コラム
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take135「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」

モンタナからネブラスカへ父と息子の遠回りの旅

 頑固者の父親と、そんな父とは距離を置く息子が、ひょんなことから親子二人旅に出かけることに。父と息子の遠回りの旅に寄り添い、やがて生まれる愛と尊敬と思いやりをほのぼのと浮かび上がらせるのは、「アバウト・シュミット」(02)でも頑固おやじの旅を描いたアレクサンダー・ペイン監督。大作主流のハリウッドにあって、ペーソスとユーモア溢れる作風で独自の地位を保つ同監督が、会社側の希望に反してあえてモノクロで撮影したロードムービーは、終始物悲しく、そして美しい。

 モンタナ州の田舎町で暮らす大酒飲みで頑固な老人・ウディのもとに、ある日、100万ドルが当たったといううさんくさい知らせが届く。誰が見てもインチキだと分かる手紙を信じてしまったウディが、遠くネブラスカまで賞金を取りに行くと言って聞かないため、息子のデイビッドは仕方なく父を車に乗せて4州にわたる旅に同行することになる。当初は歳のせいで言動も若干怪しい老父と、冷めた息子の間に隙間風が吹きすさぶが、やがて、途中立ち寄ったウディの故郷で想像すらしなかった両親の過去と向き合い、ウディがそこまで賞金にこだわった理由が分かった時、デイビッドは人生で初めて父親への愛を実感する。飲んだくれで堅物の父が、心の奥底で息子を思いやってくれていることに気付いて、それに応えようとするのだ。

 詳細は避けるが、物語の終盤で描かれるエピソードは、父親と十分に分かり合えなかった世の息子たち、また、息子との距離が縮められないでいる父親たちの心に突き刺さるに違いない。全米の映画賞を総ナメにしたものの、ストーリーも配役も地味過ぎて日本ではイマイチ話題にならなかった秀作の“真の髄”を、ぜひこの機会に!(日本での興行収入:1000万円)

<映画うわさの真の相>
監督の出身地でもあるネブラスカ州は長年共和党の牙城

 ペイン監督はアメリカ・ネブラスカ州のオマハ出身。ペイン監督の故郷への思いは強く、これまで「アバウト・シュミット」以外にも「Citizen Ruth」や「ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!」など、ネブラスカを舞台に映画を作っている。ちなみに、ネブラスカは長年共和党の堅い基盤であり、トランプ次期大統領も早々に選挙人5人を獲得。

【映画情報】
「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」Nebraska(13年米)

12/3(土)
NHK BSプレミアム 午後9:00~11:00
 100万ドルが当選したとの怪しい通知を受け取った父と、そんな父を案じた息子が賞金を受け取るための旅に出るロード・ムービー。ある日、モンタナ州に住む老人ウディ(ダーン)のもとに、100万ドルの賞金が当選したという怪しい通知が届く。賞金を受け取るためにネブラスカまで行くと頑固に言い張るウディに根負けし、息子のデイビッドは仕方なくウディを車で連れて行くことを決心する。

監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ブルース・ダーン ウィル・フォーテ ジューン・スキッブ ボブ・オデンカーク ステーシー・キーチ アンジェラ・マキューアン

Text=清藤秀人



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