・サルダナ カール・アーバン サイモン・ペッグ ジョン・チョー

Text=清藤秀人



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