気まぐれドキュメンタリー散歩

コラム

“夢の翼”を世界に売り込む営業マンの姿を描いたメ~テレ開局55周年記念番組「飛翔の刻(とき)~MRJの10年~」を放送

 小社発行「TVガイド」が創刊した1962年、この年開局したメ~テレ(名古屋テレビ)の55周年開局記念番組「飛翔の刻(とき)~MRJの10年~」が2月10日(土)に放送されます。この番組は、地元・県営名古屋空港を拠点に開発が進められる国産小型ジェット旅客機“MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)”開発の道のりを、事業が本格化して10年の節目に、イギリス、フランス、シンガポール、アメリカなどの海外取材とともに、世界に向けて売り込む営業担当者の姿から描いたドキュメンタリーです。

 2008年、三菱重工業は、MRJ事業を本格的にスタートすることを宣言。当時の会見で佃和夫社長(現相談役)は「国産旅客機を主導的に作る最後のチャンス」と語っています。戦後日本が唯一作ったプロペラ機・YS-11は、高い性能を誇りながら国際市場で売れず、180機余りが製造されただけで事業は中止に。その苦い経験を糧とし、MRJは実機完成前に400機あまりの受注を取り付けました。当初の予定では2013年にも客を乗せて飛ぶはずだったMRJ。しかし、納入時期は5回にわたり延期、このままでは納期は2020年半ばと見込まれています。事業のスタートから10年、三菱は大きな方針転換を余儀なくされています・・・。

 この55周年記念番組という大役を任された立松大和(ひろかず)ディレクターは、記者としては6年目で、ドキュメンタリー番組の制作は今回が初めてです。「先輩方が取材してきた10年分のテープ(30分~90分)は500本を超え、まず目を通すのに苦労しました。MRJの開発状況や営業状況は、日々変化していくため、テーマ設定や構成なども難しいものでした」と振り返っています。現在は経済記者として鉄道、自動車、エネルギーなどの企業を取材していますが、入社当時はアナウンサーでした。その後、東京支社へ転勤し編成畑でマーケティング業務の傍ら、番組販売業務にも携わり、かつて自分が出演していた番組を全国の放送局に売り歩いたこともあるそうです。その後3年間、営業セクションでCMの販売・調整の仕事も担当しました。

「今回の番組の主人公である三菱航空機の福原裕悟営業部長も、入社当時は技術職。その後マーケティングの仕事に移り、営業職へと変わっていきます。飛行機に憧れた少年が、飛行機を作りたいと決意して入った会社で、与えられた仕事は営業。サラリーマンとして、真摯(しんし)に客と向き合っていました。福原さんに興味を持ったのも、そんなことがきっかけでした」。

 立松ディレクターは自らの業務経歴、とりわけ営業部門での経験を福原部長の姿に重ねて、この番組の取材に取り組んだことが分かります。

「国産初のジェット旅客機MRJと聞くと、何か、輝かしい、特別なものづくりのように見えますが、世界の市場では、サラリーマンである営業が、苦難に立ち向かいながら時に悩み、時に大小様々な達成感に喜びながら、地道に汗をかいていました。派手ではありませんが、ありふれた日常のちょっとした心の動きに注目していただいて、共感して頂ければうれしく思います」。
 素人には難解と思われがちな経済問題。とりわけ国際市場などが複雑にからむMRJの問題を、福原部長の人間ドラマを通して見せることでよりわかりやすく伝えようとしています。

 昨年は、若いADが制作したドキュメンタリー「シネマ狂想曲~名古屋映画館革命~」の映画化や、「メーテレドキュメント 防衛フェリー ~民間船と戦争~」が文化庁芸術祭のテレビ・ドキュメンタリー部門大賞を受賞するなど、硬軟多彩なメ~テレ ドキュメンタリーが次々と話題になりました。自動車や航空機など製造業が集約し、ものづくり産業が盛んな愛知県、名古屋。こだわりのものづくりはドキュメンタリー番組にも共通していました。


メ~テレ開局55周年記念番組
「飛翔の刻(とき)~MRJの10年~」
メ~テレ
2月10日 土曜 午後1:00~2:00
■ナレーション/吉川晃司  ディレクター/立松大和  プロデューサー/村瀬史憲
*県営名古屋空港を拠点に三菱航空機が開発を進める、日本初のジェット旅客機“MRJ”事業。日本の新しい産業の柱、東海地方振興の起爆剤として各方面からの期待を集めるなか、設計変更などを理由に納期延期が繰り返されてきた。MRJを世界に売り込む営業担当者に密着。事業の本格スタートから10年、MRJが世界に羽ばたく日を展望する。
https://www.nagoyatv.com/hisyonotoki/
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株式会社東京ニュース通信社 コンテンツ事業局担当
1988年入社。30代から放送局担当記者に転身、後にTVガイド編集部。同副編集長、デジタルTVガイド編集長ほか番組表・解説記事製作の部門長、西日本メディアセンター編集部長などを歴任。全国各地で放送されている質の高いドキュメンタリー番組と、精魂こめて地道に番組作りに勤しむ制作者の姿に注目してきた。人生の糧となるドキュメンタリーの名作・力作の存在を、より多くの視聴者に知らせるべく、日々ネタ探しの歩みを続ける。

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