闘う男の素顔にトライ!

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「闘う男の素顔にトライ!」#1~中靏隆彰選手(サントリーサンゴリアス)~
ジャパンラグビートップリーグで活躍する選手にクローズアップ!

 日本開催のラグビーワールドカップ(RWC)2019まで、あと2年余り。この8月18日に開幕するジャパンラグビートップリーグは、日本代表を目指す選手たちがしのぎを削る、文字通りRWCへの扉を開ける鍵となってくる。

 でも、どんな選手がいるのか? 果たしてラグビーの魅力はどこなのか? イマイチよく分からない。

 そこでインターネットTVガイドでは、日本代表選手や代表入りを目指す選手にインタビュー。より身近にラグビーを知ってもらおうと、選手の人生に影響を与えた<ヒト><モノ><コト>にクローズアップすることで、選手の素顔やアスリートならではの心情に迫る新連載をスタート。

 第1回目は、昨季のトップリーグを全勝で制し、日本選手権(ラグビーの日本一決定戦)とともに2冠を獲得したサントリーサンゴリアスの中靏隆彰選手。トップリーグ最優秀選手(MVP)に輝いた若きトライゲッター(トライする能力の高い選手)に、ラグビーに目覚めたきっかけや、もともとサッカーが好きだった少年がラグビーにハマった理由などを聞いた。

──中靏選手は福岡県の出身で、1990年生まれの26歳。子どもの頃はサッカーをやっていたそうですが、なぜラグビーを始めたのですか?

「父親がもともと社会人でラグビーをやっていまして。1歳年上の兄(トップリーグを目指すジャパンラグビートップチャレンジリーグの九州電力キューデンヴォルテクスで主将を務める中靏憲章選手)と僕にはラグビーをやらせたかったと思うんですけど、二人ともサッカーを始めたんですよ。でも、僕が小学校4年生の時に兄が父親のことを思いやってか、『ラグビーやってみてもいいよ』と言ったことで、僕も強制的にラグビースクールに連れて行かれて(笑)。クラスにはラグビーをやっている友達なんて誰もいなかったですし、最初のうちはイヤでイヤで仕方なかったという記憶しかありません」

──同じサンゴリアスのキャプテン、流大(ながれゆたか)選手は高校進学までラグビーとサッカーを平行してプレーしていたと聞きますが、中靏選手は?

「そんなに本格的ではなかったです。友達と遊ぶ時はサッカーをやっているくらいでした。ラグビーは、玄海ジュニアラグビークラブというクラブチームに入っていたんですけど、最初の頃は父親の手前、仕方なく通っていた感じでした(笑)」

──しかし、福岡は全国高等学校ラグビーフットボール大会(通称・花園)で6度の優勝を誇る東福岡高校をはじめとした強豪校が居並ぶ、日本屈指のラグビー県。小中学生向けのラグビースクールも24校あるそうですね。

「そうなんです。現在のトップリーガーも県内出身者が多いのですが、子どもの頃はラグビーが盛んな県だとは全然知らなくて。当時、開幕したばかりで盛り上がっているJリーグ(1993年)に憧れていました。今であれば、本拠地を福岡に置くコカ・コーラレッドスパークスや宗像サニックスブルース、兄が所属する九州電力でプレーしたいと思うラグビー少年も多いんでしょうけど、僕らの頃はトップリーグがなかったですし(2003-2004シーズンに発足)、自分の意志でラグビーを選択することはあまりなかったように思います」

──ラグビーを楽しいと思うようになったのは?

「本当にラグビーが楽しくなり始めたのは、中学校に入ってからでした。進学した中学にラグビー部がなかったので、自分たちで作ったんですけど」

──えっ!? 部を作ったんですか?

「西南学院という中高一貫の学校に入学したんですけど、たまたま同じ学年に、ほかのクラブチームに通っていた同級生が5~6人いて。『じゃあ、ないなら作ろうか』となって。自分たちなりにいろいろと考えて練習していくうちにラグビーが楽しくなり。毎日ラグビーのことばかり考えていたら、不思議と結果も付いてくるので、より楽しくなっていきました。その仲間がいなければ、今の僕は確実にいないと思います」

──では、現在の中靏選手を作り上げる基礎となった<ヒト>は、ラグビーを勧めてくれたお父さん? それともその同級生ですか?

「かしいヤングラガーズという強豪のクラブチームが自宅から車で10分くらいのところにあったんですけど、そんな強いクラブに入ったらイヤになってやめるかもしれないと(笑)、1時間以上もかかる新設の玄海ジュニアまで送り迎えをしてくれた両親にまず感謝したいです。あとは高校の顧問の先生(元監督の森正和さん)ですね。わざわざ中学まで指導に来てくださったり。高校生と一緒に練習させてくれたり。部員たちとわが子のように接してくれて。高校は、とりたててラグビーが強くなかったので、最初はほかの花園の常連校に進学しようと考えていたんですけど、途中からは“この仲間たち、この先生と一緒に花園に行きたい!”と思うようになって。そういう意味では、すごく人には恵まれてきたと思います。知らず知らずのうちに、僕を動かしてくれた」

──弱小チームに仲間たちが集い、先生のために花園を目指す。「少年ジャンプ」の世界を地でいっていますね。

「(笑)。でも本当に運命に導かれて…と言うと大げさですが、中学進学の際も、ウチはごく普通の家庭なので中学から私立は大変だったところ、入学金を払う最後の最後の段階になって母親が『本当にいいの?』と聞いてくれて。『やっぱり行く』と答えてから入学したのが西南学院でしたし。そこで仲間たちと出会い、恩師と出会い。玄海ジュニアもそうですけど、新設の和気あいあいとしたチームだったから、自分のように体が小さい子どもでもやめずに続けてこられたと思います」

──ラグビーの精神である「One for all, All for one(=一人はみんなのために、みんなは一人のために)」に象徴されるように、一つのボールをチームメート全員で前に運ぶところがラグビーの面白さだとよく言われますが、当時の中靏少年はどこに魅力を感じたのでしょう?

「今でもラグビー選手のなかでは小柄ですが、中学時代はもっと小さかったですし、細かったし、足もそんなに速くはなかったんですけど、それでもチームには自分の役割があって、自分の特徴を生かしたポジションがあったことですね。もちろん、“仲間と一緒に力を合わせて勝つ”という魅力もありつつ、特別な能力のない子どもでも努力すれば成長できる、前に進むところが楽しさにつながっていったと思います」

──そして高校在学中は高校生の日本代表にも選ばれ、早稲田大学を経て、2013年にサンゴリアス入り。現在、中靏選手がこだわっている<モノ>についてもお聞きしたいのですが、ゲン担ぎなど選手としてのこだわり。ゆるいところでは、集めているもの、お気に入りの音楽など、そういったものはありますか?

「趣味となると、ここ最近はキャンプです。サンゴリアスのチームのメンバーと行くんですけど、誘われた2年くらい前からどんどん道具が増えていって。道具の使い方にも凝り始めて。みんな体が大きいので、お金を出し合って、モンゴルのテント(移動式住居「ゲル」)のようなデカイやつを買ったり(笑)。そこで男同士、わいわい飲んで、食べて。それが一つの息抜きにもなっています。体が大きいのももちろんあるんですが、そのせいか、みんな乗っている車もデカイです(笑)」

──イメージですが、皆さんお酒はかなり飲まれる方ですか?

「シーズンが始まると控えますけど、みんな好きですね。そして、よく飲む! 試合が終わると、チームでワッと飲みに行ったり。負けるとそうもやっていられませんが、昨季はおかげさまで全勝優勝を果たすことができたので行くことができました。キャンプでも、もちろん飲みます。外国人選手は、バーベキュー慣れしているので、肉を食べて決起集会とか。そこで選手と共に家族同士の仲を深めるとか、そういう機会も多いですね」

──その際は、もちろんサントリーのザ・プレミアムモルツを?

「(笑)、ハイ。おいしくいただいています」

──チームに外国籍の選手が多いのもラグビーの特徴。そうやってみんなでワイワイやる時のコミュニケーションはどうやって?

「小野晃征選手であるとか松島幸太朗選手であるとか、語学が達者な選手が間に入ってくれたり。あとは、ここがラグビーの不思議なところなんですけど、ちょっとだけ日本語を話せる外国人選手と、自分なりの英語…くらいの僕のような日本人選手がなぜか会話が成立するんですよ。お酒が入っている時は、なおさら(笑)。そういうラグビーの、国籍も年齢も超えたフレンドリーな関係性も僕は好きです」

──“紳士のスポーツ”なだけにラガーマンの、とりわけ外国人選手はスーツ姿も決まっていますが、中靏選手ご自身はいかがですか?

「それが、僕は着痩せするタイプなので似合わない…というか、本当に普通なんです。普段は会社で営業をやっているんですけど、自分から言わないと、ラグビーをやっていると思われない。営業として、それがいいのか悪いのか分からないですけど(笑)。自分と同じぐらいの背なのに、チームのスター選手でスーツ姿もカッコいい、松島のような着こなしを目指したいと思います」

──最後に<コト>について。人生のターニングポイントや大きな挫折、忘れられない一言などあれば教えてください。

「昨年はトップリーグ全勝優勝し、個人的にもMVP、最多トライゲッターの受賞などラグビー人生でも最良の1年ではあったんですけど、自分としては明けて今年の1月に行われた日本選手権で勝利の笛が鳴った時が、いちばん感激しました。サンゴリアスはトップリーグでも日本選手権でも、僕がチームに入る2013年までは多くのタイトルを獲得していて、僕が入ったら勝てなくなったので責任も感じていましたし…。それまでの学生時代“優勝”の2文字を知らずに来たため、ずっと“優勝ってどんなものだろう?”と。ですから、勝った瞬間はうれし過ぎてわけが分からなくなりましたね。あの日のプレミアムモルツの味は忘れません(笑)」

──ラガーマンならぬ、営業マンの顔が(笑)。それでは来るトップリーグの開幕を楽しみにしています。

「そうですね。全勝優勝するつもりで、チーム一丸で戦っていきますので、応援よろしくお願いいたします。そして何より、ラグビーを好きになっていただきたいと思います。皆さんぜひ、会場まで足を運んでください!」

 今季のトップリーグを観戦すれば、2年後、世界中のラグビーファンが注目する、大舞台でプレーする日本代表選手がおのずと見えてくる。開幕は8月18日。会場に行くことのできない人は、生放送を中心に全試合を放送するJ SPORTSでチェック。国内外のスター選手による白熱した試合をぜひ!


【昨日の敵は今日の友!?…ラグビー選手交友録】
「仲がいいのは、NTTコミュニケーションズの金正奎(きんしょうけい)選手です。大学の後輩で、今年は念願だったサンウルブズ(日本代表とは別に、ラグビーの国際大会「スーパーラグビー」において、2016年より参加している日本チーム)に二人とも追加招集されましたし、トレーニングも一緒にやっている仲なので、ご飯を食べる機会も多いです。どんな時もポジティブで何事も一生懸命やる選手なので、いつも刺激を受けています」
【カバンの中身を少々拝見☆】
「手帳にいつも息子(歳久くん)の写真を入れています。これだけではなく、いろんな写真を見ていつも癒やされています」
【プロフィール】
中靏隆彰(なかづるたかあき)
1990年10月24日生まれ。福岡県出身。サントリーサンゴリアス所属。ポジションはウィング(WTB)。身長177cm、体重82kg。A型。ニックネームは「ヅル」「つる」。西南学院高校時代は高校日本代表に選出され、早稲田大学に進学、U20日本代表、セブンズ(7人制)日本代表にも選ばれた。2013年、早稲田大学卒業後、サントリーサンゴリアスに加入する。トップリーグ2016-2017シーズンは17トライを挙げて最多トライゲッターとなり、昨季の日本ラグビー界で最も光った選手としてMVPにも輝いた。またトップリーグのベストフィフティーンも初受賞。日本チーム・サンウルブズとして南半球最高峰リーグのスーパーラグビーに挑戦した。
【中靏隆彰選手所属・サントリーサンゴリアス 試合放送予定】
8月18日(金) 深夜0:30~ 「キヤノン VS サントリー」(J SPORTS 1)

8月25日(金) 午後7:20~ 「リコー VS サントリー」(J SPORTS 4)

9月2日(土) 午後3:45~ 「サントリー VS ヤマハ発動機」(J SPORTS 1)

国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局・J SPORTSでは、ジャパンラグビー トップリーグの17/18シーズンを全試合放送

取材・文/橋本達典
撮影/中越春樹

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