気まぐれドキュメンタリー散歩

コラム

全国のコンクールで入賞作続出! 水島宏明門下生が自主上映会開催

 2月12日、都内で行われた東京ビデオフェスティバル2017は、市民がつくる優れた映像作品を表彰する、長い歴史を持つ市民映像祭です。この中で、市民目線による真のジャーナリズム作品に対して贈られる「筑紫哲也賞」(2011年より創設)は、筑紫さんのご遺族が選出しています。今回、この特別を受賞したのは、法政大学社会学部の林原あずささんが制作したドキュメンタリー「ケガと弁当自分持ち!~生き物をつなぐコミュニティガーデン~」という作品でした。ほかにも同大学の3作品が「TVF2017アワード」に入賞。

 1つの大学から一挙4名が入賞したのはかつてない快挙だそうです。しかし驚くべきは、これを成し遂げた4名全員が水島宏明ゼミ所属で、入賞したのはいずれもゼミの授業内で制作したドキュメンタリーでした。

 元日本テレビの水島宏明さん――といえば、その名を思い出す方も多いでしょう。水島さんは、出身地の地元STVでの報道記者を皮切りに、NNNロンドン特派員、ベルリン支局長を歴任、その後、日本テレビで「NNNドキュメント」のチーフディレクターとしてキャリアを重ねました。また、解説委員も兼務し「ズームイン!!SUPER」ではニュース解説も務めました。世に“ネットカフェ難民”という言葉を最初に発信した社会派ジャーナリストとしても広く知られています。

 その水島さんは、2012年から活躍の場をテレビから大学へと移し、法政大学社会学部メディア社会学科の教壇で、現場で培った経験や知識を学生に伝える立場になりました。特に水島ゼミは、ドキュメンタリー制作を専攻している若者が集う場で、企画から撮影、編集、ナレーション入れまでを1人で行うのが特徴です。1人が半年に1作品を作るというルールのもと、教え子たちはこれまでに数々の作品を制作するとともに、全国各地で行われているコンクールに出品してきました。当コラムでも紹介した「地方の時代」映像祭をはじめ、各コンクールで入賞実績を挙げてきました。しかし、水島さんは昨年4月からその身を法政大学から上智大学文学部新聞学科に転じたことで、法政大学の水島ゼミは現3年生の代をもって幕を閉じることに・・・。そこで今回、教え子たちが立ち上がり、自主上映会を企画、2月19日(日)に都内で実施することになりました。ここでは、ゼミ生16名の作品をそれぞれ見ることができます。2016年に各コンクールで入賞した10作品も含まれています。このような形で一般の人が見られる上映会はこれが初めて。今の大学生の関心はどこにあるのか、どんな問題意識を持っているのか、そしてその表現方法とは・・・。

 それらを伺い知ることの出来る貴重なイベントです。そしてこの中から、未来のテレビを担う若いドキュメンタリストが1人でも多く育ってくれればと期待ぜずにはいられません。

 今回は、この企画のリーダー、水島ゼミの春名美咲さん、ゼミの主である水島教授から特別にメッセージをいただきましたので併せて掲載します。

[特別寄稿]
誰かに観てもらいたいから作ってきた
学生だからこそ撮れるものこそ私たちの「力」


法政大学社会学部3年生
春名美咲さん

私たち水島ゼミ4期生、16名は、企画書提出から、撮影交渉、撮影、編集、ナレーションまで個人で行い、それぞれの「社会」を見つめた多くの作品を生み出してきました。作品が多く入賞した去年の冬、私は、いつしか「賞を取る」ことが自己目的化していたことに違和感を覚えました。私たちはそこにあるものを、「誰か」に見てもらうために、作品を作ったのではないだろうか? 上映会プロジェクトが立ち上がりました。 私は皆さんに、例えば「法政大学水島ゼミ」なんか全然知らない皆さんに、ドキュメンタリーなんか普段は観ない皆さんに、足を運んで観てもらいたい、知ってもらいたい、感想を貰いたいのです。私たちの作品は「作品」としてのうまさはプロのものにはやはり敵いません。けれど、そこには「力」がある。「学生」だからこそ撮れるもの、放送を考えないからこそ自由にやれるもの、一辺倒の報道とは違う固定概念のない伝え方、学生だからこそ引き出せた表情、インタビュー、そのすべてが私たちの作品のもつ力です。驚かせてみせます。あなたの人生の大事な日曜日、その1時間半を、私たちにください!
学生が向き合った社会の断面は
テレビでは見られない「今の社会のリアリティー」


上智大学文学新聞学科教授
前・法政大学社会学部教授
水島宏明さん

今回上映する作品は20歳前後の若者たちが現代の日本社会と向き合った足跡です。路上で20匹の犬と生活する野宿者。ある時は脱毛症で毛が抜けてしまった女性。重度の障害を体と心に背負って生まれた子どもの母親たち。ハンデキャップを持ちながらも芸術的な活動をする障害者たち。限界集落で暮らす老人たち。中学時代にいじめに遭った記憶。社会の断面と彼らが向き合った記録がここにあります。学生たちの作品は技術的にはカメラがぶれていたり、音声が聞き取りにくかったりなどの欠点が目につくと思います。それでもテレビ番組では見ることができない「今の社会のリアリティー」を映し出しています。彼ら、彼女らの汗の結晶をどうぞご覧ください。
「法政大学水島ゼミFilm Party」
日時:2月19日(日)
①午後0:00-1:30
②午後2:00-3:30
③午後4:00-5:00
④午後6:00-7:30

各回とも20分の作品を4本ずつ上映

会場:原宿CAPSULE
渋谷区神宮前2-27-3 ハウス神宮前1F

チケットは前売り/当日 ¥500
チケットの予約・問い合わせ mizushima04@gmail.com まで
詳細はFACEBOOKでご確認ください
Y・I
株式会社東京ニュース通信社 コンテンツ事業局担当
1988年入社。30代から放送局担当記者に転身、後にTVガイド編集部。同副編集長、デジタルTVガイド編集長ほか番組表・解説記事製作の部門長、西日本メディアセンター編集部長などを歴任。全国各地で放送されている質の高いドキュメンタリー番組と、精魂こめて地道に番組作りに勤しむ制作者の姿に注目してきた。人生の糧となるドキュメンタリーの名作・力作の存在を、より多くの視聴者知らせるべく、日々ネタ探しの歩みを続ける。

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